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外部クロックやD/Aコンバーター接続での拡張性も魅力

長く愛用できること間違いなし。トライオードの“CDプレーヤー集大成”「TRV-CD6SE」を聴く

2020/04/10 角田郁雄
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日本を代表するアンプブランドのひとつであるトライオード。昨年で25周年を迎えた同社は、 “CDプレーヤーの集大成” と位置付けるモデル「TRV-CD6SE」を登場させた。完全日本生産の本機は、真空管と半導体出力の両方が楽しめ、アップコンバート機能も搭載。またMQA-CDもフルデコードで再生が可能であったり、2系統のクロック入力やI2S HDMIによるハイレゾデータのデジタル出力にも対応するなど、現代的なデジタル再生に対応した究極のマルチプレーヤーに仕上がっている。角田郁雄氏による、本機のレポートをお届けしよう

CDプレーヤー「TRV-CD6SE」¥280,000(税抜)

アップコンバート機能を搭載。MQA-CDにも対応する

創業25周年を迎えたトライオードは、KT-150真空管を搭載した100W出力のプリメインアンプ「MUSASHI」を発売し大好評である。そしてこの記念モデルに続き、CDプレーヤー最新モデル「TRV-CD6SE」を登場させた。本機はコンパクトながら、様々な再生方式を楽しむための機能が満載のマルチプレーヤーである。

筆者は聴き慣れたCDを聴いてみたが、アナログやハイレゾに迫る音質に驚かされた。この再現力を実現するのは、後述するがSRC(サンプリング・レート・コンバーター)が使用できることと、半導体と真空管の出力を個別に切り替えて再生できることにある。

さらに、お好みの外部クロック・ジェネレーターとの接続が可能なため、格段に音質がアップグレードできる。また、クロックとデータを分離出力するHDMIデジタル出力も装備されており、CDトランスポートとしても活用できるなど、長きにわたって愛用できること間違いなしのプレーヤーである。

真空管と半導体出力の2系統の音質が楽しめる

その機能と内部技術を紹介しよう。まず魅力的なのはCD再生である。SRCを使うことにより352.8kHz/32bit DXDと5.6MHz DSDの2つのモードにアップサンプリングができる。こうした機能は他社の製品でも搭載されてきたが、本機のその効果は、誰もが一聴しただけで分かる音質差と言える。

恐らくは後述の最新DACチップとの組み合わせの効果によって、高密度な再現性が実現できるのだろう。これにはCD再生のさらなる可能性を感じてしまうのである。また、MQA-CDの再生では、ハイレゾ・ダウンロード音源と同等の解像度と広大なダイナミックレンジが体験できる。

さらに魅力的なのが、半導体と真空管(6922×2本)出力を切り替えて、違う音質が楽しめることである。なお、バランス出力は半導体出力専用であり、RCA出力に、半導体と真空管で個別の出力を2系統装備する。従って、ラインで好みの出力に接続できる仕組みなのだ。

2系統のクロック入力を装備。高精度10MHz仕様にも対応

本機のリア部。アナログ出力は、RCAに真空管出力とソリッドステート出力を各1系統ずつ装備。XLRはソリッドステート出力のみ。デジタル出力は同軸RCA、光TOS-Link、I2S HDMIジャックを各1系統を用意。クロックは44.1kHz、11.2MHz、22.6MHz、45.2MHz対応のワードクロック入力のほか高精度10MHzクロック・ジェネレーター専用入力も装備されている

もう一つの魅力的な機能が、外部クロック・ジェネレーターが接続できるBNC入力を装備していることである。44.1kHz/11.2/22.4/45.2MHzまで対応するワードクロック入力のほかに、近年注目されている高精度10MHzクロック・ジェネレーター専用入力2系統を装備している。これらを両方とも装備する製品は、実は数が少ない。機能面でまったく手抜かりがないプレーヤーなのだ。

そして冒頭でふれたように、CDトランスポートとして活用できるよう、クロックとデータを分離伝送するHDMI出力までも標準装備している。従って、PSオーディオ「Gain Cell DAC」のようなI2S入力搭載機器などと組み合わせ、SRCで設定したフォーマットでデジタル伝送することも可能である。

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