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【第174回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

暴力×ドラッグ×無駄話。「映画好き」なら見ておきたい!若き日のクエンティン・タランティーノが送る群像劇

公開日 2025/07/04 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は1994年公開の『パルプ・フィクション』をご紹介します! 


『パルプ・フィクション』(1994年・アメリカ)
(配信:Prime Video/U-NEXT/Hulu/Netflix)

『パルプ・フィクション』 4K Ultra HD+ブルーレイ: 6,589円 (税込) Blu-ray: 2,075 円 (税込)  /  DVD: 1,572 円 (税込)
発売・販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング ※記事公開時の情報です。


 アカデミー賞脚本賞と、カンヌ国際映画祭における最高賞パルムドールを受賞したクエンティン・タランティーノ監督作。ファミレスでの強盗を計画するパンプキン(ティム・ロス)、裏切り者の始末に向かうギャングのヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)、ギャングのボスの妻・ミア(ユマ・サーマン)、八百長試合を依頼されるプロボクサー・ブッチ(ブルース・ウィリス)。それぞれの思惑が交錯し、事態は思いもよらぬ展開に……。

『パルプ・フィクション』(C) 2022 Paramount Pictures

『メメント』『21グラム』『運命じゃない人』『TENET テネット』など、物語の時系列をあえてバラバラにすることで生じる面白さを宿した作品が現代には無数に存在するが、そういった描き方がまだ珍しかった90年代前半に生み出された本作。目の肥えた現代人が目にすれば新鮮さに欠けるのかもしれないが、時系列をバラバラにして描かれていく3つの物語、その連なりや人間関係が徐々に繋がっていく際の快感や興奮は、今この時代に目にしても遜色のない面白さのはず。

『パルプ・フィクション』(C) 2022 Paramount Pictures

作品の裏側の話もすると、低予算映画ながらもスターキャストが勢揃いしており、俳優組合が規定する最低賃金での出演料でブルース・ウィリスらが出演している。それもこれも、監督デビュー作にしてカルト的人気を誇った『レザボア・ドッグス』の評価。今では大御所監督の1人であるが、当時まだ30歳前後、映画界に突如として現れた新星・タランティーノの才能があってこそ。これが初見の方も久々に見返すという方も、映画史に名を刻んだタランティーノ監督の代表作を是非(もう)一度味わってみてください。

『パルプ・フィクション』(C) 2022 Paramount Pictures
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。

 

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