【特別企画】ケーブルの持ち味を十全に発揮させる

自作ケーブルにも効果あり!ティグロン独自の「H.S.E.処理」体験レポート

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生形三郎/小原由夫/鈴木 裕
2021年09月15日
ここ数年で劇的な進化を遂げているティグロンのケーブル群。その大きな要素となっているのが独自のバーンイン技術「H.S.E.」に他ならない。この画期的な処理技術を自社製品に採用するだけではもったいない。ということでいよいよ自社製品以外のケーブルの一般向けの処理サービスを開始することとなった。この処理を自作ケーブルで体験した生形三郎、小原由夫、鈴木 裕氏による体験レポートをお届けしよう。


ティグロンのH.S.E.処理とは?
プログラムされた0〜100kHzまでの広帯域な信号や、特殊な電流を導体に一定時間流すことにより、導体に流れる電気信号の可動域を広げ、ケーブル本来の音質を引き出すことが可能になるというもの。ティグロンにH.S.E.処理をして欲しい製品を送付、数日程度で処理済みのものが返送されてくる。
【対象製品】
音響用ケーブル全般、LAN・USBケーブル、コネクター類、イヤフォンリケーブル、 電源タップ
【H.S.E.が不可能な製品】
フィルター等の電子部品が付いているもの、10mを超えるもの、端末加工がされていないもの、著しく破損がみられるもの、特殊な形状のコネクターが付いているもの
【受付方法】
各販売店、もしくは同社のウェブサイト「H.S.E.トリートメントサービス」より受付
【定価】
13,200円(税込)


■ケーブル本来の持ち味を芯から引き出してくれる(生形)

H.S.E.処理は、ケーブル自体の持ち味や能力をより十全に発揮させる独自のバーンイン技術である。ティグロンによると、ケーブルに対して、プログラムされた広帯域信号や特殊電流を一定時間流すことによって、導体に流れる電気信号の可動域を広げ、ケーブル本来の音質を引き出すことが可能になるのだという。

生形氏の自作電源ケーブルでは、クリプトンの「PC-HR1500M TripleC」とオヤイデのコネクタ「M1」「F1」にシックスエレメントのアクセサリー等を追加

そしてこの度、その技術がついに一般にも広く提供されることとなったから驚きである。同社は、この技術を開発した2015年以来今日まで、自社製品以外のケーブル数百本について実験や検証を重ねて一定の効果を確認できたことから、このサービス開始に踏み切ったのだという。

以前、ティグロンのインターコネクトケーブルで処理前後の音を比較したことがあるが、スピーカーの音離れが良好化したように空間描写が明瞭化・広大化するとともに、音像輪郭のシャープネスが向上し、音響再現におけるリアリティのグレードアップを実感した。しかしながら、神経質な方向性になるどころか、逆に、より伸び伸びとした質感を獲得したから驚かされた。

また、同社製電源ケーブルでの比較試聴では、先述の伸び伸びとした質感の獲得に加え、音の立ち上がりの俊敏さや厚みなど、エネルギッシュな積極性が一層加速した。察するに、同社が用いるディップフォーミングOFCによる高解像かつパワフルな個性がより明瞭化すると同時に、マグネシウムシールド及びマグネシウムフィルターによる静寂感が際立ち、より充足感のある聴き心地を堪能させたのだと実感した。

実は、先日発売された『AudioAccessory vol.182』にて企画された“自作電源ケーブル選手権”(編注:9人のオーディオ評論家が自作電源ケーブルを制作、相互に評価し合うというもの)でも、このH.S.E.処理を自作ケーブルにも使用してみた。

結論から言えば、やはりケーブル自体が総合的に持つ特徴がさらに引き出される印象であった。今回は、ケーブルにクリプトンの「PC-HR1500M Triple C」を使用したが、そのケーブルや、使用したオヤイデ製コネクター「F1」、プラグ「M1」の特徴が良く発揮されているのだ。もともと、ワイドバンドかつ明瞭明晰な印象のあるケーブルだったが、H.S.E.処理後に聴いてみると、一段とその効果が強まり、いっそう明快な音質になっていた。

H.S.E.処理は、特定の効果やキャラクターを新たに付加したりするような処理ではなく、純粋にケーブル自体の持ち味を芯から引き出して最大化してくれる存在なのである。

■恐るべしH.S.E.処理、エネルギーに満ち音場の見通しがクリアに(小原)

「電源ケーブル選手権2021」にて、私は自作ケーブルにティグロンのH.S.E.処理を依頼して臨んだ。併せて同社代表の沖野さんからH.S.E.処理ありなしの電源ケーブルの同一品を拝借し(MGL-DFA10)、自宅システムにて比較試聴させて頂き、その効果が予想以上に顕著であったため、ここにレビューを記すこととなった次第である。

小原氏の電源ケーブルではオヤイデの「VONDITA」にプラグはフルテックの「FI-48/48M NCF(R)」を使用。中村製作所のアモルメットコアや自作インシュレーターなどを追加している

H.S.E.処理とは、「Hyper Saturated Energizer」の略で、ティグロンを含めた欧米とアジアのケーブル技術集団が共同開発したケーブル活性化の独自プログラムとある。すべてが公表されてはいないが、明らかになっている処方は、0〜100kHzの可聴帯域を超える周波数やプログラミングされた特殊な電流を導体に流すことで、ケーブルのエージング時間を大幅に短縮させ、完成域に近づけるもの。いわば刀鍛冶でいうところの「焼き入れ、焼きなまし」に近い作用になるのではと私は理解した。

この処方は、ケーブル等を一定期間ティグロンに預け、専用装置によって処理してもらうことになる。今回、自作ケーブルに施してみたところ、中域から低域にかけてのエネルギー感がよりパワフルな押出しとなり、高域も一段としなやかになった。他方では、S/Nの向上によって音場の見通しが俄然クリアに。H.S.E.処理恐るべしというところだ。

MGL-DFA10によるH.S.E.処理ありなしの一対比較でも、その効能はより鮮明に実感できた。H.S.E.処理によって音場感の奥行き表現はより深く、広くなり、処理なしはこじんまりとして聴こえる。音像フォルムの実体感もH.S.E.処理によってさらに明瞭となり、厚みが増した印象だ。エネルギーバランスは低重心になって安定感がアップ。トランジェント感もより鋭敏になる。

一方で、電源ケーブルが元々有しているベーシックなキャラクターを変質させたり、湾曲させたりすることがないのがH.S.E.処理の素晴らしいところ。その上で、パフォーマンスを高めてくれる(潜在している能力高めてくれる)のが私が最も気に入った部分だ。

読者諸氏も、お気にいりのケーブルのHSE処理を依頼してみてはいかがだろう。おそらく目から鱗に違いない。

■ステージが拡大し、きわめて細やかなニュアンスも再現(鈴木)

ティグロンのバーンイン技術H.S.E.は、2015年頃から開発され、自社製品以外のケーブル数百本についても実験や検証を重ねて来たという。その内容は「プログラムされた0〜100kHzまでの広帯域な信号や、特殊な電流を導体に一定時間流すことにより、導体に流れる電気信号の可動域を広げる」効果。信号ケーブルに対するH.S.E.処理のあり/なしを経験しているし、直近に自作電源ケーブル6本の処理をやってもらったばかりなのでその効果をまとめてみたい。

鈴木氏の電源ケーブルはサエクの「AC-6000」をダブルで、電源プラグはフルテックの「FI-11M」と「FI-48 NCF(R)」を使用。カーボンプレートや包帯(綿)、粘着テープなどを追加している

まずその効果としてティグロンでは「癖のない自然な質感になる」「音の瞬発力、制動性、分解能、S/Nが向上する」「奥行き方向の情報量が増し、立体的な音質になる」といった点を挙げているがまさにその通り。特に高域の強調感がなくなったり、空間が広く深くなる度合いは相当に高い。

付け加えると “バーンイン” という言葉からは慣らしを速めるイメージがあるが、慣らし以上に音質向上がある。客観的に言うと音が活性化すると言うか、主観的に表現すれば「ホトケ作って魂入れる」みたいに感じている。

もうひとつ付け加えたいのは、導体という、電気(信号)が流れる部分に対してだけでなく、たとえば電源ケーブルで言えば3本の導体が軽く縒ってあって、シールドや被覆の中に入っているが、絶縁体やシールド等に対しての効果までも感じる点だ。実際、処理をした直後はケーブル自体が温まっているが、ケーブルの製造工程で生じる機械的なストレスや物理的な歪みが開放され、その効果が音にも反映されてくる印象がある。

今回の「電源ケーブル選手権」にエントリーしたケーブルが、ティグロンから返ってきた時には驚かされた。全体的にエネルギー感が上がっているのだが、サウンドステージが大きく拡がり、低音が深々と鳴っている。音が自由に振る舞いつつきわめて細やかなニュアンスも出るようにもなっている。実は返却後に、金属プレート等を使ってもう少しチューニングを進めようと思っていたのだが、いい意味で諦めた。ちょっとやそっとでは越えられない音に感じたからだ。変なことをするとバランスを崩すとさえ思ったのだ。

(提供:ティグロン)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.182』からの転載です

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