デノン「AVR-X2900H」はミドルクラスAVアンプの大本命!期待の上をいくサウンドを体感
精力的にAVアンプを展開し、市場を牽引しているデノン。2026年のAVアンプ第1弾モデルとしてハイミドルクラス「AVR-X3900H」、そしてミドルクラス「AVR-X2900H」が登場した。
両機とも4年ぶりにブラッシュアップされており、AVR-X2900Hは上位となるAVR-X3900Hとも一部共通のパーツや構成を踏襲していることから、高機能性かつクラスを超えるサウンドを成し得たモデルとして、オーディオビジュアルファンから高い関心を集めている。
本稿では、Dolby Atmosを中心としたイマーシブサウンド、そしてハイレゾ音源を用いたステレオ再生によるレビューによって、ミドルクラスの新定番となるであろうAVR-X2900Hの魅力をお届けしていきたい。
電流出力型D/Aコンバーターを新採用、周辺回路構成やカップリングコンデンサーも刷新
AVR-X2900Hは7.2ch、イマーシブサラウンドを有効にする場合では5.1.2chに対応しており、最大出力185Wの7chディスクリートアンプを内蔵している。
この出力段に用いるパワートランジスターについては、上位のAVR-X3900Hと同じ素子を用いており、クラスを超えたサウンド性を実現。パワーアンプ基板の信号ラインと電源供給ラインの低インピーダンス化やパーツ配置の最適化によってノイズの影響も抑えた他、電源供給ラインを2系統に分割してチャンネル間のクロストークやS/Nも改善している。
D/Aコンバーターについても再検討を実施したが、こちらもAVR-X3900Hと同じ32bit電流出力型D/Aコンバーターを新たに選定。周辺回路構成やカップリングコンデンサーについても刷新し、I/V変換部においては薄膜抵抗を取り入れ、サウンドの底上げを図っている。
この他、D/A変換精度を向上させるHDMI入力用ジッターリダクション機能を追加。パワーアンプの入力段に上位モデルと同じ高品位フィルムコンデンサーを採用する他、入力/出力セレクターやボリュームは、最上位モデル「AVC-A1H」のものと同じ半導体メーカーと共同開発した高性能なカスタムデバイスを取り入れた。
上位機採用のブロックコンデンサーを継承し、大型EI型コアの電源トランスも搭載
また電源部の平滑に用いるブロックコンデンサーについても、AVC-A1Hと同じ電極箔を用いたカスタムタイプを導入。合計容量は12,000μF×2となるが、内部の電解紙の材質や箔の引張強度や巻きテンションの微調整など、細部までこだわり抜いた仕様となっている。
さらにカスタム仕様の大型EI型コアの電源トランスについても7.1chアンプで最も優れたものを取り入れるべく検討が重ねられ、ケイ素鋼板とショートリングを追加して磁束漏れを最少化。加えてトランスの振動を抑制するプレートも追加した他、巻線においてもプリアンプとパワーアンプそれぞれに専用巻線を設けて相互干渉を抑えてサウンドの純度を向上させた。
そして音質に悪影響を及ぼす内部/外部の不要振動を排除するダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションを用いた設計によってヒートシンクや電源トランスなどの重量物をフットの間近に配置し、高剛性なシャーシに固定。
このフットも上位モデルと同じ共振を抑えるリブを設けた高密度なものを取り入れており、振動に強い構造とした。なお、外部デザインについては上位 “Aシリーズ” のものを踏襲。力強さと精緻なイメージをより高めている。
新機能「ワイヤレスサラウンド」への対応が最大のトピック、「チャンネルレベル表示」もカバー
機能面ではDolby Atmos/DTS:Xフォーマットに対応し、8K/60Hz、4K/120Hz入力に対応するHDMI入力を搭載。さらに1440p(50Hz/60Hz/100Hz/120Hz)パススルーやAMD FreeSyncにも対応し、ちらつきのないゲーム映像を楽しめる。
自動音場補正は「Audyssey MultEQ XT」の他、有償となるが、ノートPCと認証を得たマイクを用いて測定・補正を行う「Dirac Live Room Correction」にも対応している点にも注目だ。
機能面のなかでもトピックとなるのが、サラウンド及びサラウンドバックスピーカーを「DENON HOME 200」「DENON HOME 400」「DENON HOME 600」といった新世代の “Denon Homeシリーズ” を用いることでワイヤレス化できる「ワイヤレスサラウンド」を搭載したことである。
本機能は、有線接続だけで構築する世界から、さらに一歩踏み出したシームレスなサラウンド体験をもたらしてくれる。本機能は今後のアップデートで対応予定だ。
また、順次新世代モデルに搭載されてきた「チャンネルレベル表示」にも対応しており、音声信号の記録されているチャンネルを視覚的に確認できるようになった。切り替えはバックライト機能を追加したリモコンより、オプションボタンを押すことで設定を有効にできる。
ネットワーク系の機能としては引き続きHEOSを軸としたコンテンツ再生が可能であり、NASやUSBメモリーからのPCM 192kHz/24bit&DSD 5.6MHzファイル再生、Amazon Music HDやQobuzといったハイレゾストリーミングに加え、SpotifyやAirPlay 2などのサービスも楽しむことが可能だ。
一方アナログ系コンテンツではワイドFM対応のAM/FMチューナーも内蔵。MM型カートリッジ対応のフォノ入力も備えている。
上位クラスのスピーカーでも十分に駆動させ、音像も密度も適切に引き出す
試聴ではBowers & Wilkins “700 Series Signature”を用い、フロントLRに「702 S3 Signature」、センターに「HTM71 S3 Signature」、サラウンドLRに「705 S3 Signature」を割り当てたシステムとメインとした、5.1.2chの構成で音質検証を行った。
基本的な音質傾向として、上位クラスのスピーカーシステムである700 Series Signatureであっても十分に駆動し、高域の自然な伸びと低域の制動性を実感できる。音像の密度も適切に引き出し、バランスの整った余裕あるサウンドだ。
映画『トップガン マーヴェリック』のCH2では、声の質感も程よくボディの厚みを感じさせながら、口元のエッジをスッキリとまとめ、ナチュラルな際立ちを見せる。SEの粒立ちも丁寧に感じられ、ジェットエンジンの音も力強さと階調性の良さを両立。
BGMは管弦楽器の密度とキレが良く、ハーモニーの分離感も明瞭だ。重さのあるローエンドのリズムも、ハリのある太鼓の締まり感によってアタックを軽やかに表現。
CH12の作戦シーンでは戦闘機の動きの追随性の良さ、エンジン音の立ち上がり、キレの良さが際立つ。また、奥に定位するBGMにおける低域の響きも階調良くまとめて、音場のクリアさを一層引き立てている。上方向に動くミサイルの音もスピーディーで、S/N良く自然に広がる空間表現の巧みさも実感できた。
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