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【特別企画】1年も経たずに更新を決意させた魅力とは

オーディオ評論家が、薄型AVアンプからマランツ「SR6015」に買い換えた理由

公開日 2020/11/19 06:40 生形 三郎
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NR1711 / SR8015と比較した「SR6015」の良さ

NR1710や NR1711との比較で言えば、とりわけ、高域方向の質感は、よりナチュラルなサウンドを獲得しており、質が高い。それは、例えばグランドピアノのサスティンペダルを踏み込んだ際の弦の澄んだ響き、シンバル等の高域方向の複雑なレゾナンスなどに顕著に表われる。より繊細な表現も、楽器本来の音色を緻密に描きあげるのである。

低域方向も、さらに充実した駆動力で、よりナチュラルに低音が繰り出されている。繊細さだけで無く、エネルギーの充実が肝となる音楽ジャンルも充足感溢れる音を楽しませてくれる。これらはまさに先述の映画への没入感にダイレクトに関わる部分だろう。

マランツAVアンプの「音」に惚れ込んでいる生形氏。機能性と音質を両立しているところが魅力だという

さらに、別の機会に、上位機の一体型AVアンプ「SR8015」との音質比較も、マランツ試聴室で実施することができた。結論としては、SR8015の方がよりゴージャスな質感で、S/N感も高く、饒舌に音楽を楽しませてくれるサウンドだと筆者は感じた。その意味で、さらにオーディオ的なサウンドだ。逆に言えば、パーツや電源構成の充実によるであろう磐石な駆動力はSR8015に分がありながらも、SR6015は、上質でありつつも、よりシンプルでナチュラルな方向性の音傾向だとも感じられた。この辺りは、好みも大きく影響してくるだろう。

「SR6015」の魅力は、先述のように、「完成度の高い普遍的な美しさを持つ音質」と「アンプとしての確固たる基礎体力」が、この値段、そしてこの多機能性と共に実現されている、ということだ。これは、日常的に多くのオーディオ機器に接している身からすると、まったくもって驚きに値する。これらをこの価格で実現できるのは、やはりメーカーとしての総合的な開発力が優れているからに他ならないだろう。

そんな、充実した内容の9chアンプに加えて、8K/60PやMPEG-4 AAC(ステレオ、5.1ch)対応、新世代3Dオーディオフォーマットやゲームの次世代スペックに対応するHDMI2.1の新機能の搭載などまで、各種最新の規格にきっちりと対応しつつ、税抜148,000円だというのだから、これはもうある意味で反則と言えるほどだ。

デザイン面についても少し触れたい。筆者としては「音」のことばかりが先行していたが、実際に導入してみると、デザイン面でも、NR1710では味わえなかった上質感を楽しむことができた。フロントマスクに配された丸形の小窓と、開閉式のフロントパネルである。

フロントパネルはNR1710より小さくなった。当初は表示が見えづらくなるかと思っていたがそんなことはなく、しかも3つの円が並ぶところが美しい

小窓のデザインは、当初は表示項目が見えづらくなるかと思いきや、そんなことはなく、むしろ、マランツの象徴的なデザインである3つの円が並ぶ安定感あるフォルムの美しさを実感できた。加えて、非使用時にコネクタやボタン類を隠してくれる開閉式のパネルが、それを引き立てるシンプルなパネル作りに役立っているのである。これらの意匠が、所有者に一層の特別感を与えてくれることを、自宅でじっくりと使用してみて改めて実感したので、ここに忘れずに申し上げておきたい。



筆者としては、今後はスピーカーシステムを、5.1.4 ch や7.1.2 ch環境へと順次構築を広げて、本機の性能をさらに発揮させていきたいと思っている。

以上、「音質」を評価する立場にある身から、手放しでそのクオリティを保証できるのが、この「SR6015」なのである。ぜひとも一度ご賞味頂きたい。

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