DALIの “プレミアム” なコンパクトスピーカー「KUPID」、音楽にいつまでも没頭できるサウンドに迫る
「ソース機器の音質の違いも明確に描き分け、音楽にのめり込むような再現も特徴」
次に、プリメインアンプはそのままに、プレーヤーにCD 50nを用いてCD再生も試聴する。Qobuzと同じ楽曲を試聴してみると、ボーカルソースは、ソースの濃厚さがしっかりと引き出されるとともに、歌声を始めとする楽器が確かな存在感でナチュラルに描き出された。CD再生ならではのまとまりの良さがあり、ソース機器によるサウンドの違いも明解に再現している。
ジャズのピアノトリオでも、音像の描写が明瞭で、ハイハットの繊細なリズムワークが左にいて、真ん中にピアノが広がり、その少し奥にベースがいるといった、3者の楽器それぞれの位置関係や遠近感が手に取るように分かる。また、余韻がふわりと広がる空気感の再現も巧みで、収録場所のアンビエンスが詳細に伝わって来る。スピーカーの存在を忘れ、音楽にのめり込むような再現なのだ。
オーケストラも、やはりきめ細やかな再現で、楽器の重層的な連なりを緻密に表現する様に驚かされる。無用な主張や衒いがどこにもなく、音楽だけに集中できるサウンドだ。空間へと広く軽やかに浮かび上がる澄んだ響きが大変心地よい。
「M-CR612」とカジュアルシステムでも風通しの良い再現で明快かつ爽快
最後に、リビングやパーソナルスペースなどにも置きやすいネットワークCDコンポ「M-CR612」を組み合わせた、カジュアルなシステムでの音質も確認してみる。
こちらも先ほどと同じ楽曲をQobuzで再生してみたが、やはり風通しの良い再現が特徴的だ。流石に解像力や空間再現力はMODEL 60nとCD50nに譲るものの、演奏のフレージングを明快かつ軽やかに描く爽快さが顕在だ。
ボーカルソースでは、歌声がしっかりとセンターに出たち、それを中心に各楽器が周りを取り巻く様子が再現される。音色は、先ほどよりも僅かに高域が華やかになり、M-CR612ならではのメリハリある描写が楽しめる。
ピアノトリオも、3者の演奏が軽やかに描かれる透明感が心地よく、音数の多いオーケストラでもフレーズの一音一音が明快で、連続的に奏されるレガートや微細な強弱も、自然と耳に入ってくる。
CD再生をしても、やはりソースの違いが的確に再現され、再生フォーマットや再生機器の違いもしっかりと再現する能力を感じさせてくれた。コンパクトなシステムでも、KUPIDの魅力が着実に発揮されることを確認できた。
普遍的なサウンドで音楽に没頭させてくれる“プレミアム”なコンパクトスピーカー
総じて、KUPIDはエントリークラスのスピーカーらしからぬ実力を持ったスピーカーだということを強く実感させられた。ともすれば、この価格帯のスピーカーでは、どこかしらの細部に綻びが生じがちなものであるが、それがないのである。
むしろ、そのニュートラルな音色表現と、レスポンスがよく風通しの良い軽快なサウンドには、音楽再生にとって必要なものが全て揃っているように感じる。
たとえ、よりハイクラスなスピーカーのサウンドを熟知していたとしても、妥協や我慢をして聴いているという印象を抱かないだろう。強い個性がない代わりに、シンプルに完結する音楽の世界観があり、飽きの来ない普遍的なサウンドを楽しむことができるのだ。
KUPIDは、ネットワークCDコンポはもちろん、リビングのテレビ周り、そしてミドルクラスのHi-Fiオーディオコンポーネントと組み合わせても、スピーカーの存在を忘れ音楽に没頭させてくれる、達観のスケール感を持った、“プレミアム” なコンパクトスピーカーなのである。
SPEC
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●スピーカーユニット:26mm ソフトドーム・トゥイーター×1、115mm ペーパー&ウッドファイバーコーン・ドライバー×1 ●再生周波数帯域:63Hz – 25kHz ●感度:83dB ●インピーダンス:4Ω ●クロスオーバー周波数:2.1kHz ●外形寸法:150W×245H×198Dmm(グリル含む) ●質量:2.96kg(グリル含む)
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)
