サウンドバーを“音質”で選び抜く! Sonos/Bose/Marshall/ソニー/JBLの最新フラグシップを一斉比較
人気5ブランドのフラグシップ・サウンドバーを一斉比較!
リビングや自室でテレビを楽しむための選択肢として、いまやすっかり存在感を増したサウンドバー。特に「テレビの音をもっと良くしたい」と思ったとき、真っ先に候補となるオーディオ機器のひとつだろう。
何より大きなメリットは、設置と操作が簡単なことだ。基本的にはテレビとHDMIケーブル1本で接続でき、複数のスピーカーとAVアンプを組み合わせる本格的なホームシアターシステムと比べれば、導入のハードルは圧倒的に低い。
それでいて、テレビ内蔵スピーカーからサウンドバーへ変更したときの音質差はかなり大きい。ニュース番組やドラマひとつとっても人の声が明瞭になり、映画では低音の迫力や空間の広がりが大幅に向上する。その背景にあるのが、内蔵アンプやDSP(デジタル信号処理)技術の進化だ。
さらに近年は、天井や壁からの反射を利用する方式やビームフォーミングなどを駆使することで、Dolby Atmosをはじめとした立体音響の再現能力も大きく進歩している。
1本の細長い筐体から鳴っているとは思えないほど、テレビの横幅を超えてサウンドステージが展開し、自宅のリビングを映画館に近づけてくれるモデルも登場している。
そんなサウンドバーは、毎年さまざまなブランドから個性豊かな製品が登場しているのだが、実際に聴き比べてみると、その音は製品によってかなり違う。
今回は、現在市場でも注目度の高い5ブランドの上位モデルをピックアップした。スペックや機能を並べるだけではなく、筆者がもっとも大切にしている「音質」を主軸に据え、比較試聴を行った。サウンドバーを選ぶ際の参考になれば幸いだ。
試聴環境とコンテンツ
比較試聴は音元出版のシアター視聴室「BLACK」で実施。テレビにはパナソニックの4K液晶テレビ「TV-55W95C」を組み合わせ、ドラマと映画の再生にはApple TVを使用。音楽についてはiPhoneと各サウンドバーをBluetooth接続し、ストリーミングサービスから楽曲を再生した。
今回取り上げた高価格帯サウンドバーの特徴のひとつが、測定に基づいた本格的な音場補正(キャリブレーション)機能を備えていることだ。そこで試聴前には各モデルでキャリブレーションを行い、補正を適用した状態を基本として音質を確認している。
また、別売りのサラウンドスピーカーやサブウーファーは追加せず(もともと付属する場合は別)、標準パッケージの状態で評価した。高価格帯になることで、サウンドバーの音がどこまで進化するのか。そこも今回確かめたかったポイントである。

ドラマ(Netflix):『ガス人間 』第1話『インタビュー』
<ポイント> 男女それぞれのセリフの明瞭度/音の移動感/サウンドステージの広がり
00:39:00〜ガス人間(UTA)と甲野京子(蒼井優)の声の描き分け/室内外の環境音00:41:07〜左から右側へ展開するパトカーのサイレン
映画(Netflix):『F1/エフワン』
<ポイント>セリフ明瞭度/音の移動感/サウンドステージの広がり/映画の臨場感
00:02:51〜エグゾーストノート(排気音)が飛び交うなかでのソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)の声の明瞭度/右から左へと移動するエグゾーストノート
00:03:43〜場内アナウンスの音場の広がり/タイヤの摩擦音や変速機作動音の明瞭度/レーシングカーの低音
00:04:02〜サーキット全体の臨場感/BGMの低音域の量感、沈み込み、質感
音楽再生(Spotify):Mrs. GREEN APPLE「Brand New」
<ポイント>帯域バランス/分解能/音色/質感/低音の迫力/ボーカルの明瞭度
「音楽として楽しく聴けるか」という部分まで含めて評価
なお、各機種でコンテンツごとに評価チャートを作成したが、この特集で取り扱う5本の中での相対評価で点数を決定した。
Sonos「Sonos Arc Ultra」
米国発のSonos(ソノス)は、ワイヤレス/ネットワークオーディオを得意とし、デザイン性と操作性にも定評のあるブランドだ。「Sonos Arc Ultra」は同社サウンドバーの最上位モデルで、独自の「Sound Motion」ウーファーを採用し、9.1.4chの空間オーディオ再生に対応する。
内部には7基のシルクドーム・トゥイーター、6基のミッドウーファー、「Sound Motion」ウーファーを搭載し、15基のClass-Dデジタルアンプで駆動。専用の「Sonos」アプリから低音、高音、ラウドネスなどを調整できるほか、部屋の音響特性を測定して音を最適化する「Trueplay」にも対応する。
拡張性も高く、別売りの「Sonos Era 300」「Sonos Era 100 SL」などをサラウンドスピーカーとして追加でき、「Sonos Sub 4」などのサブウーファーも組み合わせ可能。
透明感のある高域再生。音楽に温度感を持たせ、セリフはリアルに
現代のインテリアに溶け込むデザインで定評のあるSonosらしく、Arc Ultraも実に洗練されている。筐体全体をメッシュで覆い、断面を緩やかな楕円形としたフォルムは嫌味のないラグジュアリーさがあり、数値上のサイズ以上にスタイリッシュだ。
「Trueplay」による補正を行い、まずSpotifyでMrs.GREEN APPLEを聴くと、透明感のある高域と弾力に富んだキックドラムが印象的。無闇に低音を強調せず、音数の多い楽曲を色彩豊かに、温度感を伴って聴かせる。
ドラマ『ガス人間』ではセリフがリアルで、ガス人間(UTA)のどこか虚無的なニュアンスまで伝わり、パトカーの移動も自然。映画『F1/エフワン』では、セリフが環境音に埋もれず、スキール音やギアの金属音もリアルだ。
低音の絶対的な迫力こそ外付けサブウーファーに譲るものの、一体型として非常に上手くまとめられている。デザイン、音質、将来の拡張性という総合的な完成度を貪欲に求める人におすすめしたい。
Bose 「Bose Lifestyle Ultra Soundbar」
米国を代表するオーディオブランド、Bose(ボーズ)が2026年に投入した「Bose Lifestyle Ultra Soundbar」は、新たなLifestyleコレクションの中核を担う上位サウンドバーだ。ファブリックで包まれた筐体とガラス製トップパネルを組み合わせたデザインは、ホームオーディオを長年手掛けてきたBoseらしく、インテリアとの調和にも配慮されている。
Dolby Atmosに対応し、独自の「TrueSpatial」テクノロジーによって立体的なサウンドを構築。操作やセットアップ、各種音質調整にはスマートフォン用アプリ「Bose」を使用する。
さらに拡張性も高く、ワイヤレススピーカー「Bose Lifestyle Ultra Speaker」をリア側に追加できるほか、「Lifestyle Ultra Subwoofer」も用意。それぞれ単品で追加できるだけでなく、組み合わせたセット製品も展開されており、段階的に本格的なホームシアターへ発展させられるのも魅力だ。
中低域に厚みのある音質。低音のスケール感と自然な音場再生に優れる
従来のBose製サウンドバーには良い意味でスタンダードな印象があったが、本機は一段と洗練された。補正を行ったうえでSpotifyからMrs. GREEN APPLEを聴くと、中低域に厚みを持たせたピラミッド型のバランスで、聴き疲れしにくい。キックドラムは太く、低域もしっかり沈み込む。一方、ボーカルはややこもり、もう少しディテールとリアリティが欲しい。
ドラマ『ガス人間』でも声には若干の付帯音を感じたが、風などの環境音はリアルで、低域の壮大さがシーンの緊張感を高める。映画『F1/エフワン』もレーシングカーのエグゾーストノートには迫力があり、音場は不自然さなく幅広く展開する。
本機は測定位置によって帯域バランスを中心に印象がかなり変化したので、補正後の音がしっくりこなければ、測定位置を変えて試してみるのもよいだろう。バランスの良い音と拡張性の高さを両立したい方におすすめ。
Marshall「Heston 120」
英国発祥のMarshall(マーシャル)は、ロックミュージックを象徴するギターアンプで知られ、そのアイコニックなデザインを受け継ぐオーディオ製品も展開している。
「Heston 120」は同社が本格的にテレビ用オーディオへ参入したサウンドバーで、ラインナップの最上位に位置するモデルだ。構成は5.1.2chで、2基のウーファー、2基のミッドウーファー、2基のトゥイーター、5基のフルレンジドライバーを搭載。11基のClass-Dアンプで駆動し、合計出力は150W(ピーク)を誇る。Dolby AtmosとDTSの両方に対応し、「Marshall」アプリからEQ調整やルーム補正も行える。
さらに MUSIC/MOVIE/NIGHT/VOICEの4種類のサウンドモードを装備。Wi-FiやBluetoothにも対応し、Spotify Connectなども利用可能だ。別売りのサブウーファー「Heston Sub 200」を追加できる拡張性も備えている。
映画の包囲感と臨場感は抜群! デザインと音質ともにエンタメ性が高い
赤いLEDで囲まれたゴールドのノブを3つ備える姿は、まさにMarshallのギターアンプそのもの。似たデザインになりがちなサウンドバーの中で、この個性は大きな魅力であり、見ているだけでも気分が高まる。ところが実際に聴いてみると、機能面、音質面とも予想以上に力の入った製品だった。
ルーム補正後、MUSICモードでMrs. GREEN APPLEを聴くと、シンセサイザーの音色やボーカルの質感が良く、HiFi感を前面に押し出すというより、音楽を楽しく聴かせるタイプだ。最初は低域が少し足りないと感じたが、ノブでBassを上げると、重量感のある低音表現に、思わず「やるじゃん」とつぶやいた。
ドラマ『ガス人間』ではセリフの滲みや付帯音が少なく、暗騒音もリアル。そして特筆したいのが映画『F1/エフワン』だ。場内の反響音が左右だけでなく上下にも大きく展開し、ダイアローグはセンターに明瞭に定位。Dolby Atmosによる包囲感と臨場感は抜群で、実にエンターテインメント性の高い音だった。個性的かつ魅力のあるデザインと本格的な音質を求めたい方におすすめしたい。

