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【特別企画】現代住宅の“音響的限界”とは?

“高音質な家”作りの重要点を徹底解説 − 「第30回Acoustic Audio Forum」取材レポート

2016/05/17
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「オーディオにおける高音質の追求には、音楽を鳴らす“部屋”の環境が重要」。言われてみれば当たり前かもしれないが、普段はなかなか深く研究しづらいそんな問題について考える試聴会「Acoustic Audio Forum」の最新回が過日開催された。防音のプロが語る「現代住宅でのオーディオルームの音響的限界」とは何なのか? その一部始終をレポートする。

当日の模様。多くの来場者が参加し活発な意見交換を行っていた

■“音質を追求する”防音工事

AVファンならば誰しも一度くらいは自分の部屋の防音工事を夢見たことがあるだろう。ただ、その防音も外部への音漏れを闇雲に防ぐだけではオーディオ的な楽しさは得られない。オーディオの音質に配慮しつつ部屋の防音性能を高めるにはどうすればよいのか、そんな点を体感できるのが、この「Acoustic Audio Forum」だ。

本イベントを主催するのは、“音楽家のための防音工事専門会社”を謳うアコースティックラボ。プロミュージシャンやエンジニアが利用する音楽スタジオの設計・施工や、オーディオファン向けの防音工事を数多く手掛ける、まさに“音楽のための防音工事のプロ”とも呼べる存在だ。そんな同社がテーマを毎月変えながら定期的に開催しているのが、このAcoustic Audio Forumだ。

今回のテーマは『現代住宅構造におけるオーディオルームの音響的限界とその可能性』というもの。現代日本で主流になっている建築構造の部屋でオーディオを楽しもうとすると、どんなことがネックになるのか。そして、どうやってそれをクリアできるのかが解説された。

■「現代住宅は大きな音を出すには不満を感じるつくり」

まず同社は「日常生活音よりも大きい音を出せない」「大きめの音に雑味感・飽和感がつきまとう」「音の厚み感が乏しい。音が痩せてしまう」「部屋の固有の響きがつきまとう」という4点が、“現代住宅構造におけるオーディオの限界”だと紹介。これらの問題は、オーディオ機器によるものというよりも、部屋そのものが大きな原因だとする。

同社代表の鈴木氏は「昔の日本の建築では5〜6cmとそれなりに厚みのある土壁に漆喰などを塗っていたが、現代は薄くて軽い材料を使うようになった」と、建築方法が大きく変わっていることを紹介。

アコースティックラボ 鈴木氏

「一般的な戸建住宅だと、25dB〜45dBくらいの遮音性能を持たせることが多い」とし、「(オーディオファンが出すことも多い)90dB程度でオーディオを再生すると、外部にハッキリ聞こえてしまう」と説明。「現代住宅は、大きな音を出すには不満を感じるつくりになってる」と続ける。

遮音性能の解説

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