【特別企画】3人の評論家がAMPHIONの魅力を徹底解析

新進気鋭、北欧のスピーカーブランドAMPHION。プロが選ぶ“忠実な音”の秘密とは

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大橋伸太郎/岩井 喬/海上 忍

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2021年01月20日
自国フィンランドでの生産にこだわり、“忠実で心地よいサウンド”をコンセプトとして1998年に誕生したスピーカーブランド「AMPHION(アンフィオン)」。プロの制作現場でも使用される確かな信頼性に加えて、VGP2020 SUMMERでは「Argonシリーズ」が特別大賞の栄誉に輝いた。評論家からエンジニアまで各界のプロが惚れ込むそのサウンドについて、主力モデルである「Argon7LS」からその魅力を紐解きます。

「Argon7LS」



大橋伸太郎
聴き手を包み込むような自然な広がりに引き込まれる

北欧のスピーカーは、1970年代から日本のオーディオファイル、音楽ファンを惹き付けてきた。スピーカーの音質は生産国の母国音楽と深い関係がある。独墺やイタリアの音楽は伝統的に旋律主導だが、シベリウスに代表される北欧音楽は音色主導である。北欧のスピーカーからもそうした感性が聴き取れる。自然に満ちている音を心地よい一種の音楽として聴く私たち日本人にとっても、北欧のスピーカーの響きは近しいものに感じられる。

北欧のニューウェーブを代表する存在が、フィンランド・クオピオに1998年名乗りを上げた「AMPHION(アンフィオン)」だ。全製品を自国内で生産し、北欧の感性をベースにした科学的で大胆なアプローチが特徴だ。このたび日本に「Argonシリーズ」を導入、今回はハイエンドモデルのフロア型スピーカーArgon7LSを本誌試聴室で聴いた。

低音域は、スピーカーの背面に2基のパッシブラジエーターを搭載することで、音像のキレや立ち上がりのスピードを強化。クリアで立体的な音響空間を作っている

Argon7LSは、インテリア大国フィンランドらしいミニマルで美しい佇まい。搭載するドライバーはノルウェー「SEAS」を独自にカスタマイズし、ミッドレンジ/ウーファーとパッシブラジエーターでトゥイーターを挟み込む2ウェイ仮想同軸構成を採用。トゥイーターとのクロスオーバー周波数をやや低目の1.6k㎐に設定、ウーファーのボイスコイル配置と一致させているのは位相を整合させることが目的で、リニアフェイズ的な思想に基づくスピーカーであることがわかる。

一聴しただけで、聴き手を包み込むような音楽の自然な広がりに引き込まれる。パッシブラジエーターによる低域に演出色や力みがなく遅れも少ない。周波数レンジの全域にわたってなだらかで自然体。何時間聴いていても疲労を感じないだろう。

高品質の「SEAS」ドライバーを採用。トゥイーターとウーファーは、ボイスコイル配置を一致させ位相を整合させることで、自然で明瞭な音色表現を図っている

サービスエリアが広いことも特筆。トゥイーター周辺のすり鉢型の大口径ウェーブガイド(人工大理石設計)がディスパージョン拡散効果を上げているが音場に密度がある。リビングの形状や広さ、ガラスサッシ等の有無、本機の設置位置に左右されずバランスよく安定した音場再生ができる。つまり「誰がどう使うか」まで科学的なのだ。

清新な存在感のインパクトが高く評価され、VGPでは特別大賞の栄誉に輝いた。英国勢やその他欧州、北米のスピーカーに何か物足りなさを感じているなら、いま必聴のスピーカーといえる。

続いて岩井 喬、海上 忍がレビュー

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