HOME > レビュー > フルテック最高峰XLRケーブル「Lineflux NCF(XLR)」を評論家5人がレビュー!

【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞2023グランプリ受賞モデル紹介

フルテック最高峰XLRケーブル「Lineflux NCF(XLR)」を評論家5人がレビュー!

公開日 2022/12/22 06:45 福田雅光/井上千岳/林 正儀/炭山アキラ/生形三郎
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
特殊素材NCFを信号系プラグに起用した第2弾として登場したXLRプラグ「CF-601M NCF(R)」と「CF-602F NCF(R)」。そのNCF新プラグを採用したフルテックの最高峰XLRケーブルが、「Lineflux NCF(XLR)」。新プラグは純銅に独自のα処理と非磁性ロジウムメッキを施したワンピース構造で、ケーブル導体はα処理した単結晶銅のOCC導体を最大限に活かす1.3mm単芯で入念な防振とシールドを施す。「オーディオアクセサリー銘機賞2023」では、バランス接続の実力を飛躍させ、新たなハイグレードXLRケーブルの基準というべき極めて優れた性能が評価され、栄えあるグランプリを受賞。ここでは5人の審査委員によるレポートをお届けする。


FURUTECHのハイエンド・グレード XLRケーブル「Lineflux NCF(XLR)」(255,530円、1.2mペア、税込)

バランス接続のクオリティが大幅に飛躍。絶賛級で評価されるフルテックの渾身作



■驚くべき高解像度と高純度で、バランス接続本来の性能を体現(福田)

審査委員長 福田雅光氏
フルテックのXLRケーブル「Lineflux NCF(XLR)」を試聴して驚いた。従来の一般的なXLRケーブルを遙かに凌ぐ高性能であったからだ。

採用されているプラグの設計が画期的な作りである。純銅α導体のワンピース構造に、非磁性ロジウムメッキの接続端子を採用。プラグのオスとメスのコネクター構造は、聴感的にも純度の高い高解像度を達成。

また、ケーブル導体構造を見て驚いた。ここには1.3mmφの単線導体が採用されていた。高域特性に優れ、混濁が感じられない。素晴らしい倍音帯域の性能をみせている。導体は大野篤美教授が製法開発した、加熱鋳型による連続鋳造法で台湾のメーカーが製造する単結晶OCC銅である。

中低域にはエネルギーを表現する力強さを出してくる。単線導体は絶対有利な性能を示すと筆者は考えていたが、フルテックが完成させたケーブルは考えが間違いでなかったことに安心した。本格的なバランス接続の時代が到来した。


■ケーブルの潜在力を一挙に解放、疑いなく過去最高の会心作だ(井上)

井上千岳氏
ケーブル自体は従来と一緒だが、プラグが違うだけでこうも変わるものだろうかと思ったのが正直なところである。普段ならあまり認めたくない事柄だが、事実なのだから仕方がない。

ただ、それならいままでのものが劣悪だったのかといえば、そういうことではない。プラグで変わったのはおそらく最後のひと押し。それが、ケーブルの潜在的な音質を一気に引き出したのである。

だから、もともとケーブル自体の音にはそれだけのものがあった訳だ。これを新しいプラグが全開にしたということである。そう考えないと、単にこのプラグを使えば音が良くなると短絡するケースがありそうなので、その点は注意を促しておきたい。

α-OCCのシングルコア。絶縁やシールドの構造も入念だし、これで悪い訳がない。そのポテンシャルを新たなプラグが解放した。これまでのフルテック・ケーブルの中でも、最高峰と言うべき会心の仕上がりである。


■NCFのXLRプラグが効いて、倍音を拡張して低音は躍動する(林)

林 正儀氏
ラインケーブルはプラグによって大きく音質が影響されるが、プラグの支配力で言えばRCAよりもXLRではないか。フルテックのNCF採用フラグシップ級XLRプラグが歓迎されるのは当然である。

今回グランプリを受賞したのは、完成タイプの「Lineflux NCF(XLR)」だ。特別賞のXLRプラグに、ケーブル部は従来のLinefluxと同じものが装着される。これは単線のアルファOCC導体1.3mm×1および2層シールドで、共振減衰材料はセラミック/カーボンパウダー化合物だ。

単線ケーブルの特徴を持たせた、クリアで素直な音調だ。NCFが使われているのはXLRプラグの方だが、トータルでは広々としたサウンドステージやバランスの深さも大きく改善。さらに倍音成分の拡張と低音エルギーの躍動も魅力的だ。XLRケーブルにおける、プラグの重要性の高さを改めて気づかせてくれた。


■強音から弱音まで余裕のある、超ワイドレンジの並外れた表現(炭山)

炭山アキラ氏
両端プラグに「CF-601M NCF(R)」「CF-602F NCF(R)」を装着した同社最高峰インターコネクトは、ケーブル部の芯線に超低温&電磁波処理のαプロセスを施したOCC導体を採用。

絶縁体はPEで、α導体編組によって厳重にシールドされ、微粉末セラミックとカーボンが混入されたPVCシースの上からナイロンの網スリーブがかかる。非常に手の込んだ高品位な作りである。

音は目の覚めるような超ワイドレンジと目にもとまらぬハイスピード、目のくらむような切れ味を聴かせつつ、トータルでは高度にバランスの取れたアダルトな質感も漂わせるという並外れた表現力の持ち主だ。

クラシックは広大なホール音場のやや奥に大編成のオケが整然と並び、強音の一閃から弱奏の消え際まで、余裕たっぷりに表現する。ジャズはクールでパワフル、もたつきもないから実に抜けが良い。ポップスは歌手がマイクへ向かう気迫が立ち上がる。いやはやたいへんなケーブルだ。


■S/N感と情報量を大幅に向上、自然なリアリティを実現する(生形)

生形三郎氏
本ケーブルは、この度新登場したNCF採用のフルテック最高峰XLRコネクターが採用された同社フラグシップラインケーブル。昨年登場した「Line fluxNCF(RCA)」と同様に従来モデルに比べて、大幅なS/N感の向上が実現されたものとなっている。

とにかく描き出される楽器や歌声の音像は立体感を増しており、自然なリアリティが実現されている。ヴォーカル音像に付帯するリバーブ感も、余韻が長く空間の広さを如実に感じることが出来る。

ホール録音されたソースでは、ホールの残響がより上方へと展開し、こちらもやはりよりリアリティの高い音場再現が実現されている。加えて低域方向の盤石さが増していることも特徴的で、ベース楽器のボトムエンドの支えの確かさだけでなく、暗騒音に含まれる超低域成分の存在感が増し、再生のリアリティが高まっている。

また外観的にも、コネクター自体の佇まいもたいへん美しく高級感溢れるものとなっている点が秀逸だ。


【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔プラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、 内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ〔CF-601M NCF(R)〕:撚線→14AWG(2.08 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.1mm MAX●適応導体ワイヤーサイズ〔CF-602F NCF(R)〕:撚線→13AWG(2.62 sq.mm)MAX、単芯→12AWG(3.3 sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●サイズ/質量:〔CF-601M NCF(R)〕→全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、〔CF-602F NCF(R)〕→全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
(提供:フルテック)


本記事は『季刊・オーディオアクセサリー187号』からの転載です。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE