DUNU「CONCEPT R」は「音楽を聴く楽しさ」を思い出させる逸品だ。同社初のCDプレーヤーを徹底レビュー!
イヤホンで実績を積み重ね、満を持してヘッドホンにも進出したDUNU(ドゥヌゥ)。進化し続ける同ブランドの驚きとも言える新たな一手がCDプレーヤー「CONCEPT R」である。プレーヤーの中でも今や開発と製造の難易度が高いCDプレーヤーを敢えて送り出す狙いとは?「CONCEPT R」というモデル名からも、チャレンジングで提案性の濃さが期待できる。
そこで今回は、CONCEPT Rの実機をハンドリングレビュー。またDUNUの新展開のひとつとして、CONCEPT Rと同時期に登場予定のイヤホン次世代モデルも併せて紹介する。

据え置きシステムの隣にもふさわしい、研ぎ澄まされたCDプレーヤー
まずはCONCEPT Rの概要と特徴を整理しよう。大枠ではバッテリーを内蔵するポータブル運用も可能なCDプレーヤー。最大出力が1.3W(32Ω負荷時)と超強力なヘッドホンアンプを内蔵するほか、デジタル出力も可能でホームオーディオへの組み入れも視野に入る。また、USB Type-Cによるデジタル入力も可能なので、DAC/アンプ/トランスポーター的なマルチな使い方ができ、デスクトップオーディオの核としても重宝しそうだ。

特徴は、隅々までこだわりを詰め込んだユニークさ。近年、各ブランドからコンパクトなCDプレーヤーの発売が相次いでいて、様々な趣向を凝らした製品が目を惹くのは事実だが、その中でも本機は圧倒的。筐体やボタン類は全て航空グレードのアルミニウム合金削り出し品とビルドクオリティは随一。フルディスクリート構成のR-2R D/A回路の採用やA/AB級の切替が可能なアンプも興味深い。

デザイン面ではビンテージ感を意識しているが、単なるCDプレーヤーの復刻ではなく、ハイレゾファイル再生時代を経て研ぎ澄まされたリスナーの感性に挑む意気込みが感じられるのだ。CD再生を再定義し、オーディオファンに問いかけるコンセプチュアルな製品と言える。
ビンテージただよう上質な触り心地。細部にオーディオ的こだわりが宿る
本機を目の前にすると、やはり真っ先に感じるのはビンテージ感。四角くて大き目のボタンが印象的で、CDが登場して爆発的に普及した1980年代の記憶が蘇る。CD登場という革命と人々を熱狂させた数々の名機へのオマージュを感じるのだ。

アルミ削り出しでソリッドかつ精密な雰囲気もさることながら、カチッと剛性の高いボタンの押し下げや、象徴的なスライダーレバーの滑らかな操作感など、ビルドクオリティの高さも秀逸。各社からコンパクトCDプレーヤーの発売が相次いでいるが、本機の存在感は最高峰と言って良いだろう。

表示は単色OLEDで非常に鮮明。視認性が高く使い勝手の面で優れているのに加え、一般的にOLEDは液晶ディスプレイよりもノイズの発生が少なく、音質面でもプラスになりそうだ。CDオーディオ専用メカや独自開発のサーボアーキテクチャを採用し、回転音やシーク音が低く抑えられているのもオーディオライクで好ましい。


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