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【PR】音楽の魅力を底上げする、価格以上のクオリティ

3.5万円でハイエンド級のサウンド。qdcのユニバーサルIEM「Uranus」は新たなエントリー名機だ

公開日 2020/03/09 06:00 草野 晃輔
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この曲はライブを収録したものだが、音が立体的なため、ビル・エヴァンスのピアノが空間に広がっているように感じられる。また、タッチの生々しさも秀逸。ベースは弦の振れ幅が、ドラムはシンバルの振動が目に浮かぶようだ。

鮮やかでエネルギー感のあるサウンド。フラット指向ながら、表現力たっぷりに再現する

時折聞こえる観客の談笑や食器の当たる音もリアルに感じられ、目を閉じると自分も同じ空間にいるような感覚に陥る。BA型とダイナミック型、2基のドライバーの繋がりも自然で、低域から高域まで目まぐるしく移り変わってもまったく不自然さがなかった。

本機の実力を最も垣間見られた曲は、挾間美帆の「Dancer in Nowhere」かもしれない。挾間美帆はニューヨークを拠点に活躍するジャズ作曲家。惜しくも受賞は逃したが、今年1月に発表された「第62回グラミー賞」にノミネートされており、その実力は折り紙付きだ。

Dancer in Nowhereは、彼女が率いる「m_unit」という13人編成のグループが演奏している。大編成のジャズとも小編成のオーケストラとも取れるような、複雑かつストーリー性のあるスリリングな展開の曲だ。

場面ごとにスピード感、音の重なり、空間の響きなど聴きどころも入れ替わるこの楽曲は、表現力がないと全体的に貧相に聞こえ、曲の構成が途切れて感じられる。そんな楽曲もUranusなら、スピード感や音のキレ、各楽器の機微、ダイナミクスなどをクリアに描き分けて、曲のストーリー展開をワクワクしながら楽しめるのだ。

邦楽でもサウンドをチェック。Official髭男dismの「宿命」では、ボーカルは瑞々しく、ハリのあるハイトーンをクールに描写する。ベースやドラムの低域は、音の密度が高く重心が低い。サウンド全体を引き締めるが、決して過度な主張はしない。ホーンセクションはキレと艶を併せ持ち、生音のように存在感がある。

映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』の主題歌、King Gnuの「どろん」では中域の表現力が秀逸だ。重厚なツインボーカルが、サスペンス映画の世界観さながらの鬼気迫るような旋律で、聴き手を圧倒する。「こう聴かせたい」と意図して作った音を素直に再現しつつ、さらに魅力を底上げして、世界観まで表現してくれている。

Uranusを一言で表すなら「手頃な価格で買えるハイエンド機」。今後名機と評されるであろう実力の持ち主で、少なくとも3万円台のイヤホンでここまで的確に音楽を描き分けてくれるモデルを、筆者は他に知らない。高価なカスタムIEMはまだ手が出ないが、それに近いクオリティのイヤホンをできるだけ安価に手に入れたい、そう考えるなら本機は最良の選択肢となるだろう。

3万円台でかえる「お手頃なハイエンドイヤホン」といえる

最後に、NEPTUNEとの違いにも触れておこう。NEPTUNEはクリアで整理された高域とシングルBAとは思えない豊かな低域で、録音の鮮度までストレートに描くモニター的なサウンドだ。原音忠実なサウンドをフラットに味わうならNEPTUNE、演奏や楽曲のエンタメ性を重視するならUranusを推すが、どちらとも価格以上のクオリティで上質なサウンドを楽しめる。ぜひともあなたの耳で確かめてほしい。

(企画協力:ミックスウェーブ株式会社)

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