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PRLANケーブルに直列で接続して使用する

サイズアップで音質もアップ!ネットワーク再生に効く「EE1 Plus」レビュー&LANケーブルもチェック!

公開日 2025/06/17 06:30 炭山アキラ
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英国の老舗ケーブルメーカーであるCHORD COMPANY(コード・カンパニー)が創設した、ネットワーク関連アイテムを展開するEnglish Electric(イングリッシュ・エレクトリック)。同ブランドから、ネットワークのノイズ対策アイテム「EE1」のグレードアップモデルとなる「EE1 Plus」が登場した。サイズが大幅にアップし、底部にはラック等にも直置きできる2点の脚部も配置している。その音質効果を体験する!

English Electric ネットワーク専用ノイズ対策アイテム「EE1 Plus」(154,000円/税込)※LANケーブル「C-Stream」(0.75m)1本付属

ガルバニック絶縁を採用し的確にノイズを消去

自宅リスニングルームにもネットワーク・オーディオを構築しているが、イングリッシュ・エレクトリックの「EE1」を試した時の衝撃は今なお新鮮だ。試聴では、ハブとネットワーク・プレーヤーの間、ハブ側にノーブランドながらまぁそう悪くない音質のケーブル、プレーヤー側にコード・カンパニーの「エピック」を使って接続した。

ケーブルがまるまる1本増え、接点だってそれに伴って2つ増えてしまうというのに、「EE1」はそんな副作用を微塵も感じさせず、使用前とは比較にならない微小域の豊かさと肌合いのリアルさ、ジェントルだが爆発的なサウンドを聴かせてくれた。あまりに効き目が強いので、LANケーブルをテストする時にはテスト個体にゲタを履かせることになりかねず、外してやらねばならなくなったくらいだ。

そんな「EE1」にさらなる上級機種が出たというから、あわてて輸入元のアンダンテラルゴに時間を割いてもらい、少しじっくり音を聴いてきたので、報告しよう。

写真左が従来モデルの「EE1」で、右が登場の「EE1 Plus」

新作の「EE1 Plus」は、内部で上流側から吸収したノイズ成分を熱に変換して消費する方式は「EE1」と同じだが、接続機器相互のアース電位差による悪影響を排除するガルバニック絶縁を採用。フィルターも副作用を抑えるため、音質にとって最も有害な帯域のノイズのみを消去する構成となっている。コード・カンパニーが誇るアレイ・テクノロジーが採用されているのも見逃せない。

「EE1 Plus」の推奨接続例

ギョッとするような生々しい再現性

試聴室で、何も使わずに接続した場合と「EE1」を用いた音、そして「EE1 Plus」へ取り替えた音を聴いた。デフォルトでは、いずれ劣らぬ銘機・実力モデルぞろいだというのに、ややロースピードで音がこちらへ飛んでこず、少々内にこもったような音になってしまっていたのが、「EE1」を挿入すると、一気に低域がスパーンと抜けて音場が爽やかに広がり、オケはグッと奥へ定位しつつ弦群と金管の距離差をしっかりと適切に描写する。「こうでなくちゃ!」と思わず膝を打つ表現である。

ネットワークプレーヤーはLUMIN「T3X」を使用。本機とルーター間で「EE1 Plus」の効果をテストした。右にあるのがイングリッシュ・エレクトリックのネットワーク関連アイテム「8Switch」「EE1」「EE1 Plus」

続いて「EE1 Plus」と交換すると、一体何だ、この頬を撫でるような音の生々しさは。“ギョッとするような”という形容は、このような生々しさにこそ相応しい。グランカッサはさらに爆発力を増して炸裂し、金管は奏者が上手くなったような、楽器を何倍も高級なものへ買い替えたような深みと輝かしさを味わわせる。価格は2倍強になったが、効き目はとてもそんなレベルの違いではない。「せっかく音楽を聴くなら、やっぱりこういうたたずまいで聴きたいな」と、思わず独り言ちた。

 

LANケーブルの潜在能力を露呈する

しかしこの実験は、いわばここが入り口というべきだ。ルーター側のLANケーブルはコード・カンパニーの上位モデル「シグネチャー」で固定して、プレーヤー側のLANケーブルをグレードアップしていく。今は中級品の「エピック」をつないでいるが、ここをより上級のケーブルに交換すれば、「EE1 Plus」のクオリティがさらに発揮されることはもう分かったようなものだが、ここは実際に聴き比べてみねばなるまい。

ルーターから「EE1 Plus」間のLANケーブルは上位モデルの「Signature」で固定。「EE1 Plus」とプレーヤー間のLANケーブルを交換してグレードアップを体験。まずは中級モデルの「Epic」(110,000円/1m)から

早速つなぎ替えたのは「エピック」のすぐ上にあたる「シグネチャー」だった。価格はちょうど倍になるが、音の差はその価格差を埋め合わせて余りあるものだった。まず、耳へ飛び込んでくる音の成分が太い、太い!グランカッサは2回りくらい大きな楽器に交換されたような迫力で下腹を揺さぶり、金管は音色に重みが加わりつつ、軽やかに体を突き抜けていく。音楽全体の品位とスケール感が大幅向上してしまった。

次に2本とも「Signature」(220,000円/1m)で統一

「エピック」はわがレファレンスLANケーブルの1本で、相当の高品位であると認識していたのだが、上位クラスを聴いてしまうともういけない。キャラクターが同様で品位やスケールのみ向上してしまうのだから、違いが分かりやすいことといったらないのである。

ここで「セイラムT」を飛ばし、一気に最高峰の「コードミュージック」を聴く。一聴して「こいつは化け物だ!」と思った。「シグネチャー」でもグランカッサのホール全体を揺り動かす力と風のような抜けの良さは十二分だと感じていたのに、マレットがスキンへ当たる瞬間のアタックが生そっくりに聴こえ、そこから空気の爆発が超音速で吹っ飛んでくる。余分なメリハリが消失したのであろう、弦群も管も打もまさにホールへ存在して演奏している生々しさ、生の息吹が脳天を直撃する。試聴音源は長年聴き慣れたものだが、こんな恐ろしい音で聴いたことはついぞなかった。

それにしてもだ。これまでコード・カンパニーのLANケーブルは幾度となく聴いてきて、音の違いは知悉しているつもりだった。しかし、今日の試聴の驚きはどうだ。「EE1Plus」を挿入したことで、明らかにケーブルの素性が際立って違いを聴き取りやすくなる、そうとしか思えない。

これでイングリッシュ・エレクトリックの製品は高音質ハブの「8Switch」と「EE1」、そして「EE1 Plus」の3機種がそろった。我が家はNAS1台とルーターをつなぐだけのネットワークだから、実はそれほどハブが必要でもない。こういう小規模ネットワーク・オーディオを構築されている人は、高音質化の手段としてハブを買い替えるよりも先にこの「EE1 Plus」を導入されてもよいのではないか。

(提供:アンダンテラルゴ)


本記事は『季刊・Audio Accessory vol.197』からの転載です

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