【特別企画】オーディオ銘機賞2022 金賞受賞

フェーズメーションの新たなスタンダード。フォノEQ「EA-1200」は心に響く濃厚な音楽を堪能させる

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角田郁雄
2021年12月06日
オーディオ銘機賞2022にて、金賞を受賞したフェーズメーションのフォノイコライザー「EA-1200」。2020年に衝撃のデビューを飾った全6筐体構成のフォノアンプ「EA-2000」の音を色濃く継承したモデルとなっている。フェーズメーションの新たなスタンダードとなるフォノアンプのサウンドを探ってみよう。

Phasemationのフォノイコライザー「EA-1200」(価格:1,210,000円/税込)

■デザインを一新、さらに洗練された3筐体式のフォノイコライザー

歴史あるレコードから、あたかも録音現場に遡ったかのような、生々しい演奏を空間描写させるフェーズメーションのモデルたち。演奏の情念までも再現することをテーマの一つとし、まずはこれを実現させるため、カートリッジでは高精度な磁気回路を自社開発した。さらにフォノイコライザーやプリアンプ、昇圧トランスには革新的な高解像度かつワイドレンジな自社開発のトランスを搭載。

そんな同社は来年、創業20周年を迎えるが、それを記念するかのように、今回モノラル構成のセパレート式フォノイコライザー・システム「EA-1200」を登場させた。本機は、あの6筐体のフラグシップモデル「EA-2000」に準ずるリファレンスモデルで、ロングランの「EA-1000」の後継機となる。

まずデザインが一新された。プリアンプ「CA-1000」から採用されたエレガントでマットな質を感じさせるゴールド・カラー仕上げである。フロントは10mm厚のアルミ製で上部を斜めにカットしたスラントパネル。筐体は2mm厚のアルミ製でパーマロイ板を重ねて磁気シールドしている。基板が設置されるシャーシは1.6mm厚の銅メッキ鋼板を採用し、脚部には、重量級金属インシュレーターを採用した3点支持。

「EA-1000」から9年ぶりの後継機発売。デザインも一新された

機能としてはRCA、XLRの入力を3系統装備し、右のスイッチでMM/MCの切り替え、カートリッジのデガウス(消磁)も行える。中央のスイッチは入力切り替えで、DECCA等のイコライザーカーブに対応のMono1、コロンビア対応のMono2、ステレオ用RIAAが選択できる。ゲインはMMで40dB、MCで66dBであるが、同社がいち早く導入したMCのバランス入力とアンバランス入力の切り替えも可能だ。

中央にインプット切り替え、左はカーブの切り替えスイッチ、右はMM/MCとデガウスの設定ができる

■LCR型イコライザーと新開発のトランスを搭載

内部回路も紹介しよう。信号入力部にはMCトランスを配置。これは同社のMCバランス接続対応昇圧トランス「T-1000」相当で特別なチューニングがされている。なお、このトランスをイコライザー回路の横に置くと音質に影響するため、密閉ではなく片側だけを遮蔽した硅砂鋼板によるシールドを行い、設置場所や設置の方向を慎重に検討したそうである。これが開発の苦労話の一つとのこと。

これに続くイコライザー・アンプは、過渡特性に優れ、音質で定評のあるECC-803による無帰還SRPP型増幅回路とECC-802Sによる低インピーダンス出力カソードフォロアーをユニットアンプとして採用。イコライザー回路は信号伝送を低インピーダンス化できるLCR型とし、電力損失と誘導ノイズを最小限に抑えている。そのために、独自仕様の大型コイルや高音質フィルムコンデンサー等の高音質パーツを使用し、入力信号の情報をロスなく最終段から出力させている。

入力はRCAとXLRが各3系統、出力はRCAを1系統装備。3系統の入力の全てでバランス対応入力のMCとMMの切り替えが可能。またMCのアンバランス接続時のノイズ対策としてBAL/UNBAL切り替えスイッチも採用する

音質に影響する電源部も別筐体であり、十分に余裕のあるRコアトランスを搭載。整流回路では、原理的にスイッチング・ノイズを発生させない整流管、5U4Gと左右独立の2式のチョークコイルを採用。それぞれに磁気シールドも行い、クリーンで強力な電源部を構成している。さらには、ユニットアンプのヒーター電源に3端子レギュレーターによるDC点火方式を採用し、高S/Nを実現。

本機の電源部。EA-1000の電源部をベースに、さらなるノイズ対策を実施。よりクリーンで強力になった左右共用構成

実際に本機の内部写真を見たが、EA-1000よりも回路基板が整然としており、さらなる高速伝送を実現している印象も受けた。他の同社製品同様、ハンドメイドのような丁重な作り込みの良さも感じることができた。

■空気感がより鮮明になり、余韻や残響が美しく再現される

驚くのはその音だ。私も長年EA-1000を愛用してきたが、明らかにブラッシュさせた印象を受けた。その特徴の一つは空気感やアンビエントがさらに鮮明になった点。奏者の演奏のさまを、今まで以上にヴィヴィッドに空間再現する。一音一音の透明感も向上し、例えばピアノの高い音階の一音が再生されると、その音がリアルに立ち上がり、その余韻、残響が美しく再現されると同時に、暗黒の背景が一気に後退していく。素晴らしいリアリティで、ソロ演奏はもちろん壮大なオーケストラであっても、空間再現性は今まで以上に高く、ワイドレンジかつ高解像度に再現される。

真空管方式でありながらも、優れた入力換算雑音特性-146dBV(MC)を実現し、結果として「EA-1200」は、さらにダイナミックレンジが拡張され、心に響く濃厚な音楽を堪能させてくれている。フェーズメーションは、またしてもやってくれた。

(提供:協同電子エンジニアリング)

本記事は『季刊・analog vol.73』からの転載です。

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