自宅での映画体験を劇場級に。北米ホームシアターブランド、Valerion「VisionMaster Pro2」を徹底解説
「ハリウッドスタンダードをご自宅に」を掲げる北米ブランド・Valerion
ハイエンド志向のスマートプロジェクターが性能を競い合うなか、新星とも呼べる製品が登場した。北米のホームシアターブランド「Valerion(ヴァレリオン)」の4K/HDRモデル「VisionMaster Pro2」である。
実はValerionは、日本で既に定評を得ているハイエンドプロジェクターブランド「AWOL Vision(エーウォル ビジョン)」のサブブランド。「Hollywood Standard in Your Home(ハリウッドスタンダードをご自宅に)」をキャッチフレーズとして掲げ、海外ではスクリーンやスピーカーシステムなど、ホームシアターに必要なアイテムを取り揃えるなど、精力的な展開を見せている。
日本では、AmazonでVisionMaster Pro2がオンライン購入可能となっていて、誰もがすぐ手に入れられる状態に。今回はVGP2026で部門賞に加え特別賞を受賞するなど頭角を現した本機を、実際に様々なコンテンツを視聴して徹底レビューする。
ダイナミックトーンマッピング、暗部階調最適化… ハイエンド機クラスの高画質化機能を搭載
まずは基礎体力を示すハードウェアのスペックを確認しておこう。
プロジェクターで重要な光源には、RGB独立の3レーザー方式を採用。映像の明るさは3,000ISOルーメンを誇り、色域もREC.2020比で110%を達成するなど強力だ。日中の明るいリビングでも視聴が可能なパワーと、4K/HDR時代の色鮮やかな色彩を余裕をもって投写することができる。
HDRフォーマットはHDR10に加え、HDR10+やDolby Visionにも対応。映像モードとして制作者の意図に忠実な「Filmmaker Mode」や「IMAX Enhanced」も利用可能だ。ISF認証を受けているのは本格的なキャリブレーションに対応している証だが、同認証の取得に際しては色表現の正確さなどもチェックされているので、本格派プロジェクターとして安心して利用できる根拠となるだろう。
単なる大画面投写装置ではなく、映画館のように制作者が意図した映像を自宅でも楽しめる。それが「Hollywood Standard in Your Home」を標榜するValerionのVisionMaster Pro2という訳だ。
持てる映像の基礎体力をフルに発揮するには、映像エンジン、言い換えればソフトウェアも重要だ。本機は「ダイナミックトーンマッピング」機能が利用でき、HDRコンテンツの輝度分布をフレーム毎に解析して最適化。白飛びや黒潰れを抑え、情報量の多い映像表現に寄与する。
さらに、同社独自の特許取得済み「EBL(Enhanced Black Level)」アルゴリズムは、表現が難しい暗部の階調を解析し、フレーム単位で検出・最適化を行うことで、暗部のディテールとコントラストを向上。黒とコントラストをより深く洗練させ、より豊かな階調を実現する。因みにダイナミックコントラストのスペック値は最大15,000:1である。
スマートプロジェクターはオーディオ性能も重視されるが、内蔵スピーカーシステムは12W×2の2ch仕様でDTS Virtual:Xにも対応と先進的である。
設置性関連では、スマートプロジェクターとしては珍しく0.9 - 1.5倍の光学ズームを搭載し、解像度を損なうことなく投写画面の拡大/縮小調整が可能。ほか、ソフトウェアによって実現する自動スクリーン調整、自動キーストーン、自動フォーカス、障害物自動回避といった便利な補正機能も漏れなく一通り搭載する。内蔵のToF(距離)センサーを利用し、フォーカス調整がリアルタイムで反映される使い勝手の良さも魅力だ。
さらに別売のジンバルスタンドを利用すると、投写位置を上下左右へと自在に調整でき、上述の機能の各種調整機能との相乗効果で自由度が格段に増す。設置場所が柔軟に選べるのは大きなメリットとなるだろう。


画質をチェック! 高輝度コンテンツも白飛びなし
まず製品を目の前にすると、ゴージャスな外観に惹かれる。金属やガラス風の光沢が美しいラグジュアリーな出で立ちは、一般的なスマートプロジェクターとは一線を画す雰囲気。標榜するコンセプト「Hollywood Standard in Your Home」を体現しているかのようだ。
画質もしっとりと重厚で、スマートプロジェクター最高峰と思える堂々としたもの。レンズの良さ、基礎体力の高さ、そして映像エンジンを含めた画作りの確かさを実感できる。特徴的な機能を試しつつ画質を検証した。
「ダイナミックトーンマッピング」は、先ずベンチマークソフトで基本動作を確認。MaxCLLが2,000nitsおよび10,000nitsのコンテンツで明部の白飛びが皆無。雪原や空の雲は明部が白飛びしないだけでなく、グラデーションも適切に描写。空間や被写体に奥行が感じられ、見通しの良い画が得られる。
