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【特別企画】アナログアンプを搭載

“リビングオーディオ”の決定打。マランツ「MODEL 40n」は音楽も映画も高臨場感で楽しめる

2022/03/14 小原由夫
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電源も大型トロイダルトランスを擁したプレミアムグレードタイプで、ブロック型電解コンデンサーに大容量タイプが奢られている。

クラス最大級の129mm、3.4kgの巨大なトロイダルトランスと18,000μFのブロックコンデンサを搭載

筐体はスチールとアルミを組み合わせた堅牢な構造。特に曲げ加工が施されたサイドカバーは、アルミ製5.7mmと分厚い。持つとズシリとした手応えとリジットさが実感できることだろう。内部のシールドも厳重で、DAC基板やHDMI回路基板、フォノイコライザー回路などが何重にもガードされている。

MODEL 40n内部。右側のシールドケースは、PHONO、DAC基板、HEOS/HDMI基板をそれぞれケースで保護した2層3ボックスとなっている

一方で機能面の補足をすると、ストリーミングについてはD&M自慢のHEOS対応。Amazon Music HDなどが気軽に楽しめる。

入力端子にRCAが3系統、PHONO(MM)、HDMI/ARC、LAN、光デジタル、同軸デジタル、パワーアンプダイレクト、USB-Aをそれぞれ1系統、出力端子はREC、サブウーファープリアウトをそれぞれ1系統装備する

こうして見ると、本機MODEL 40nは、HDMI端子を含むAVアンプ的機能も取り込みながら、プレミアムグレードに匹敵するピュアオーディオ的フィロソフィーも内包した、実にユニークなポジションの製品ということができる。

■アナログアンプ搭載に加えリビングとの親和性も高い

では、CD/SACDのステレオ再生からチェックしていこう。一聴して感じるのはS/Nのよさだ。それに裏打ちされてなのだろう、パースペクティブの見通しが抜群によい。この段階で、プレミアムグレードにふさわしいハイファイコンポとしてのクオリティを備えていることがわかる。

ボリューム回路には、可変ゲイン型を採用。最新のボリューム素子、日清紡マイクロデバイス「MUSES」72323を採用し、ボリューム実使用領域(0〜78)の大幅なノイズの改善を実現

パトリシア・バーバーのヴォーカルは音像フォルムが立体的に浮かび上がり、そのすぐ後ろにガッドギターの音像が定位する。声の瑞々しさ、爪弾くアルペジオの旋律の克明さがいい。

上原ひろみのピアノカルテットのSACDは、滑らかな弦の響きに鞭を打つかのようにアタックの鋭いピアノが絡み付く。抑揚感とスピード感が印象的なその再現は、本機のトランジェントのよさ、ひいてはスルーレートの高さを示すものだ。

同じ曲をAmazon Music HDで試聴。フォーマットは192kHz/24bitである。DSD音声のSACDに比べていくぶん華やかで鮮烈。音色の潤いという点ではDSDが好ましいが、エネルギー感の強さとではリニアPCMも魅力的だ。

ここまではB&Wのスピーカー「803 D3」を組み合わせて試聴したが、テレビを用意して映像コンテンツを観るに当たり、スピーカーをDALIのコンパクトな2ウェイ「OPTICON 1 Mk2」にチェンジし、今度はHDMI/ARCの音質確認である。ブルーレイディスクにてデヴィッド・バーン『アメリカン・ユートピア』を観た。

リビングとの親和性にも注目

ステージ幕開けは、歌う3人とキーボードと打楽器一人とシンプルだが、プログラムが進むに連れてギターやベースだけでなく、様々なパーカッションが複数加わっていく。そうやってどんどん編成が大きくなっていく様子をMODEL 40nはクリアに、しかもビート/リズムをどんどん分厚く再現していったのには感心した。観衆の反応もそれと一体となって会場全体が次第に盛り上がり、臨場感が増していくのがわかった。

ステレオ再生ではあっても、音楽がヒートアップしていってホール全体の温度感が高まり、空気感が密になっていく様子がありありと実感できた。

肩肘張らずにさまざまなコンテンツを自由に楽しみたいが、クオリティには妥協はしたくない。そんなニーズにMODEL 40nは好適といえそう。リビングオーディオにこれほどふさわしいモデルはないかもしれない。

(協力:ディーアンドエムホールディングス)

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