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動画配信サービス、再生するうちに映像がキレイになるのはなぜ?

海上忍
2019年07月01日
NetflixやHulu、Amazon Primeなど、見たいときに見たい番組を視聴できるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気です。かつて視聴にはパソコンやタブレットといったPC系デバイスが必要でしたが、現在では薄型テレビやビデオレコーダーなどのAV機器で直接視聴できるようになっています。

そんなVODサービスですが、再生し始めは盛大にブロックノイズが出て見られたものではなかったけれど、しばらく見続けていたら精細感が増してきて、数分もすると満足できる画質になったという経験は誰しもあるはず。放送波やディスク再生ではそのようなことはないのに、考えてみれば不思議ですよね。

VODサービスは薄型テレビなどのAV機器で直接視聴できるようになってきています

この “VODの映像が再生するうちにキレイになる現象” は、「ABR(アダプティブ・ビットレート)」と呼ばれる技術によるものです。ABRに対応したVODサービスでは、機器の性能や通信回線の速度に応じて動画品質を上下させることができ、再生能力が低い/低速回線と判断すれば動画の帯域(ビットレート)を低くします。逆に再生能力が高い/高速回線とわかれば、ビットレートは引き上げられます。

再生直後は機器側にバッファされたデータが少ないこともあり、ビットレートを低めに設定しているため、画質に難が出てしまいます。しかし、通信が安定し、映像データのバッファがある程度進めば、ビットレートは引き上げられます。だから、再生開始からしばらくすると画質が向上するというわけです。

ABRは、ストリーミング技術「MPEG-DASH(エムペグ・ダッシュ)」とともに多くの商用VODサービスでサポートされています。VODサービスでは再生機器が特定されず、通信回線もWi-Fiかセルラー(3G/4G)か、安定しているかどうかがわからないだけに、必須技術といえるでしょう。

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