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PRアンプ製造現場である城下工業にも潜入!

Nmodeの新1bitプリメインを聴く! “超ハイコスパ”なプリメイン「X-PM5」、“音に圧倒される”「X-PM9」

公開日 2022/09/06 06:35 土方久明/ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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Nmodeのアンプ製造現場に潜入!(編集部)


Nmodeのアンプ製造を担っているのは、長野県上田市に拠点を置く(株)城下工業である。自社ブランド「Sound Warrior」のアンプやヘッドホン、「竹」を用いたスピーカーなどでオーディオファンには広く知られるが、実は業務用のヘッドセットでも大きなシェアを持っている。


長野県上田市に拠点を置く城下工業
城下工業の祖業は生糸の製造であり、第二次世界大戦以前は日本の一大輸出品目であった高品質な繊維産業に携わってきた。その後電線・電子部品の製造などを経て、教育用・業務用のオーディオ機器にも参入。現在はオーディオ機器のほかにも、モバイルバッテリーや変圧器などさまざまなエレクトロニクス製品の開発・製造を行っている。まさに日本の経済発展を「ものづくり」の現場から支えてきた会社である。


城下工業のオーディオ系製品ラインアップ。竹のスピーカーからヘッドホン、デスクトップオーディオの「SWDシリーズ」と幅広い
城下工業がNmode製品の製造を手掛けるようになってすでに10年以上にもなるという。一般的にこの形態は「OEM」、つまりブランドから委託を受けて製造を担う、という関係であるが、単に受注して製造するだけではなく、“オーディオ機器としての優れた品質を、大量生産工程でいかに実現するか”を追求している点に、城下工業ならではの強みがある。

そんな城下工業の、Nmodeブランド製造現場を取材させてもらった。

“オーディオマインド”を妥協しないものづくりの現場



取材時には、ちょうど「X-PM5」の製造工程の最終局面となっていた。シャーシやフロントパネル、電源部、モジュール化された基板などがそれぞれの協力工場から届いており、最終アッセンブリを行う段階である。最終工程は一人の職人がすべて管理しており、1回のロットでまとめて50台を製造するのだという。


組み立ての最終工程となっているNmodeの「X-PM5」。一度に50台ずつまとめて生産されていく
スタッフも必ず音質を理解した上で製造に携わる、というのは城下工業が最も大切にしていることだ。たんに送られてきた図面をそのとおりに組み立てるのではなく、実際に音を確認し「音質に関わる重要なところはどこか」を把握した上で、製造工程に入っていくのだという。

「オーディオの音質を良くする魔法の粉はありません」というのはファンダメンタルの鈴木氏の口癖だ。グラウンドをどう落とすのかや、コンデンサーの選び方といった地道な積み重ねが、最終的な出音のクオリティに関わってくる。ファンダメンタルブランドならば、すべて鈴木氏自ら組み立てているが、どうしても価格はその分高くなってしまう。Nmodeのように普及価格帯で実現するためには、大量生産における効率化や自動化がどうしても必要になるが、その工程でも「音質」を犠牲にしない、ということが大切なのだ。


Nmodeのアンプには、鈴木哲氏が特別に選定したコンデンサーも多数投入されている
城下工業社長である城下 徹氏は「オーディオ機器を量産化するにあたって、いかにコストを下げながら、しかしオーディオとしてのこだわりを徹底するか、ということをいつも考えています」とコメント。「はっきり言えばうち以外の会社では、面倒くさくて嫌がられるようなことも多いのではないでしょうか。ですが、そういった細かい要望もきちんと応えられることが、私達の強みでもあると感じています」と言葉を続ける。


城下工業社長の城下徹氏(左)と、(株)リリック技術部の伝田弘一氏(中央)。両者のオーディオへのこだわりによってNmodeのアンプは実現していく
たとえばシャーシに組み付けるにあたってのアルミのネジも、電動ドリルではなく手で回すようになっている。自動化するべきところと手作業で行うところを切り分け、Nmodeと城下工業の両者の知恵を出し合いながら、なるべく効率的な工程表を作成、場合によっては必要な治具なども作成することで、“オーディオマインド”を妥協しないものづくりを実現しているのだ


音質へのこだわりから、主要なパーツについては手作業で組み上げていくのもNmodeのこだわり
組み上げられた製品は全数検査を行う。周波数特性や出力、電源のオンオフ、リモコンの動作チェックなどを行い、合格したものだけが全国のショップに出荷されていく。全台すべてシリアル管理されているため、万一修理などで戻ってきた場合も、どういう製造工程で作られたものなのかきちんと後から追跡できるようになっている。


オーディオプレシジョンの測定器で全台測定を行い、合格したものだけが出荷される

さらなる音質的飛躍を見せるNmode。確かなものづくりが製品クオリティを支える



完成したNmodeのアンプは、鈴木氏ももちろん最終チェックを行う。今回も城下工業内の試聴室で、普段からレファレンスとして使用しているファンダメンタルのスピーカー「SM10Z」を持ち込み、「X-PM5」のサウンドをチェックした。


完成したX-PM5の音質の最終チェックをする鈴木 哲氏
改めてそのサウンドを聴いてみると、肩肘はらない自然に身体に浸透してくるような音楽の豊かさ、最先端のスペックを追求しながらも、アーティストとの距離の近さや息遣いといった音楽の旨味を引き出してくれることにこそNmodeの魅力があることを改めて感じられた。その音の仕上がりに鈴木さんも納得し、GOサインを出した。晴れて「X-PM5」は全国に出荷されていくことになる。

鈴木氏がサウンドマネージャーとして入ったことで、さらなる音質的な飛躍を見せているNmodeブランド。そのサウンドを下支えしているのは、城下工業の愚直なほどのものづくりへのこだわりにあるのだ。

(提供:リリック)

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載に加筆したものです。

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