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【特別企画】シースの弊害から解放してくれる

フォノケーブルにも効果あり!「スパイラルエキサイター」でアナログ再生がグレードアップ

2020/09/10 林 正儀
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■マグネシウムのシールド効果を応用したケーブルインシュレーター

ハイCPケーブルの強力なラインナップや制振チップ「D-REN」で人気急上昇のサンシャインが、新しいカテゴリーに挑戦。「Spiral Exciter(スパイラルエキサイター)」と言う巻きつけ式のケーブルインシュレーターが登場、オーディオファン注目のアイテムとなっている。


SUNSHINE
Spiral Exciter

ケーブル対策アクセサリー
¥14,500(1本・税抜)

同社のケーブルで採用しているマグネシウムシールドの応用技術として、当初ノンシールドケーブルのグレードアップ用に研究されたようだが、完成してみればシールドの有無を問わずその絶大な効果に驚いた。物量投入の高額ケーブルであっても、そこからさらに大きくクオリティアップするのである。

製品はカールさせた形状で、断面を見ると0.1mm×3mmの極薄マグネシウム箔を塩ビ系エラストマーで覆ったもの。長さは65cmだ。ただケーブルを通すのではなく、強く締め上げるように密着させるのが正しい使い方である。

マグネシウムは金属中最速の振動処理スピード。そして強力な電磁波シールド作用を備えその効果は周知の通りだが、「スパイラルエキサイター」が画期的なのは、ずばり “シースの弊害から解放” してくれる点だ。

そもそもシースは必要悪なところがある。多少なりとも素材のクセが乗り、音が変質してしまうからだ。高い安いではなく、シースの影響で欠落や変質した音楽情報を、根本的にその弊害を消すことによって蘇らせようという発想である。

ケーブルに直接巻きつけるものがこれまでなかったのはなぜか? 巻いたことによるハイブリッド構造で、素材が音に悪さをするためだと思うが、試行錯誤を重ね見つけ出した解答が本アイテムだという。

■トーンアームとプリ間に使用すると、生命力みなぎる立体音響が出現

まずは以前、初体験したときの印象を語ろう。試したのはCDプレーヤーのラインや電源ケーブルであったが、聴力が若返ったかと思うほど音が鮮明に変貌した。あまりの変化量にゾクゾクしたというのが正直な感想だ。

今回はアナログ再生に集中してみよう。手元に2本の「スパイラルエキサイター」がある。真っ先に試したのが、トーンアームとプリ間のRCAフォノケーブルである。オレの音はいいんだ、というそれまでの自負が吹っ飛んだ。いやいや愛用ケーブルの素姓を生かしたまま、「スパイラルエキサイター」でさらにハイクオリティに音楽的に激変してくれたことに感謝しよう。大袈裟なようだが、カートリッジまでさかのぼってグレードアップされる。いわば針先のモーションがすべて私の求める音になっている感じである。そこまで影響が及ぶということだ。

フォノケーブルにスパイラルエキサイターを巻きつけたところ

S/N秀逸、浸透力がぐんぐん増して音楽の起伏が拡張されるなど、巻くと巻かないとでは大違いだ。フォノケーブルの性能を上げるアクセサリーはこれしか存在しないと断言しよう。

特にクラシック盤ではピアニッシモの分解能が際立ち、絶品の粒立ちとなる。空気の揺らぎも見えるのである。シースが持っていたであろう音の緩みが解消され、ジャズは数倍レスポンスの速い見事な制動力だ。エネルギーが噴出するようなリズム隊の躍動と、生命力がみなぎる立体音響に圧倒された。これは直出しのフォノケーブルでも同様の効果があるので試して欲しい。

■上流・下流とダブルで使うとさらに鮮烈なサウンドに

次に単体のフォノイコを使う場合、入/出力それぞれにフォノケーブルとインターコネクトケーブルが入る。MCカートリッジではさらにMCトランスなどが追加されるわけだが、「スパイラルエキサイター」はむしろ微細信号ほど本領が発揮される頼もしいアイテムだ。

ここでは手持ちのLINNのLP12(直出し)プレーヤーからオクターヴのフォノモジュールへとつなぐ(MC入力)パターンで、改めて「スパイラルエキサイター」の効果をチェック。上流、下流とダブルで使うと感激するほどの大クオリティアップとなった。声や演奏そのものがより鮮烈で躍動的。かつ底光りがするように感覚が研ぎ澄まされた感じだ。

試しに電源ケーブルへの処理で音はどうなるのか。モーターを回すだけのはずだが、「スパイラルエキサイター」で締めるとこれも激変で、より深く浸透力のある再生音が味わえた。このクオリティは私の長いアナログリスナー生活の中でも、頂点を争うものだろう。

最後に廉価で細いケーブルや、フォノイコの入門級プレーヤーでも試したところ、「どうせ」という予想をみごとに裏切ってくれた。これぞ投資効果抜群。試さない手はないだろう。締めつけの15分を厭わずトライすれば、音楽のミューズは必ず微笑む。唯一無二の必須ケーブル対策アクセサリーである。


本記事は季刊・analog 68号 SUMMERからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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