HOME > レビュー > DUNU「CONCEPT R」は「音楽を聴く楽しさ」を思い出させる逸品だ。同社初のCDプレーヤーを徹底レビュー!

PR同時期に登場するイヤホン2機種と共にチェック

DUNU「CONCEPT R」は「音楽を聴く楽しさ」を思い出させる逸品だ。同社初のCDプレーヤーを徹底レビュー!

公開日 2025/06/23 06:30 鴻池賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

CONCEPT R音質チェック:大型平面ヘッドホンも思うままに駆動。滑らかなA級/力強いAB級アンプでCDの魅力を引き出す

音質はφ4.4mmヘッドホン出力を利用し、ヘッドホン「嵐 ARASHI」を組み合わせて確認した。ARASHIはDUNU初のヘッドホンだが、オープンタイプの平面磁界型で完成度が高く、VGPでも金賞を獲得した逸品だ。

DUNU初のヘッドホンにして、100mmの大口径平面磁界ドライバーを搭載する「嵐 ARASHI」(予想実売価格:税込22万9800円前後)にて試聴した

まず本機では、ヘッドホンアンプ回路の動作としてA級とAB級が選択できるのが面白い。一般論だがA級は消費電力が高いながらも低歪再生に向き、AB級は音質と低消費電力を両立する動作方式として知られている。

Placeholder Image
Placeholder Image
「M」ボタンを長押しすることで、音調が異なるA級/AB級アンプを切替可能。アンプモードはディスプレイにも表示される

実際に試聴すると、ハイレゾファイル再生に慣れた身ながら、それとはまた違った味わい深さに感心。CDが持つ潜在能力の高さを思い知らされた。希少とも言える清冽さが印象的だ。

A級動作時はバックグラウンドの静けさが圧倒的。ドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」は音の分離が良く余韻が消え際までスムースで音場の透明感と広がり感がハイエンドの領域。フォーカス良く抜け感を伴って浮かび上がるボーカルは階調豊かで柔らかく、息遣いまで立体的に描き出す。

AB級は輪郭が整ってエネルギー感が生み出され、重心が下がってリズムが明瞭かつ心地よく感じられる。どちらもそれぞれに魅力的で、組み合わせるヘッドホンや好みに応じて選ぶのも楽しいだろう。

こうしたインプレッシブなサウンド体験は、アンプ回路のみならずR-2RフルディスクリートD/Aの存在も大きそうだ。R-2R復権の背景については割愛するが、シンプルなCD再生との組み合わせは新鮮。ファイル再生では得られないCD再生ならではと思える旨味に、本製品の存在価値を感じた。

 

人気モデルの完成度を高めた、新世代イヤホン2機種も合わせて注目

「VULKAN 2」- ワイドレンジで抜け感の爽快な金属筐体ハイブリッド機

CONCEPT Rに前後して登場予定のイヤホンのひとつ「VULKAN 2」は、2022年に発売されたハイブリッド機「VULKAN」の後継にあたる新モデル。見た目には雰囲気が異なるが、VULKANで結実した設計思想を発展させた2号機として、さらなる熟成が期待できる。ドライバー構成は2ダイナミック+6BAで、VULKANの2ダイナミック+4BAと比べるとBAドライバーが2基追加された格好。ダイナミックドライバーはユニットや配置も刷新されているという。

DUNU「VULKAN 2」

サウンドは一聴してワイドレンジで抜け感が爽快。独自カスタマイズの超高域再生BAドライバーと高域再生BAドライバーのコンビネーションにより、カナル型イヤホンらしからぬ広い音場と音調に繋がっているようだ。

良質なBAドライバーならではと思える滑らかなボーカルは解放感も伴って新しい表現力を獲得。同ブランドの常識に捕らわれない先進性と、織り込まれた数々の技術とその発展を感じることができる。また低域も、低く深く沈み込み質感を伴った超低域再現と、輪郭の整ったスピード感とのバランスが絶妙。ダイナミックドライバー2基により、帯域の分担とその相乗効果が功を奏しているようだ。

前モデルと同じ金属製の筐体ながら、新しいデザインで進化を表現している

「242」 - 好評を博した人気モデルを小型平面ドライバーでより強化

「242」は好評だった「Davinci」の後継にあたり、小型平面(マイクロプラナー)ドライバー2つを加えたモデル。全体としては、2ダイナミック+4BA+2マイクロプラナーという構成で、「242」はドライバーの種類と数を示している。

DUNU「242」

実際に試聴すると、非常に高解像度でありながら、ふんわりと包み込まれるような空気感を伴うリッチな高域再現性に魅了される。突き抜けるような伸びやかさや、滑らかかつダイナミックな抑揚表現もマイクロプラナーの恩恵と言えるだろう。

エリック・クラプトンの名盤「Unplugged」は、低域が非常に低い帯域まで質感豊かで、ステージの床を踏む様子がリアル。リズムを刻む楽器がひとつプラスされたかのようにライブの熱感が増す。超低域から超高域まで音色が整い、多ドライバーの利点を完成度高く仕立てた好モデルだ。

高域に追加したマイクロプラナードライバー2基が、解像感と柔らかな空気感を表現している

CONCEPT Rは、ビンテージテイストの外観から、懐古的なCDプレーヤーのリバイバルという先入観を持っていたが、実際に聴くとハイレゾファイル再生とはまた異なり、再発見とも言える魅力を発見できた。

CDの潜在能力の高さを感じるとともに、懐かしのCDライブラリをもう一度聴き返したくなる。年々向上するスペックに囚われ、忘れかけていた「音楽を聴く楽しさ」という本質を再認識させられた。

こうしたDUNUの思想や提案性は、同社のイヤホン製品にも通じる。オーディオの楽しみを本気で追求するならば、DUNU製品はその入り口となるだろう。

単なる懐古ではなく、CDを通して音楽の楽しさを“再発見”させてくれる上質なプレーヤーだ

(提供:サウンドアース)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE