ケーブル1本でアナログ再生が変わる!AUDIOQUESTのアースケーブル、最新3モデルを徹底比較
名門ケーブルブランド・AUDIOQUEST(オーディオクエスト)から、アースケーブル「DRAGON」「THUNDERBIRD」「BLACK HOLE」の3モデルが発売された。アースケーブルは、アナログプレーヤーのノイズ対策から、仮想アースへの接続まで、そのニーズが急速に高まっているジャンルである。炭山アキラ氏が、アナログプレーヤーとフォノイコライザー間で3モデルの実力を検証する。
導体やノイズ対策技術で3モデルがラインアップ
アースケーブルは基本的に日本のケーブルメーカーで音質解析が進んでいるようで、海外製品の数はまだこれからという様相だったが、ここへきてAUDIOQUESTが3種類のアースケーブルを登場させてきた。これはさっそく試聴せねばなるまい。
「BLACK HOLE」はエントリー向けの製品で、しかしそれでも高周波ノイズの飛び込みを抑える機構を採用している。絶縁体に見える外被覆が何と導電性のPVCで、高周波のトラップとして働くというのだ。芯線は同社独自の銀を6%コートするLGC(長粒銅導体)で、両端端子はシリーズ共通で独自の冷間溶接により銀メッキ製のYラグがケーブルと一体化するように装着されている。
「THUNDER BIRD」もLGCに6%銀コートした単線導体を採用しており、外装に編みスリーブがかけられていることもあろうが、見た目はかなり太い。こちらももちろん高周波を抑える技術が投入されている。
「DRAGON」は同社が誇る単線仕上げの高純度銀ソリッド・パーフェクト・サーフェス・シルバー(PSS)導体を採用したフラグシップ・モデルで、こちらも高周波を排除することに抜かりはない。
BLACK HOLE -クリーンで見晴らしの良い音場
今回は自宅のリスニングルームでテストした。自宅レファレンス・レコードプレーヤーのフォノアース線を、102SSC導体の配線材オヤイデ3398-14で自作したレファレンス・アース線と取り替えて、音を聴く。
まずBLACK HOLEから試そう。クラシックは音像にまとわりついていた余分なメリハリのようなものが消え、音場もクリーンで見晴らしが大幅に向上する。一方で、レファレンスより僅かに高域方向が優しくなる傾向も耳へ届く。歪み感が下がったことで、高域方向が耳へつきづらくなったものではないか、と推測できる。
ジャズは音場の静けさが増し、ハーモンを突っ込んだトランペットの鋭さが、幾分柔らかになりつつもきっちりと耳へ届く。一聴クールで通りが良い音という印象だが、じっくり聴き込んでいくとその端正な音楽表現の中に音像の立体感、現場でたった今演奏されているかのような生々しさも味わうことができる。
ポップスは僅かに線が細くなる感もあるが、歌手のシャウトはピシリと決まり、全体に伸びやかでスッキリ抜けの良い演奏という格好だ。これはこれで悪くない。
THUNDERBIRD -音場がさらに濃厚に広がる
THUNDERBIRDに取り替え、試聴を続行する。クラシックは音場がさらに広がり、しかも濃厚だが見晴らし良く明るい、非常に良質の音場感である。低域方向は少しパワーが増し、高域方向はごく自然に伸びやかな表現を聴かせる。明らかに器がかなり大きくなった、という音の傾向である。
ジャズは「BLACK HOLE」では若干音が痩せた感じだったのだが、本ケーブルでその傾向はすっかり払拭され、明るく艶やかな音場にトランペットが、ピアノが、ウッドベースが、サックスが、朗々と伸びやかに音楽を紡いでいくさまが実に楽しい。繰り返しになるが、アース線がどれほど大切か、身にしみる取材となった。
ポップスも音楽本来の活気と楽天的な表現を取り戻し、歌姫のシャウトもぐいぐい伸びる。ドラムスはパワフルで切れ味良く、ギターやベースと完璧にそろった端正かつワイルドな演奏が素晴らしい。
DRAGON -生の息吹が満ち溢れた再生音
さあDRAGONを聴こう。クラシックは再生音のスケールが数段増しとなって驚く。取り立てて音像が前へせり出したりしないのだが、とてつもない迫力と生々しさ、生の息吹のようなものが満ち溢れた再生音になるのが素晴らしい。
ジャズは楽器の音離れが大幅向上、眼前で今まさにトランペットを吹き鳴らしているような生々しさを、さほどの大音量でもなく表現してしまうのだから、これがアース線1本交換しただけの違いとは、実際に実験したものでないと信じられないに違いない。
ポップスは音量を全然変えていないというのに、伴奏楽器もヴォーカルも驚くほど実体感が増し、5-6dBくらいは音量を上げたような表現に陶然とする。声と伴奏楽器それぞれに付加された電気的な残響を克明に描き出し、それらが混濁しないのも素晴らしい。
ここまでMCカートリッジで聴いてきたが、MMカートリッジでも聴き直したところ、3本ともMM/MCで大きな情報量や表現力の違いは見出せず、それぞれの持ち味をしっかりと、特にDRAGONはかなり品位を高めて聴かせてくれる。
非常に汎用性が高く、多くの人へ安心して薦められる製品群である。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.201』からの転載です

