サウンドバーを“音質”で選び抜く! Sonos/Bose/Marshall/ソニー/JBLの最新フラグシップを一斉比較
ソニー「BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)」
「BRAVIA Theatre Bar 9(HT-A9000)」は、ソニーの1本バータイプにおける上位モデルだ。スピーカー構成は7.0.2chで、13基のユニットを搭載。フロント/センターにはウーファーとトゥイーターによる2ウェイ構成を採用するほか、サイドスピーカー、ビームトゥイーター、上向きのイネーブルドスピーカーも備える。
13chのデジタルアンプ「S-Master HX」で駆動し、実用最大出力は合計585W。Dolby Atmos、DTSに対応し、独自の「360 Spatial Sound Mapping」による立体音響再生も特徴だ。
専用アプリ「BRAVIA Connect」から各種設定が可能で、「サウンドフィールドオプティマイゼーション」による自動音場補正にも対応。さらに別売りのリアスピーカー4機種、サブウーファー5機種から選択でき、将来的なシステム拡張性も非常に高い。
色付けの少ない素直なサウンド。クリアな音色で解像感に優れる
デザインは比較的スタンダードだが、天面にほとんど凹凸を設けないフォルムは洗練度が高い。音場補正後、まずMrs. GREEN APPLEを聴くと、色付けの少ない素直なサウンドで、高域の抜けが良く解像感も高い。サウンドフィールドをオンにすると音場は拡張するが、音のストレートさが少し後退するため、音楽では個人的にオフが好みだ。
ドラマ『ガス人間』ではセリフも環境音も色付けが少なく、甲野京子(蒼井優)の声はかなりクリア。ただしガス人間(UTA)の声には付帯音を感じ、微小音の表現ももう一歩欲しい。映画『F1/エフワン』もクリアな音色だが、ローレベルの情報量には注文が残った。
サウンドフィールドモードやDRCなど、豊富な音声処理を好みに合わせて積極的に使いこなしたいモデルだ。ソニー製のテレビとメーカーを統一させつつ、将来的に豊富な追加スピーカーやサブウーファーを導入したい方におすすめ。
JBL「BAR 1300MK2」
米国発祥のJBLは、家庭用オーディオだけでなく、映画館やレコーディングスタジオ、コンサートホールなどプロの現場でも長い歴史を持つブランドだ。「BAR 1300MK2」は同社サウンドバーの最上位に位置する11.1.4chモデル。
サウンドバー本体に加え、バッテリーを内蔵した着脱式ワイヤレスサラウンドスピーカー2基と、200mm径ウーファーを2基搭載するサブウーファーまで標準で付属する。
Dolby Atmos、DTSに加えIMAX Enhancedにも対応し、独自の「MultiBeam 3.0」による立体的な音場形成も特徴だ。さらに自動キャリブレーション機能を搭載し、スマホ用「JBL ONE」アプリからEQなどの調整も行える。リアスピーカーとサブウーファーまで含めて1パッケージで完結する、充実したシステムである。
着脱式リアスピーカーの効果は反則級。映画の包囲感と臨場感は随一
着脱式のリアスピーカーとサブウーファーまで標準装備する仕様には 「ちょっとこれは反則だろー」と思わず口に出た。デザインは比較的オーソドックスだが、テレビ周りには溶け込みやすい。
キャリブレーション後、Mrs. GREEN APPLEをStandardモードで聴くと、音色、帯域バランスとも素直で、Musicモードでは中域の密度が増して音楽がより楽しくなる。ドラマ『ガス人間』では声の質感表現が秀逸で、 甲野京子(蒼井優)の声はもちろん、再生が難しかったガス人間(UTA)の声にも付帯音をほとんど感じない。
映画『F1/エフワン』ではサブウーファーによる地を這うような低音に加え、後方に置いた物理的なリアスピーカーの効果が絶大。サーキットの中へ放り込まれたような包囲感があり、今回の試聴でも屈指の臨場感を味わえた。
映画、ドラマ、アニメ、音楽。好きなコンテンツにあわせて選ぶべし
結論から言えば、高価格帯モデルは、やはり音質的に1クラス上と感じる製品が多かった。実際に比較して強く感じたのは、「物理的なスピーカー数」「アンプやDSPへの物量投入」、そして「測定に基づくルーム補正機能」と「システムの拡張性」である。
そして何より面白かったのは、同じ高価格帯のフラグシップ/上位モデルでありながら、5機種の音がまったく同じではなかったことだ。

Sonos Arc Ultraは、透明感のある高域と色彩豊かな中域、弾力のある低域をバランス良くまとめた優等生だ。デザイン性も非常に高く、将来的にリアスピーカーやサブウーファーを追加できる拡張性まで含め、完成度の高い一台だった。
Bose Lifestyle Ultra Soundbarは、中低域に厚みを持たせた聴き疲れしにくいサウンドが特徴。低音のスケール感と自然に広がるサウンドステージにはBoseらしい魅力がある。デザインも洗練されており、インテリアとの調和を重視する人にも魅力的だ。
MarshallのHeston 120は、ギターアンプを思わせる唯一無二のデザインだけでも存在感は抜群だが、実際に聴くと音の完成度も高い。特に音楽再生は楽しく、Bassを調整したときには思わず「やるじゃん」と声が出たほど。そして映画ではDolby Atmosの効果が素晴らしく、音が左右、上下へ大きく展開する。
ソニーのBRAVIA Theatre Bar 9は、色付けの少ないストレートなサウンドが特徴だ。また、Sound FieldやDRCなど音を積極的にコントロールできる機能が充実しているのもソニーらしい。発展性も高く、設定を追い込みながら自分好みのホームシアターを構築したい人には面白い選択肢になる。
そしてJBL BAR 1300MK2は、今回の中でも特にエンターテインメント性の高さが印象に残った。着脱式のワイヤレス・リアスピーカーとサブウーファーまで標準で付属するのは強力だ。音の質感表現にも優れ、包囲感も味わえた。「ちょっとこれは反則だろ」と感じたのも、それだけパッケージとしての説得力が高かったからだ。
こうして5機種を並べてみると、「一番高いモデルを買えばいい」という単純な世界ではないことがよく分かる。
音楽を気持ちよく聴きたいのか。ドラマやアニメで俳優の声をリアルに楽しみたいのか。それとも映画で身体を包み込むような立体音響と低音を味わいたいのか。デザインを重視するのか、将来的な拡張性まで考えるのかによってもベストな選択は変わってくる。
いずれも上位モデルだけに、基本性能や音質の水準は高い。しかし、その先にある各ブランドの考える「良い音」には、想像以上の違いがあった。
だからこそ、スペックや価格だけで決めるのではなく、自分が普段もっとも楽しんでいるコンテンツを思い浮かべながら選んでほしい。映画、ドラマ、アニメ、そして音楽――。自分の好きなコンテンツを一番魅力的に鳴らしてくれる1台を探すこと。それこそが、サウンドバー選びの面白さなのだと思う。
■取材・執筆:土方久明
■編集担当:岡本 雄

