「オーディオアクセサリー銘機賞2018」特別賞受賞

ティグロンの人気ケーブル「ディップフォーミング・シリーズ」の魅力を5人の評論家が語る

林 正儀/鈴木 裕/井上 千岳/角田 郁雄/福田 雅光
2018年04月02日
アメリカGE社が開発した幻の導体「ディップフォーミングOFC(DP-OFC)」を採用したケーブルが大ヒットを記録し続けるティグロン。本年度の「オーディオアクセサリー銘機賞2018」では創立10周年を記念した最高峰のスピーカーケーブル「MSS-DF100SP」や電源ケーブル「MGL-DFA10」が見事に特別賞を受賞している。

電源ケーブル「MGL-DFA10」 ¥77,000(1.2m/税抜)、¥89,000(1.8m/税抜) ※±60pごとに±¥12,000(税抜)

そこで本項では林 正儀氏をはじめ5人の評論家が登場。改めてディップフォーミング・シリーズの魅力や各筆者が注目しているラインアップを紹介している。ぜひともご参照いただきたい。




林 正儀
あえて“旧素材"を発掘しマグネシウムと融合させた

林 正儀氏

ティグロンのケーブルといえば、幻の導体「ディップフォーミング」だ。今回10周年記念モデルとして開発した電源ケーブル「MG-DFA10」とスピーカーケーブル「MSS-DF100SP」が大注目であるが、ハイレゾ指向の新素材がメジャーになるなか、GE社が生み出した“旧素材"に敢えてつき進もうとしている背景とは何か?いま一度「ディップフォーミング」と関わりを振り返ろう。

スピーカーケーブル「MSS-DF100SP」 ¥94,800(1.5mペア/税抜) ※2mペア=¥109,800、2.5mペア=¥124,800、3mペア=¥139,800、3.5mペア=¥154,800 ※±50pごとに±¥15,000(ペア) ※バイワイヤーの場合、2セット価格は定価の20%引き

きっかけは知人のプロミュージシャンが愛用するヴィンテージギターの内部配線だ。同社の代表である沖野健太郎氏はディップフォーミングOFC(DF-OFC)のデジタル臭くなくヒューマンで温かなサウンドをここで初めて知ったそうだ。

「このアナログ的なサウンドの線材に、高い静寂感と解像度のマグネシウムシールドをかけ合わせたらどうなるのか?」このアイディアをもとに研究に研究を重ね、昨年リリースしたのがRCAインターコネクトケーブルの「MS-DF12R」とXLRインターコネクトケーブルの「MS-DF12X」である。

RCA/XLRインターコネクトケーブル「MS-DF12R/12X」 ともに¥32,000(1mペア/税別)

続いて2017年の2月には電源ケーブル用とスピーカーケーブル用に展開。構造や導体径を改良した「MS-DF12A」と切り売りの「MS-DF12SP」をリリースするに至った。

スピーカーケーブル「MS-DF12SP」¥5,000(1m/税抜)

電源ケーブル「MS-DF12A」¥39,000(1.2m/税抜)、¥45,000(1.8m/税抜)

■恐るべき高S/Nと驚異的な音楽表現力

そしてついに今回10周年を記念した集大成モデルである冒頭の2製品が完成する。もちろんMg-DFシリーズの最高峰であり、ディップフォーミング導体に新世代マグネシウムフィルターを初搭載したその効果たるや歴然だ。ケーブルファンの誰もがのけ反るほど劇的なものだった。

スピーカーケーブルの「MSS-DF100SP」は、Mgセパレートシールドとツインフィルターを組み込んだ最高峰モデル。一方、Mgフィルターを出口に採用した「MGL-DFA10」は電源ケーブルのフラッグシップモデル。

共通するのは、恐るべき高S/Nとローレベルのしなやかさである。高解像度にして溢れかえる低音域の密度やダイナミックな音場感をみごとに両立。魂を揺さぶられる驚異的な音楽表現力を獲得している。かつて体験しない境地の超好音質ケーブルの誕生となった。絵に描いたような開発ストーリーである。オーディオアクセサリー銘機賞の、映えある特別賞にこそ相応しい。


■評論家が語るディップフォーミング・シリーズの魅力


鈴木 裕
本物志向の味わいを感じるグル―ヴ感を積極的に再現

鈴木 裕氏

電源ケーブルのMGL-DFA10はティグロンというブランドの創立10周年記念モデルで、マグネシウムのシールドやAC用純マグネシウムフィルターを装備したモダンな造りだ。

しかし音を聴くとどうも最新式のハイファイという音ではない。古臭いというわけではなく、味わいがあってビートやグルーヴ感をグイグイ積極的に聴かせるような感じが貴重でもあり愉しい。

あえてブランド名を出せば、TMD(トータル・ミュージック・デザイン)の古い時代の線材やメタルのプレートを使ったケーブルのような、そんな音の雰囲気がある。ディップフォーミング銅の素性がいい方向に出ている。

日本で唯一残ったというから、きっとベテランの職人がこだわりを持って造っているのだろう。本物指向の味わいを感じさせてくれる電源ケーブルだ。


井上 千岳
緻密な質感とディテール。注目すべき質の高い素材

井上 千岳氏

ディップフォーミングという現在では日本で1社しか行っていない、伝統的な方式による導体を採用したケーブルである。

これは真空中で母線の上に溶銅を付着凝固させる手法で、無酸素銅が作りやすく表面が滑らかだという特徴を持つ。当然オーディオに使用しても優れた性能を示すもので、ティグロンの一連のケーブルにはこれが採用されている。

構造によって音も変わるので一概には言えないが、このシリーズでは質感が緻密でディテール再現の丁寧な音調が得られている。ピアノではタッチの透明度が深まり、室内楽のハーモニーは純度が増す。オーケストラは大音量でのダイナミズムが広がるようだ。

音に荒れがなく、焦点が絞られやすくピントがいいという特徴がある。質の高いケーブル素材として、今後も関心を集めてゆくことに違いない。


角田 郁雄
静寂で弱音の再現性が高く、より豊かな倍音表現を再現

角田 郁雄氏

年にいくつもケーブルの原稿を書かない私のところに、つい最近ティグロンの沖野社長が来られた。試聴したケーブルはディップフォーミングOFCを2重銅シールドとマグネシウムシールドした電源ケーブル「MGL-DFA」と同導体を使用し、ホット、コールド線それぞれをマグネシウムでシールドしたスピーカーケーブル「MSS-DF100SP」だ。

どのくらいの変化があるか? ブルメスターのパワーアンプ「911Mk3」で電源ケーブルを試した。大きく変化したことは、弱音の再現性、静寂感が高まり、微細な響きが浮き上がったことだ。楽器や声の倍音がより豊かになったのだ。音の抑揚とレンジ感も増した。さらにスピーカーケーブルを使用すると、これらの特性がいっそう向上した。

マグネシウムシールドによる導体構造の効果はかなり大きい。ヨーロッパ諸国、日本のスタジオでも好評とのこと。私はこれらのケーブルを911Mk3に使ってみたいと考えている。


福田 雅光
電源やスピーカーケーブルの低価格のラインアップに注目

福田 雅光氏

ティグロンが採用している、ディップフォーミングで製造されるケーブルを注目している。これは米GEから製造炉を導入した昭和電線が製造するものだ。真空中で清浄な銅母線の周囲に溶銅を付着形成して断面積の大きな導体を製造するもので、結晶のきれいな無酸素銅(OFC)が得られる。同社はDFシリーズとして製品化している。

DF導体の基本的な傾向は低価格の製品に現れ、上級ケーブルではマグネシウムシールド、フィルターの作用と複合した傾向を示している。電源ケーブル「MS-DF12A」やスピーカーケーブルの「MS-DF12SP」などに特色が出ている。10周年を記念する上級ケーブルでは「MSS-DF100SP」の性能に注目したい。


【SPECIFICATION】
<電源ケーブル「MGL-DFA10」>
●導体:ディップフォーミングOFC(DP-OFC)●基本設計:同社「MGL-A1」を継承●「AC用純マグネシウムフィルター(PMF)」をINとOUTに装着

<スピーカーケーブル「MSS-DF100SP」>
●導体:ディップフォーミングOFC(DP-OFC)●「マグネシウムシールド」を±それぞれの導体に独立させて使用●新技術「マグネシウムセパレートシールド(MSS)」をケーブル全体に初採用●両端にはマグネシウム削り出し「マグネシウムフィルター」搭載●他の長さ:●ケーブル外径:13.5mm (フィルター外径は25mm)●端子:ロジウムメッキY端子(内幅8.2mm、外幅12mm)、バナナ端子の場合+\20,000(ペア/税抜)

■問い合わせ先:
ティグロン(株)
TEL:046-205-2777
公式サイトはこちら


本記事は季刊・オーディオアクセサリー 167号 WINTERからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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