「イヤーカフ型イヤホン」5機種聴き比べレビュー!ハイエンドならではの音や装着感を徹底解説
近年、イヤホン市場で耳を塞がない “オープン型” が大きなトレンドとなる中、装着の安定感やファッション性を兼ね備えるイヤカフ型への注目はどんどん高まっている。
前回の記事では、2万円以下で気軽に買えるイヤカフ型イヤホンを紹介したが、いずれの製品も低価格帯の中で音質と機能性を高めたハイコスパなモデルばかりだった。対して、後編となる本稿では、各メーカーが持てる技術の粋を尽くした2万円台後半から約4万円の高価格帯モデルにフォーカスしていきたい。

注目「イヤーカフ型イヤホン」一斉レビュー!“ハイコスパ”6機種の装着感や音質を徹底解説
2026/04/09
この価格帯におけるイヤカフ型イヤホンは、単なる “ながら聴き” の道具ではない。専用設計のドライバーによる豊かな音響からAIによる制御まで、モデルによって様々な高品質技術が搭載されていて、いずれのモデルもクオリティが高いのだ。編集部が厳選した精鋭5機種のポテンシャルを紐解いていこう。
なお、記事中のカラーバリエーションと価格(税込)は、公式直販サイトより引用している。
HUAWEI/FreeClip 2
今や大人気のイヤーカフ型イヤホンの市場で、早くから注目モデルを送り出していたブランドのひとつが、HUAWEIだ。その製品は、快適な着け心地や、イヤホンの左右を自動識別する利便性で人気を博した。そんな特徴を全て受け継ぎながら、同社の最新技術を搭載して大きくグレードアップしたのが、最新モデル「FreeClip 2」である。
本体質量は5.1g。シリーズの象徴である「C-ブリッジ」構造を採用したスリムなブリッジは非常にしなやかで耳によくフィットし、着けていることを忘れるほど軽い。デニム調の素材を採用したユニセックスなデザインも特徴で、カジュアルなアクセサリー感覚で装着できる。
内部には、パワフルなNPU搭載AIプロセッサーと、10.8mm口径のデュアル振動板ドライバーを採用。これがイヤホン性能の肝で、周囲の環境をAIで感知し、自動でリアルタイム音量調整する高品位な機能を搭載する。
コーデックはAAC/SBCと、独自の高音質コーデックL2HCもサポート。実際、イヤカフ型としては驚くほど芯のある音を鳴らす。オープンな音場の中に、程よい低音でグルーブ感が漂っており、中域のボーカルやエフェクトの質感も伝わってきて、音楽をちゃんと楽しめるのだ。さらに、逆位相の波形を当てて音漏れを最小限に抑える技術も秀逸で、さまざまな場所で使いやすい。
Shokz/OpenDots ONE
Shokzといえば、骨伝導イヤホンで市場を牽引してきたブランド。この「OpenDots ONE」は、そんなShokzの知見を空気伝導タイプに転化した意欲作と言えよう。
同価格帯のライバル機であるFreeClip 2と同じく、左右自動識別機能に対応する利便性を備えつつ、こちらはちょっとしたランニングなどのスポーツ時にも使用しやすい安定したホールド感を誇る。
本体質量は片耳6.5g。フレキシブルな独自構造のブリッジ部はシリコン製で、軽量だがしっかり耳をホールドしてくれるので安定感がある。ズレにくい上、耳への圧迫感も全く感じず、快適な着け心地だ。
11.8o径のスピーカーを2基向かい合わせに配置することで、実質的に16o相当の駆動面積を実現するというデュアルドライバーシステムを採用した。対応するコーデックはAAC/SBCだが、サウンドモードとして「Dolby Audio」を搭載しており、音の空間表現を自然に広げて迫力を出すのが特徴。
なお、デフォルトの音の時点でしっかり低域のキレが効いていて、“低音のスカスカ感” は全くなく、ちゃんと音楽の楽しさを享受できるのが良い。さらに独自の「DirectPitch」技術によって、音源と耳との距離と角度を最適化しつつ、耳に向かう音圧を比較的大きくする機能も搭載。外耳道以外の方向への音圧を小さくして音漏れを効果的に抑えてくれるので、幅広いシーンで使える。
ソニー/LinkBuds Clip
製品名:LinkBuds Clip/直販価格:29,700円/Bluetooth:5.3(SBC/AAC)/イヤホン再生時間:約9時間/ケース併用再生時間:約37時間/防水性能:IPX4/片耳質量:約6.4g/カラー:ラベンダー、グレージュ、グリーン、ブラックの4色
完全ワイヤレスイヤホンの市場を牽引するブランドのひとつであるソニー。同社が初めて手がけたイヤカフ型イヤホンは、オープン型に出自を持つ「LinkBuds」シリーズの最新系として登場した。イヤカフ形状に最適化されたアンテナ設計を採用し、同時再送システムを採用することで接続安定性を高めるなど、同社の培ったテクノロジーが活きている。
本体質量は片耳6.4g。さまざまな人の耳形状の3Dデータを使った設計と装着試験を繰り返してデザインされたという筐体やブリッジは、軽くて着け心地が良い。さらに、付属の「フィッティングクッション」をブリッジに取り付けて調整することで、耳へのホールド感を高められる。密着感が緩いと感じたときや、軽いスポーツ時などに便利だ。
内部には10mmドライバーを搭載し、オープン型らしい開放感の中で、しっかり音楽の芯を伝えてくれる。低音の量感を確保しつつ、聴きやすくてバランスが良い音に、ソニーらしさを感じて好印象。
本音を言えばLDACに非対応なのは少々寂しいが、本機でもソニー製品ならではの圧縮音源アップスケーリング技術「DSEE」を搭載していたり、なんとイヤカフ型にして立体音響「360 Reality Audio」にも対応している。
さらに、アプリのサウンドモードから「音漏れ低減」を選べば音漏れしないようサウンドを調整してくれる上、周囲の環境に合わせて音量を自動調整する「アダプティブコントロール」にも対応するなど、機能性が光る。
beyerdynamic/AMIRON ZERO
本体質量は片耳6g。見た目に業務用機器の無骨さなどは皆無で、シンプルで丸みを帯びたコンシューマー機器らしいデザインとしている。ブリッジが耳を挟み込むホールド力は適度にがっしりしており、フィット感が高くてズレにくい上、圧迫感もなく快適。
対応コーデックはAAC/SBCで、実際に音楽を鳴らしてみると、豊かで質感の高い低域がしっかり土台を支え、ボーカルの中域にも表現力がある。
イヤカフ型としては重厚感のある聴き応えで、オープン型ならではの開放感もちゃんと活かされつつ、その上で音楽の世界観も感じ取れるバランスが良い。何よりも「beyerの作った音をイヤカフ型でカジュアルに聴ける」というのが醍醐味だ。
Bose / Ultra Open Earbuds
イヤカフ型イヤホンのハイエンドモデルといえば、真っ先に名前が上がるのがこの「Ultra Open Earbuds」。2024年に発売されてからすでに2年が経過するが、その音質クオリティや「イマーシブオーディオ」が叶えるイヤカフ型の空間サウンド体験は、今でも大きなトピックだ。
本体質量は片耳6.5g。柔らかいシリコン製の装着部は独自の「フレックスバンド」になっており、ドライバー部を耳の内側に引っ掛けながらバンドを引っ張って装着することで、耳へのフィット感をフレキシブルに調整できる。肌当たりはソフトでありつつ、しっかりと安定性は高い。ランニングなどスポーツシーンには問題なく対応できるだろう。
そのサウンドは、中域から低域がどっしりした濃厚な再生で、ちゃんと音楽に聴き応えがある。そして売りの「イマーシブオーディオ」モード。音質を向上させて深みを加える「イマーション」モードとも連携するが、まるで頭外で鳴っているかのような広がり感や、「静止モード」までもイヤカフ型で再現しているのが改めて凄いし、楽しい。この辺りのエンタメ感は、やはり本機の大きな魅力だ。
また、Bose伝統のノイズキャンセリング技術を応用した音漏れ抑制機能も優秀。イヤホン本体の物理ボタンによって再生/一時停止などの操作が行えるのも、さりげなく便利でありがたい。
