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同社最新技術を結集し、初の栄冠を獲得

ティグロンの最高峰電源ケーブル「TPL-2000A」。AAExグランプリ受賞の魅力を審査員5名が語る

公開日 2020/01/22 10:00 鈴木裕/炭山アキラ/林正儀/生形三郎/井上千岳
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ティグロンの最高峰電源ケーブル「TPL-2000A」が「オーディオアクセサリー銘機賞2020」において初の栄冠に輝いた。同社の「グランプリ」受賞は初めてのこと。ここ近年のケーブル開発の著しい進化も加味され、最新技術の結晶である「TPL-2000A」はその代表モデルとして、審査会で本年度最高の電源ケーブルとしての評価を獲得した。そこで本稿では審査委員からのコメントをお届けする。各人が語る同ケーブルの魅力をぜひともご参照いただきたい。

電源ケーブル「TPL-2000A」 1.2m=¥180,000、1.8m=¥195,000(ともに税抜)

同社の新技術をすべて投入。2ランク上の音楽的な表現 TEXT/鈴木裕

ティグロンは2008年に創設されたメーカーで、年々技術力も高まっている。それを象徴するような電源ケーブルが「TPL-2000A」だ。今までの素材やテクノロジーをすべて投入し、1ランク、いや2ランク上のハイファイ性能と音楽的な表現力を獲得している。

その仕様を紹介すると、導体はアメリカGE社で開発された幻の素材であるディップフォーミング無酸素銅(DF-OFC)。そしてシールドとしては、ティグロンの基幹技術のひとつである世界特許のマグネシウムシールドを採用。その外側には、航空産業でも使われる優れた高周波シールド性能を持つ特殊外装チューブを巻き、表面に帯電防止処理を施してある。

さらにこのモデルで初めて採用した第二世代マグネシウムフィルターのPMFmkII(プラグの近くの膨らんだ部分)は、高い静寂感に寄与するという。プラグはフルテック社の「Fl-50 NCF(R)」を装備。仕上げとして、最近の同社の音を底上げしているバーンインの技術、ハイパーサチュレーティッドエナジャイザー(HSE)処理の効果も絶大だ。

そもそもは創立10周年を記念して製作した「MGL-DFA10-HSE」(1.8mで9万9000円/税抜)に対して、ヨーロッパ市場から「プラグをフルテックのフラグシップにしたものを作ってほしい」という要望があり、それに応える形で全体のレベルアップを図っていった製品だ。

本ケーブルをリファレンスとして使っているという鈴木裕氏

空気感の表現力が卓越する。筆者もリファレンスとして使用中

その再生音はというと、たとえばライブ盤でのオーディエンス(拍手)の数が多く、前後左右への展開が伸びやか。背景が静かで余韻の伸びがきれいに聴こえてくる。

サウンドステージとしては音像同士の癒着がなく、ほどよい間を空けて定位。音調は密度の高い低域がベースにありつつ、中高域までシームレスに繋がっている。演奏の現場にある空気感の表現力が素晴らしい。

プラグ自体の持っているハイファイ性能を生かしつつ、音楽的なニュアンスも豊富に出てくるところに、ティグロンの最近の技術力を感じる。筆者もリファレンスとして使用しているのだが、よくチューニングされ、高いエネルギー感を持った電源ケーブルといえる。

(鈴木裕)


苦労の末に完成した傑作。広大な音場と濃厚な音像 TEXT/炭山アキラ

炭山アキラ氏

ティグロンの固有技術というと、ディップフォーミング製法による無酸素銅DF-OFCと、マグネシウムによる防振&シールド、そしてケーブル全体を急速かつ高度にエージングさせるHSEが挙げられるが、もちろんそれらをすべてを導入し、同社の沖野代表が大変な苦労の末に開発された “畢生の大作” がこの電源ケーブルである。

導体はもちろんDF-OFCで、絶縁体の外に仕込まれるマグネシウムシールド層に加え、高周波のシールド能力に優れた特殊な外装チューブを実装、表面への帯電防止処理も施されている。さらに、被覆をはじめとするケーブル全体を防振するためのマグネシウムフィルターPMFはMkIIとなり、さらに音の品位が向上したという。両端のプラグにフルテックのFI-50 NCF(R)という高級品が採用されているのも見逃せない。

同社には、特に欧州からFI-50の採用がリクエストされていたが、あのプラグは性能こそ極めて高いものの少々じゃじゃ馬的なところがある。それをティグロンのサウンド傾向と調和させるため、沖野代表は寝食を忘れてチューニングに没頭されたという。

その結果仕上がったこのケーブル、我が初体験は自宅リスニングルームだった。愛用のディスクプレーヤーはそう高価なものでもないが、しっかりしたメーカー製の電源ケーブルを使っている。

それの代わりにTPL-2000Aを差した時の驚きを、一体何と表現すればよいだろう。同じ音源を聴いているというのに、目の前が一気に開け、まるで登山中に尾根を越えた瞬間、広大な視界が開けたような感覚に捕らわれた。DF-OFCは身の詰まった濃厚な音像を提示する傾向があるが、このケーブルはそうでありながら実在感が軽やかで、音楽がいっそう生きいきと心浮き立つように放たれる。

曲によっては艶やかできらびやかな高域も聴けたが、これはケーブルが後付けしたものではなく、音源そのものの音を万全に表現したものという、確固たる説得力がある。音場は広大で見晴らし良く、しかも音像を包む濃厚さは同社ならではだ。最初の一音を聴いた瞬間、すっかり魅了されてしまった。

(炭山アキラ)

ここまで鈴木裕氏、炭山アキラ氏によるTPL-2000Aの魅力を語っていただいた。続けて林正儀氏、生形三郎氏、井上千岳氏によるレビューをお届けしよう。

次ページ続いて林正儀氏、生形三郎氏、井上千岳氏がレビュー

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