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培ってきたノウハウと新技術を融合

【AEx2020「金賞」受賞】新たなプリメインアンプのフラッグシップ「E-800」

2019/11/21 石原 俊
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■ミュージカリティの高さには驚かされた

オーディオ的には素晴らしい。同社試聴室のB&W800D3を鳴らしたのだが、まずはドライブ能力の高さに驚いた。この鳴らしにくいスピーカーをここまでグリップするプリメインアンプはこれまであっただろうか。歪み感は皆無で、音場は清潔かつ広く、音像は基本的に中庸だが、クラスA方式機らしい仄かな甘みがある音楽的にも素晴らしい。

本機のフロントパネル。メーター部はバーグラフのドット数をE-650の26ドットから30ドットへ増やし、より滑らかに表示されるように改良されている。文字盤の文字も大きくされている。サブパネルには、スピーカー切り替えやトーンコントロールのスイッチなど、各種操作系ボタンが配置されている

このときはマーラーの交響曲第10番の室内オーケストラ版を聴いたのだが、 編成が小さいのをカバーするために楽員たちが強弱を大きくつけて演奏しているのが視覚的に感じられるほどだ。ヴォーカルものも聴いたが、声の表現が濃密で、国産アンプではなかなか味わえないエロティシズムが感じられる。もっと淡白な表現を予想していただけに、このミュージカリティの高さには驚かされた。本機の開発を通 じてアキュフェーズは新境地を見出したのかもしれない。

C‐3850とA‐250の組み合わせを凌駕するようなサウンドがこのミュージカリティの高さだとしたら、開発者の目標は達成されたといえるだろう。ともあれオーディオ史上空前の大型プリメインアンプの誕生を喜びたい。

本機のリアパネル。ライン入力端子は5系統のRCAと3系統のXLRを装備。スピーカー出力端子は2系統。プリアウトはRCAとXLRを各1系統を持つ

(石原 俊)
<Specification>
【E-800】
●定格連続平均出力(両チャンネル同時動作 20Hz~20kHz間):300W/ch(1Ω、音楽信号に限る)、200W/ch(2Ω)、 100W/ch(4Ω)、50W/ch(8Ω)●全高調波歪率(両チャンネル同時動作 20Hz~20kHz間):0.05% 2Ω負荷、0.03% 4 ~16Ω負荷●周波数特性:20Hz~20kHz 0 -0.5dB(HIGH LEVEL INPUT 定格連続平均出力時)●ダンピング・ファクター:1000(8Ω負荷 50Hz)●ゲイン:HIGH LEVEL INPUT→PRE OUTPUT 18dB、MAIN IN→OUTPUT 28dB●ステ レオ・ヘッドフォン:適合インピーダンス 8Ω以上●消費電力:180W 無入力時、390W 電気用品安全法、280W 8Ω負荷定格出力時●サイズ:465W×239H×502Dmm●質量:36.0kg●取り扱い:アキュフェーズ(株)
本記事は季刊・オーディオアクセサリーvol.175 Winterからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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