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サブウーファー部をバスレフ化しながらも低音感は増強

アヴァンギャルドのホーンでしか聴けない音を、より求めやすい価格で。「UNO XD FINO EDITION」レビュー

2019/06/14 鈴木 裕
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内容的に変わったところをピックアップしてみよう。大きなところではサブウーファー部の作り方だ。まずドライバーユニットを2本から1本にした。そして上位モデルが密閉型のエンクロージャーだったのをバスレフ型に変更している。

ただし、発音に対するファスト・フォワード設計やドライバーユニットあたり500Wという内蔵パワーアンプの出力は変えていない。これによって最低域のレンジがUNO XDの18HzからUNOXD FINO EDITIONでは30Hzに上がっているが、後述するように実は低音感自体は増している。

また、従来は中高域のスピーカー端子はバイワイヤリングに対応し、そのためにバックパネル部には専用のパネル端子が用意されていたが、それらを省略してシングル接続仕様に。トゥイーター用のドライバーユニットも変更。こうした積み重ねによって価格を下げたのだ。

本機のスピーカー端子部はシングルワイヤー仕様に変更された

ホーン特有の音を感じられながら分かりやすい音にチューニング

試聴はエソテリックの試聴室で行った。エソテリック製CDプレーヤー「K-03Xs」とプリメインアンプ「F-03A」で再生している。

複数のソフトを聴いた感じをまとめると、このメーカーのホーンによる特有の大きな世界が出現するのは不変だ。透明感や分解能といった要素も変化していない。ポップスでのベースとドラムスのキックの描き分けもいいし、何より少しだけ盛られた低音感が心地いい。ライヴ盤でのオーディエンスの拍手など、きちんとパチパチという弾ける感じがあって、微妙に高域に立っている成分が聴き取れる。

ピアノを聴いても、高域のキンッというタッチが元よりも爽快に感じる。高音感と低音感を増して、アヴァンギャルドのセールスディレクターの言葉を借りれば、ラテン的な楽しさを再生音に持たせているのだ。

値段も下げて分かりやすい音にチューニングしてきたモデルである。日本市場をよく見ているのを強く感じる。音楽好きの方にこそ、ぜひ聴いていただきたいと思う。

(鈴木 裕)
<Specification>
【システム】●周波数特性:サテライト290Hz〜20kHz、サブウーファー30〜350Hz ●許容入力:50W ●能率(1w/1m)107dB以上●クロスオーバー周波数:290Hz/3kHz●インピーダンス:18Ω
【ホーン】●形式:スフェリカルホーン●材質:ABS樹脂●仕上げ:ポリッシュ仕上げ●放射特性:180°●ホーン直径:ミッドレンジ 500mm(20インチ)、トゥイーター130mm(5インチ)
【ドライバーユニット】●口径:ウーファー1×250mm(10インチ)フェライトマグネット、ミッドレンジ 127mm(5インチ)ダブルフェライトマグネット、トゥイーター 25mm(1インチ)フェライトマグネット
【サブウーファーアンプ】●最大出力(RMS)1×500W ●クロスオーバー:DSP●パラメトリックイコライザー:10バンドEQ(DSP)●サイズ:500W×1255H(±15)×590Dmm●質量:74kg●取り扱い:エソテリック(株)
本記事は季刊・Analog vol.62からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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