<連載>オーディオアクセサリーひとくちレビュー
【ミニレビュー】客観的かつ正確な再生、アキュフェーズのXLRケーブル「ASLC-10B」
今話題のアクセサリーを毎週ピックアップして、音質改善のポイントをコンパクトにご紹介する「オーディオアクセサリーひとくちレビュー」。今回は、意外に単体レビューの少ないアキュフェーズの“SRシリーズ”のXLRケーブルの音質を紐解いてみよう。

客観的かつ正確な再生に徹するケーブル
アキュフェーズのアナログXLRケーブル、「ASLC-10B」。型番中の数字は長さを示す。導体は7N高純度銅を含む4種類の銅線材2組を使用した、8芯マルチハイブリッドである。

音調はやはりというべきか、アキュフェーズのコンポーネントのそれと同傾向だ。S/Nが良く音場に清潔感が漂う。油っぽさ、コク、モワッとする湿度感といった、ある意味主観的とも言えるテイストを自身で演出しようという発想が音から感じられない。代わりに感じられるのは、自分の仕事は写真のように客観的かつ正確な再生の前提を整えることだけだという、びくとも揺るがぬ確信である。

セルビアのベーシスト、ネナド・ヴァシリッチの『Bass Room』では静けさを増した音場に彫り深く強いベースの音像が立ち現れる。かなりハイファイな録音なので、伝送性能に問題があるケーブルだと子音成分が耳に刺さりがちなのだが、客観的かつ正確な伝送に徹する「ASLC」だとまったく耳障りにはならない。
タン・ドゥン『交響曲1997「天、地、人」』でも静かな音場を背景に、同時に打ち鳴らされるたくさんの鐘の音像同士がスッキリと分離。児童合唱はノイズに汚されることなく、可憐で柔らかなテクスチャーで聴かせる。
やはりアキュフェーズのコンポーネントとの純正組み合わせがお薦めだが、他社機と組み合わせてもあまり喧嘩はしないだろう。