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PR独創のテクノロジーが生み出すメリハリサウンド

イヤホンの常識を覆す、ナチュラルな音場感。Artio第二世代機「CU2」のこだわりを聴く

公開日 2023/05/26 06:40 鴻池賢三
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ヘッドホンのような音場感を追求したイヤホン「CU1」から5年の歳月を経て、第2世代機「CU2」が誕生。独創のテクノロジーと自然な音場感へのこだわり、そのサウンドの到達点を鴻池賢三がレポートする。

Artio「CU2」¥OPEN(予想実売価格¥54,220前後/税込)
【SPEC ●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:10mm ●再生周波数帯域:20Hz - 20kHz ●インピーダンス:32Ω ●ケーブルの長さ:約1. 2m ●質量:約13g(ケーブル含まず) ●付属品:シリコンイヤーチップ(SS/S/MS/M/MS/ML/L)、イヤーチップケース、キャリングケース】

■レイアウトを変えることでより広大な音場感を獲得



Artio(アルティオ)は日本で誕生したイヤホンブランド。その名は、「Ars(人間の研鑽による成果物)」と 「Creatio(理想の創造物)」という2つのラテン語を組み合わせた造語。具体的に製品としては、イヤホン特有の音響問題に着目し、解決するためのアイデアと技術を注ぎ込んでいるのが特長だ。

今回取り上げる「CU2」の前モデルとなる「CU1」は、「ヘッドホンの音をイヤホンで再現する」のがコンセプトで、技術的には、ヘルムホルツ共鳴を応用し、特定周波数の音を抑制する特許技術「a.i.m」により、イヤホンリスニングの場合、耳孔内で共振し、ヒトが歪みとして知覚しやすいとする6kHz付近を吸収して抑制。特にカナル型の弱点となり得る音響問題にメスを入れる提案だ。

新モデルのCU2は、CU1のコンセプトを踏襲しつつ、CU1では用いた凸型のa.i.mとは異なるドーナツ(O)型のa.i.mを用いつつ、ドライバーの向きとa.i.m構造の位置関係を刷新。CU1よりも音がダイレクトに鼓膜へ向かい、解像度が高くメリハリの効いたサウンドに仕上がっているという。

開発担当者によると、CU1の開発時に既にCU2の基本となる直列配置アイデアもあり、凸型とドーナツ型の2つの形状が既に存在していたというが、ヘッドホンのテイストを求めた結果、ノズルに対しドライバーを90度の角度で設置し、対面にa.i.m構造を持つCU1に辿り着いた。確かに、サラウンドサウンドで用いられるテクニックのひとつ「Diffuse(拡散)」と通じるものがあり、納得が行くところだ。

対してCU2では、ドライバーユニットがノズルに正対し、その中間にドーナツ型のa.i.mを配置するので、CU1よりも効率的に狙った周波数の音を吸収することが可能に。これにより聴感としてメリハリが増し、結果として、担当者がヘッドホンの魅力と考えるダイナミックさと、広大な音場感を再現できるようになったという。

「CU2」ではO型のa.i.mを採用。ドライバーユニットを耳の正面に向けることで、指向性の強い帯域の減衰も可能になり、音にメリハリが生まれたのだという。また、ヘッドホンのような音場感を追求するべく、ドライバーユニットを耳から離れた位置にレイアウトしているのもポイント

とはいえ、a.i.mの効果が予想以上に大きかったため、特定の周波数の減衰量をコントロールするのに苦労したそうだ。構造的には筐体の形状がシンプルになったことで、装着性の向上にもつながっている。

また、CU2はCU1からの発展モデルだけに、ブラッシュアップが行われているのもポイントで、間口を広めに設計した新開発のイヤーチップにより、広大な音場を追求。さらに、アルミの削り出しでつくられた筐体は、Artioならではのミニマルなデザインで個性を出しつつ軽さも両立。そしてコネクターに日本ディックス社製のPentaconnEarを採用するなど、アップグレードの数々が期待を膨らませてくれる。

日本ディックス社製のPentaconnEarを採用

CU2のサウンドに合わせ、オリジナルのイヤーチップも開発。チップ先端の間口を広めに設計することで、音場感をより広く感じることができるという

■ライブ感や躍動感の高いメリハリあるサウンドが特徴



手に取るとまず感じるのは、CU1よりも一段高いグレード感。CU1は樹脂部が透明で内部の構造を魅せる演出が楽しかったが、本機はアルミ削り出しでカラーも黒鉄器をイメージしたというマット調のブラックが落ち着いた雰囲気を醸し出す。

艶消しのマットな仕上げにこだわり、黒鉄器のような質感の高さを追求した

それでいて造形は、ケーブルも含めると8分音符を連想させ、遊び心も隠されているようだ。PentaconnEarコネクターは、挿抜が非常になめらかかつ確実に嵌合するので、安心感が高い。

試聴はFiiOのDAP「M17」と組み合わせて行った。確かにCU1よりも粒立ちが明瞭。開発担当者の狙いであるダイレクト感やメリハリが感じられる。音場は広さに加え、確保された距離の中を音が定位よくなめらかに移動する。

音場の奥行き、前後左右の感覚もナチュラルだ。解像度をスポイルすることなく歪感が低減することで、ボーカルはテクスチャをしっかり残したまま聴きやすく、メリハリのダイナミズムによって躍動感やライブ感が増すのも好ましい。

頭内で音が小さくまとまらず、包み込まれるような音場感は確かで、それでいてクセを感じさせないナチュラルさの両立は立派。同社のコンセプト通りだが、イヤホンでヘッドホンの雰囲気を楽しみたいなら、本機は貴重な選択肢となるだろう。

(提供:ピクセル)



※この記事は、「プレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.20 2023 SUMMER」所収の記事を、ウェブ用に再編集したものです

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