廉価ながら恐るべし、サンシャインのインシュレーター上位モデル「W-SPENCER GRANDE」
衝撃のハイCPモデルとして紹介したサンシャインのインシュレーター「W-SPENCER」。ここでは ‟GRANDE” を冠したその上位モデルを紹介する。「この異常な物価高の世の中で、物理特性的に最高の素材の製品を気軽にお手頃価格で楽しんで欲しい」という同社の願いが込められたインシュレーター。その実力をオーディオ評論家の炭山アキラ氏がレポートする。(編集部)
音場の透明感が大幅に向上、永遠に聴いていたい音質
サンシャインのインシュレーターは、以前にW-SPENCERを聴き、強烈な効き目と4個1組で1万円を超えない価格に衝撃を受けた。(W-SPENCERのレビュー記事)
今回試すのは、上級品にあたるW-SPENCER GRANDE B/BSである。純度99.95%のマグネシウム円盤2枚の間に制振材を挟み込んだ構成は弟分と同様だが、本作はティグロンでも採用されているマグネティックZEROプロセッサーというものがかけられている。導体でいうところの超バーンイン処理H.S.Eグランデと同様の効果を、機械的/磁気的に施すというものという。
本誌試聴室で、スピーカーのスパイクを受けて音を聴く。クラシックは音場の透明感が大幅に向上し、澄み切ったホールの空気に朗々と歌が、楽器演奏が鳴り渡り、音場空間へ音の成分が散乱し、消えいくさまが実に美しい。声の質もまるで大理石の彫像を見るような艷やかさと風格を備え、いつまでも聴いていたい音へ変貌した。
ジャズは楽器の質感がまさに生そっくりで、至近距離で斬り結ぶフリージャズ・アーティストの汗が飛んできそうな臨場感に陶然とする。ffの伸びが大幅に増し、野地フロアが下がったおかげで囁くような音の質感を見事に伝える。
ポップスは重層的な音声を見事に分解して展開、若干ソフトめの質感だった低域をガシッと締め、向上著しい。ボーカルはハスキーな持ち味を残しつつクールでどこかスイートな質感を得た。こんなボーカルが再現されることはめったにない。スピーカーの持ち味をかなりの深みまで引き出す、廉価ながら恐るべきインシュレーターと表現してよいのではないか。
音場が一気に晴れる、とてつもない実力だ
続いて、面で受けるインシュレーターとして自宅のネットワークプレーヤーで使ってみると、クラシックは深めのモヤに包まれたように感じていた音場が一気に晴れてコーラスとオケがくっきりと分離し、隅々まで見晴らせるようになった。
ジャズも濃厚な音場に演奏者が深く潜り込むような音源が、見事にトリオの姿をさらけ出し、演奏の姿が眼前へ届くようになる。それでいて、深海のような音場はまったく損なわれない。ポップスはリスナーの耳元へ囁きかけるような歌唱に心を奪われた。いやはや、とてつもない実力だ。
<SUNSHINE「W-SPENCER GRANDE」の仕様>
●素材:純マグネシウム純度99.95%
●構造:直径70o、厚さ8mmの純マグネシウムを二枚重ね、間に超薄型制振シートをサンド
(提供:株式会社サンシャイン)
※本記事は『季刊・Audio Accessory vol.198』からの転載です
