「舐めるな危険」イコライザーのお終活。マッコールさん怒りの鉄槌-地中海編-
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2023年公開の『イコライザー THE FINAL』をご紹介します!
『イコライザー THE FINAL』(2023年・アメリカ)
(配信:Netflix)
デジタル配信中
4KUHD + ブルーレイ セット発売中
7,590円(税込)
権利元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
1980年代に放送されたドラマ「ザ・シークレット・ハンター」をデンゼル・ワシントン主演で映画化した人気シリーズの第3弾。ある時はホームセンターの従業員として働き、またある時はタクシー運転手として街を駆け巡るマッコール(デンゼル・ワシントン)だが、その正体は人知れず悪を裁く元CIAのトップエージェント。イタリアの地で深手を負い療養を余儀なくされたマッコールは、海岸沿いの静かな田舎町に辿り着く。心優しき人々のあたたかさに触れ穏やかな時間を過ごすが、町に忍び寄るマフィアの魔の手を知り……。
ダイナーで出会った娼婦の少女を救い出すべくロシアン・マフィアと戦った1作目。CIA時代の上官が謎の死を遂げ、真相解明に乗り出し激闘に身を投じた2作目。そして迎える3作目では、あのマッコールがまさかの重症を負ってしまうところから物語が開始する。デンゼル・ワシントンが若々しく見えるため忘れがちだが、撮影当時の実年齢は60代後半。マッコールの年齢をイコールと考えるのであれば、イコライザーとしての活動は肉体的にも相当キツくなっているはず。その矢先に深手を負い、自らの生き方を見つめ直すマッコール。結構な尺を使ってその様子が描かれていくのだが、その姿はさながら終活に向けて思案する老人のよう。
数多の葛藤を抱えながらも、療養の中で町を知り、そこで暮らす人々を知り、町の人々が直面している危機を知り、自らの役目を果たそうと行動を起こしていく。終活タイムが長いため、焦らされて焦らされてようやく解き放たれる仕事人としての腕が披露された際には、快感にも近しい感情を抱けるはず。3作目にして奥深いドラマも宿しつつ、これまでの作品との連なりもしっかりと感じさせてくれる大満足の3作目。監督であるアントワーン・フークアが続編に関して「ワシントン次第」と発言しているため、今後新作が作られる可能性も0ではないが、“有終の美を飾る”とはこういう作品のことを指すのだろう。
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
| ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 宝島社sweetでの連載をはじめ、WEB、雑誌、ラジオなどで、心から推すことのできる映画を紹介。そのほか、イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30 人のシネマコンシェルジュ」など、幅広く活動中。 |
