Apple Losslessのオープンソース化でオーディオはこう変わる!?

海上 忍
2011年10月28日
可逆圧縮方式のオーディオコーデック「Apple Lossless(ALAC)」がオープンソース化された(関連ニュース)。

端的にいえば、ソフトウェアのオープンソース化は「無償化」だが、これまで非公開だったALACのソースコードがオープンになったことは、長らく非公開だったその仕様が明らかになることを意味する。

そして現在におけるApple製品/サービスの存在感を考えると、その影響は広範囲に及ぶと解釈すべきだ。本稿では、その理由と影響について考えてみたい。

■ネットオーディオ機器がALAC対応に?

ALACのオープンソース化は、その仕様が完全に公開されたことと、その機能を無償で製品/サービスに組み込めるようになったことを意味する。

ALAC対応機が少ない現状、市販のオーディオ機器でALAC音源を聴こうとすると、PCからのUSB出力またはiPod/iPhoneのデジタルアウト、あるいはAirPlayに頼るしかないが、今後は多くの機器で直接再生できるようになる可能性が高い。特に可逆圧縮コーデックの需要が大きいネットオーディオの場合、ALACをサポートする必要が高まるだろう。

ではいつ聴けるようになるかだが、対応コーデックをファームウェアの更新で変更できる機種であれば、比較的早い時期にファームウェアアップデータの形で配布される可能性がある。iTunesユーザーの数を考えれば、少なくとも現在開発中のFLACに対応するクラスの製品については、ALACにも対応するよう機能修正を行うものと期待したい。

iTunesライブラリにストックされたALACの楽曲を、ネットワークオーディオプレーヤーで直接聴ける日は近い?

一方、ポータブルオーディオなどデコード機能組み込みのチップを採用する機種の場合、ALAC対応は微妙だ。市場で高いシェアを有するApple製品は以前からALACをサポートしているし、直接iTunesと同期できない他社製品がALACに対応したところで、製品のセールスポイントとはなりにくい。コスト増の原因にならなければ、いずれALAC対応チップは増えるのだろうが、扱いとしては"不要不急"になるのではなかろうか。

■ハイレゾ音源配信サイトはどう動く? iTunes Storeは?

現在、オーディオファンを対象としたハイレゾ音源配信サイトの多くは、フォーマットにFLACを採用している。これはFLACのコーデックとしての優秀さというよりも、多くのネットオーディオ機器が可逆圧縮コーデックではFLACのみ対応している、という現実に基づく判断だろう。

だからネットオーディオ機器でのALAC対応が進めば、iPod/iPhoneでもそのまま再生できるという利便性から、消費者のALAC指向が強まる可能性もある。ハイレゾ音源配信サイトのALAC対応が、いずれ必要になるのではないだろうか。

ただしiTunes Storeでの立場は微妙だろう。今回はDRM(AppleのDRM技術は「Fairplay」)の仕様まで公開されたわけではないため、オープンソースのALACコーデックを用いたネットオーディオ機器では、iTunes Storeで購入した楽曲にDRMが付いていた場合、再生できないからだ。

DRMフリー化が進まない日本のiTunes Storeでは、ALAC対応は期待できそうにない

米国のiTunes StoreはDRMフリー化が完了したため(iTunes Plus)、この問題は発生しないかもしれないが、日本は事情が違う。米国にしても、マスに売るには256KbpsのAACで十分という判断が下されるかもしれず、ALACの取り扱いが始まるにしてもごく一部のジャンル/楽曲に留まる可能性が高いと考える。

(海上 忍)

関連リンク

関連記事