【特別企画】845ならではの持ち味と魅力を引き出すモデル

300B真空管をドライブ段に搭載。JUNONEブランド第2弾プリメイン「JUNONE 845S」を聴く

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小原由夫

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2021年07月09日

845の力感だけではなく、穏やかで繊細なサウンド

まずは大まかな音の傾向を探るべく、CDで聴いた。グイグイとスピーカーを駆動するというタイプでなく、濃密な中にジワジワと滋味が溢れだしてくるようなニュアンスの音だ。威風堂々とした845の姿形の印象からすると、もっとガツンとくる音を想像しがちだが、穏やかで繊細なサウンドが実に印象的。この辺りはドライバー管として用いられた300Bのキャラクターが出ているように思う。その一方で、ヴォーカルのボディのふくよかさやベースの重心の低さには、出力の845が担っていることは確実だ。

本機の背面。4系統のRCA入力を備えている。左側はパワーアンプとして使用する場合のMAIN IN端子。スイッチの切り換えで対応可 。スピーカーターミナルは、バナナプラグにも対応した金メッキ仕様となっている

アナログ試聴はテクニクス「SL-1000R」にカートリッジはマイソニックラボ「Ultra Eminent Bc」、フォノイコライザーアンプはアキュフェーズ「C-47」という布陣で実施した。

大貫妙子のリマスター盤「ピュア・アコースティック」では、弦楽隊のアンサンブルが実にニュアンス豊か。爪弾く弦のアルペジオの響きがホールのリヴァーブに絶妙に溶け込んで、大貫の声の透明感とも合わさり、清らかなステージと世界観を表現している。まさしくうっとりするような美しさだ。接点部の勘合がよりしっかりとしたソケットを得たことで、ガラス管の鳴きが押さえられ、よりクリアでタイトな音が得られたのだろう。

市販品に満足できるクオリティの製品が無かったため、新規に開発した845用のソケット。ピン部分をテーパー状とすることで抜けにくい構造としている

ダイレクト・カッティングによる45回転盤の八木隆幸トリオ「コンゴ・ブルー」では、極めて鮮烈かつ鮮度の高いピアノトリオ演奏が楽しめた。旋律のブルージーなムードに加え、高い鍵盤の音の抜けのよさ、歪み感の少なさは、ダイレクト・カッティングならではと思う。ステレオイメージの中にそれぞれの楽器の距離感を精巧に描写する辺りは、本機ならではの持ち味、魅力といえそうだ。

米LAのファンクバンド「フィアレス・フライヤーズ」では、ホーンセクションのファンキーなメロディーと、リズム隊の切れ味鋭いビートが実に心地よく、自然と体が動いてしまいそう。この乗りの良さから、845Sのパフォーマンスに対する信頼感が沸いてくる。

佇まいもなかなか精悍な845S。ラック設置時は付属のボンネットは外し、放熱に十分配慮して使いたい。


開発者から


株式会社トライオード 代表取締役 山撫一氏

JUNONEシリーズ第2弾として登場した「JUNONE 845S」。その威風堂々たる風格とその音楽表現は、オーディオ機器で再生していることを忘れるくらいナチュラルかつダイナミックに音楽を描写していきます。

打楽器、管楽器、弦楽器を分け隔てることなく、凜とした佇まいの中で正確に表現し続け、ハードとしての真空管、トランジスターといったデバイス論の領域を大幅に超越して、悩み多きユーザーの方々へ音楽の楽しさを伝えるべく開発しました。

JUNONE 845Sが皆様のシステムの一員となった時、極上のワインのごとくその余韻に包まれることでしょう。一生に一度の悔いのないオーディオ人生を送れることをお約束します。


<Specification>
●回路型式:A級 シングル●使用真空管:845×2、PSVANE WE300B×2、12AT7×2、12AX7×2●バイアス方式:固定バイアス●定格出力:22W+22W(8Ω)●周波数特性:25Hz-36kHz(-3dB)●SN比:85dB●入力端子:RCA×4、MAIN IN×1●入力感度/インピーダンス:LINE 220mV/100kΩ、MAIN IN 1500mV/10kΩ●スピーカー出力端子:1系統(4-8Ω)●消費電力:330W●外形寸法:430W×277H×410Dmm●質量:45kg●付属品:真空管ボンネット、電源ケーブル「TR-PS2」、リモコン●取り扱い:(株)トライオード


本記事は季刊analog vol.70 WINTERからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから

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