自宅での映画体験を劇場級に。北米ホームシアターブランド、Valerion「VisionMaster Pro2」を徹底解説
映画らしい上質なルック、音響は DTS Virtual:X が効果絶大
UHD BDの映画作品から高輝度収録作の代表『ハドソン川の奇跡』でも確認。チャプター5、夜のタイムズスクエアのシーンでは、電光サインが最明部にあたり、従来の映像装置では白飛びが起こりがちだが、本機は文字や色なども適度に残り情報量の多い映像に。
またその後のシーンでは、ダークカラーのジャケットを纏った主人公の背中を、色や凹凸を埋もれることなく引き出し立体感豊かに再現。「ダイナミックトーンマッピング」に加え、暗部強調技術「EBL」も働いているようだが、暗いシーンでは暗部諧調を最適化することで、映画らしい上質なルックを保っている。
映画作品の視聴で気が付くのは、24p収録作品でジャダーが目立つこと。本機に限らず、光源がパワフルで映像が明るいと、ブレが気になりやすく目の疲労にも繋がる。かといってフレーム補完機能を使うと映画の雰囲気が台無しになるのがジレンマだ。
しかし、本機はカスタム調整でジャダーとブラーをそれぞれ10段階で調整可能。原画忠実という点ではオフが基本だが、筆者はジャダーリダクションをデフォルトから少しプラスに設定すると、2時間程度の視聴でも目が疲れず、かつ、映画の雰囲気も楽しめた。高輝度プロジェクターに嬉しい機能と言える。
総合視聴はDolby Vision収録の『トップガン・マーヴェリック』にて。映像の明るさに加え、HDR感を表現しつつマッピングの正確さが際立つ。例えば砂漠の中の格納庫は、黒を沈めすぎることなく階調が豊かで柔らかな表現が上質。砂ホコリが満ちているような繊細な空気感さえも感じられる。
サウンドは低域再生も余裕があり、セリフはボディが感じられつつ明瞭。声色も素直など質の良さが耳に心地よい。また、DTS Virtual:Xの効果も絶大。オフの場合はこぢんまりとしてBluetoothスピーカーのようだが、オンにすると一転して広がりが生まれ、音の分離も良くなってサウンドに躍動感が加わる。
低域も低く分離し、セリフをより聴き取り易くする効果も。映画の包み込まれるような雰囲気を再現するには必須で、DTS Virtual:X利用によるデメリットも感じないので、常用すると良いだろう。
自宅で「劇場級の映画没入体験」を楽しむならこれ!
「スマートプロジェクター」はどれも同じでは? という先入観があったが、実際に本機をじっくりと視聴すると、明らかな違いを実感した。基礎体力として、画面の隅々まで像がシャープで明るさムラも皆無など、ハードウェアとしての土台の良さが光る。光学系のクオリティとしてはクラス最高峰と言ってよいだろう。
さらに丁寧に調整された色表現、緻密な諧調表現、明暗のコントラスト表現も極めてナチュラル。映像が少しソフトに感じるかもしれないが、これこそ上質の証。表現の幅の広さから本機の器の大きさを感じるのだ。「Hollywood Standard in Your Home」を標榜するに相応しい実力を備えた上質モデルの登場だ。
現在はオンライン販売のみだが、日本語でのサポートが受けられ、2年保証も安心材料となるだろう。設置や設定はシンプルに済ませつつ、自宅で劇場級の映画没入体験をしたいなら、本機の導入はいま最も近道と言えるかもしれない。

SPEC
Valerion「VisionMaster Pro2」
●投写方式:DLP ●投写デバイス:0.47型DMD ●表示解像度:4K(3,840×2,160) ●レンズ:光学ズーム・オートフォーカスレンズ ●光源:3色(RGB)レーザー ●投写サイズ:40 – 300型 ●明るさ:3,000ルーメン(ISO) ●スピーカー:12Wフルレンジ×2基 ●主な入出力端子:HDMI×3基(うちeARC対応×1基)、USB Type-A×2基、光デジタル音声入力×1基、LAN×1基、ステレオミニ出力×1基 ●ワイヤレス:Wi-Fi 6e、Bluetooth Ver 5.2 ●外形寸法:584W×660H×457Dmm ●質量:約7kg
(提供:Valerion)
