フルHDから無理なくリプレイス! ビクターの世界観を継承する4Kプロジェクター「DLA-Z5」「DLA-Z7」の魅力
「いつかはVictor(ビクター)の4Kネイティブ」と憧れつつも “Vシリーズ” は焦点距離が長く、それまでの “Xシリーズ” や他社フルHDプロジェクターからの入れ替えが難しかった。ところが新しい “Zシリーズ” は、現実的な投写距離で高画質を実現している。
その新シリーズの魅力について、沖縄・那覇のオーディオ&インストールショップ「Theater & Audio Design」で立ち会った、シアター初心者向けビクターイベントのレポートを通してお届けする。
ビクターの世界観と到達点について実演を交えて紹介
25年4月下旬に開催された完全予約制の本視聴会。目玉は「D-ILA」の4Kネイティブパネルを採用したビクターの新製品「DLA-Z5」と「DLA-Z7」だ。適宜「DLA-V800R」なども交え、ビクターの世界観と到達点を紹介する濃厚な会となった。プレゼンターは、JVCケンウッドでD-ILAプロジェクターを20年にわたり牽引してきた西窪英博氏だ。
「1997年にD-ILA素子を開発した当初はSXGAパネルでしたが、2004年に業務用プロジェクターネイティブ4Kパネル、2008年にはNHK向けに8Kネイティブパネルを開発していました。ホームプロジェクターはフルHDパネルで2006年にスタートし、現在では第3世代ネイティブ4Kパネルによる『8K e-shiftX』搭載による8K入力再生を実現しています。『DLA-HD1』から数えて15世代目のモデルになりました。
本日紹介するのは、D-ILAパネルを採用した4ラインナップのうち3ラインナップ。なかでもコンパクトなZシリーズの2モデルは、100万円以下でレーザー光源のネイティブ4Kを実現しているうえ、投写距離も100インチで3mに収まるよう新開発しており、フルHD機からの置き換えにも現実的です」(西窪氏)
「DLA-Z5」明るく元気な力強い映像
「DLA-Z5」は、レーザー光源を使った明るい4Kネイティブプロジェクターのスタンダードモデル。映画再生はもちろん、飲み物片手にテレビ感覚でテレビドラマやスポーツライブ中継などエンターテインメントを幅広く楽しめるようにと開発された。
「あらゆるソースを誰もが手軽に高画質で愉しめるように」というビクターの思いが詰まっているのが、第二世代となったダイナミックレンジ自動調整機能「Frame Adapt HDR」だ。
たとえば、旧作の4Kリマスター映画ならば広い色域に、一般的なテレビ映像なら映像モード「ナチュラル」に、入ってきた映像をリアルタイムで判別。解像度も含めて適切な4K映像にして出力することを、西窪氏はデモンストレーション。広くHDと一括りにされる放送波にも様々あるが、すべて柔らかく伸びやかな4K映像で投写された。
続く4K UHD BDを使ったデモンストレーションでも同様。4K/HDR収録の風景を投写しながら、西窪さんは次のようにコメントする。
「映像再現においていちばん難しいのは、黒をどう表現するのか。暗部の階調と色を適切に再現することで、映像に奥行きが出てきます。この作品では、夜明けや夕焼けの暗い部分がどこまでも自然に見渡せています。映画でも黒が浮いたり潰れたりすることなく、ありのままの階調を出すことが重要です。それによって俳優の表情を映し出し、作品の意図を観る人に伝えなければならないからです」
西窪さんがもうひとつのポイントとして挙げたのが、明るい映像をクリアに見せること。
「プロジェクターやテレビの動きがぎこちなかったりバタついたりすることがありますが、Zシリーズではスポーツでの速い動きをしっかりと再現する新駆動回路を搭載しているため、自然で目が疲れません。
また波しぶきの白ピークや明るい映像が急に飛び込んできても、Flame Adapt HDRによるフレーム単位でのマッピング効果により、白ピークを飽和させることなく珊瑚礁の砂浜の再現性や、ヤドカリのクローズアップも立体的に再現します」
さらに、より使いこなしたい人向けにTipsを披露してくれた。
「ライブ映像では、画質モードを『シネマ』にすると、少し色温度が落ち映画っぽくなります。また、ストリーミング映像などは、送られてくる画質がさほど上質ではなく色域も狭い(Rec.709ベース)ため、『オート』から『ビビッド』にしていただくことで明瞭な映像になります」
ここで、ストリーミング映像等の色域の狭い低画質ソース向けの新画質モード「ビビッド」の趣旨と使い方を改めて解説してくれた。
「自分の記憶色のイメージに物足りないと感じる場合には、『ビビッド』を活用して楽しんでください。このモードは色域を大幅に拡張するもので、アニメ作品や無料のストリーミング作品がぐっと鮮やかになり、映画館で見た記憶色を再現します。積極的にイコライジングするために新搭載した映像モードで、7、8年前にお客さまからいただいたリクエストをもとに搭載しました」
基本的には「オート」でどんな作品も高画質で鑑賞できるが、慣れてきたら好みに応じて様々な画質モードを試せる懐の深さも持っている。DLA-Z5は、こうしたビクター画質、そしてプロジェクターの楽しみ方の基礎知識を自然と学べる優れたスタンダードモデルといえる。
「DLA-Z7」フィルム時代の映画鑑賞なら
次に、上位モデルの「DLA-Z7」にチェンジ。DLA-Z7はDLA-Z5に比べ明るさが20%ほどアップ、ネイティブコントラストが倍になる。また映画作品には「シネマフィルター」(DCI-P3色域再現)が入ることにより、豊かな色再現性を確保。格段に味わいが出る。
西窪さんは40年近く前のフィルム作品を再生しながら次のように解説する。
「映画は、最新のものから古いものまで色々ありますが、このDLA-Z7は、とくに旧作のフィルムライクな映像を見せるのが上手いんです。この作品は35mmフィルムの映像ですが、ジーンズやシャツの色合いや質感がしっかり出ている。
DLA-Z5はビデオっぽく鮮やかですが、DLA-Z7では『シネマフィルター』を入れることで、上位モデルのDLA-V800Rに近づいて、映画館と同じ色域(DCI-P3)を再現し、しっとりとした艶っぽい映像になります」
DLA-Z5とDLA-Z7は。基本的な機能は同様だが、旧作のフィルム映像のテイストを生かしたいならDLAーZ7がオススメ。立体的で色の階調、色数が増える印象だ。
「DLA-V800R」Z5の2倍の価値がわかる方へ。引きの絵でも生々しいシルキーな映像
よりビクターワールドに浸かるべく、西窪さんはDLA-V800Rを投写する。4K映像でも8K処理をして出力している。
「フィルムでも35mmから70mmになると粒子数は4倍になります。その考えと同じく、この8Kプロジェクターでは、4Kの隣の画素との間の中間階調と中間輝度を生成して粒子のグラデーション(階調)を滑らかにする処理をしています」
もとの映像は同じ4Kなはずなのに、見え方がクリアで、スキントーンがよく表現される。それは4K UHD BDだけでなく、一般的な放送波でも色階調に違いがあるのがわかる。
驚いたのは8Kカメラで撮影したビデオ作品(4K UHD BD)をDLA-V800R側で8K処理をした映像を見せてくれたとき。これは、まるで視力が向上したかのようにかなりの格差がある。引きの映像ほど妙に生々しく、これはかぶりつきで見たくなる。都会の星空を映した映像などは、ここは安曇野の山奥か⁉︎ と錯覚するほどの星の数だ。
西窪さんは「視聴距離とお好みに合わせ超解像を下げて少しマイルドに見てみましょう」と言うが、特別な大判フィルムではない35mmフィルムでもきめ細かい圧倒的な映像だった。
6畳100型で最先端のビクター沼にハマる!
ビクターの最新DLAプロジェクターを一気観したこのイベント。いきなり300万円のフラグシップ機「DLA-V900R」を見せられても意味がわからないだろうが、こうして各モデルの特徴を踏まえて見比べていくと誰もが違いを認識できるし、ビクターの考える世界観がすんなり理解できるはずだ。
ビデオ撮りの映像作品なら、暗い室内シーンでのコントラスト感や夜の闇の描写だけでなく、明るい空の抜け感や動きボケの芳醇な表現。映画なら、作品のより深い解釈に結びつくライティングの妙までつまびらかにしてくれる。映画ファン必見である。
すでにご自宅でホームシアターを実践中の方なら、新製品の詳細な進化ポイントに注目すればいいが、これからプロジェクターを始めようという人や、すでに持っているフルHD機からの乗り換えを検討している人は、ぜひこういった “本質を理解できる” 視聴会で実際に映像を体験してほしい。6畳間に100型、投写距離3mに収まるプロジェクターは、いまやここまで進化しているのだから。
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