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【特別企画】アコースティックラボ「Acoustic Audio Forum」レポート

低音の響きをコントロールして『高音質な部屋』に。防音工事会社による試聴会に記者が密着!

2016/07/20
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前述のとおり、その響きのコントロールに大きく関係するのが部屋の形(寸法比)だ。部屋の形によって定在波の分布具合が変わってくるため、プロポーションのよい(定在波の分布がよい)部屋を作れば、低音域の響きがスッキリし、結果として部屋の響きを意識しなくなる。

逆に言えば、それなりに機器へは気を使っているのに「なんだか低音がモコモコする…」などといったような悩みが出る場合、部屋の形が悪さをしている可能性が高いということだ。

低音域・中音域・高音域それぞれで早のなかでの“立ち振る舞い”が異なる

■“高音質な部屋”は寸法比で決まる?

では、響きがよい部屋の寸法比とはどんなものなのだろうか。それを示したのが下記資料の右側にあるコンター図で、緑色になっている部分が“いい寸法比”だとされている。

縦・横・高の長さの寸法比で部屋の響きが異なる

ちなみに会場となった同社蔵前ショールームの寸法比は1:1.15:1.38で、前回までの会場である九段ショールームは1:1.15:1.61。この寸法比をベースに、ややライブな響きに仕上げている。

蔵前ショールームの響きの長さ

そもそもの広さや参加人数による吸音具合が違うため単純な比較はできないが、記者個人としては新ショールームのほうがよりライブな部屋になっているように感じた。こうした味付けの違いをしっかり感じられるのも、基礎となる部屋のつくりがしっかりしているからだろう。

鈴木氏は「部屋の形、反射音というふたつのポイントをちゃんと押さえておけば、その時点で8割は“いい音の部屋”になったようなもの。あとの2割は好みによってライブ気味にするのかデッド気味にするのかを調整すればいい」とコメント。単純に防音性能を上げるだけでなく、部屋の形にこだわることがオーディオ趣味には重要なことを改めて解説する。なお同社では、カーテンや家具などで吸音されることを考慮に入れ、ライブ気味な部屋を基準にしているという。

イベントでは、寸法比の悪い部屋と同社ショールームとで定在波の分布がどのように変わるのかのデータも紹介。寸法比が悪い8畳間では最も低音を感じる125Hz〜250Hzの帯域で分布の間隔が開いたりしているのに対し、同社ショールームではどの帯域もバランスよく均等に分布しているというデータを示し、「ショールームのような定在波の分布をする部屋なら、ヌケの良い、素直に響く感じの音になる」とした。

同社ショールームは定在波の分布間隔がバランスよくほぼ均等

寸法比の悪い部屋では定在波の分布がバラついている

そのほか、容積が小さい空間は低音域の定在波の密度が少ないことなどから、小さい部屋のほうが設計が難しいと説明。「小さい部屋であればあるほど部屋の形を意識しないといけない」とも語った。

真剣にメモをとる参加者の姿も

なお、デモ楽曲の再生では瞬間的に100dBを超える音量になることもあったが、「(防音工事をしていない)一般的な部屋で同じ音量を出したら、壁や床の振動が反射音に加わり音が濁って雑味を感じたり、歪っぽく感じることになるだろう」と鈴木氏はコメント。

「100dBの音量を気兼ねなく出せる防音で、しかも音が濁らない。小さい音から大きい音までスッキリ聴ける。そういう部屋になってる」と、同社ショールームの完成度、そしてそんな部屋を設計できる同社の能力をアピールした。

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