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次期アプリの使い勝手に期待

さよなら、iTunes。誕生、成長、混乱、そして終焉までの18年間を振り返る

2019/06/04 高橋 敦
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日本時間2019年6月4日午前2時から開始のWWDCにて、アップルはiTunesの機能を整理分割し、新たな音楽アプリ「Apple Music」その他に生まれ変わらせると発表した。2001年1月の発表から18年。iTunesの歴史に幕が下ろされることになる(当時のニュースリリース)。

さよならiTunes、ありがとうiTunes

猫ならば長生きだったと言えるが、iTunesは猫ではなくアプリなので、長命短命の判断は難しい。しかし僕にとって身近な存在であったという意味では猫と同様だ。ここでは “彼” のことを、僕自身の思い出も交えつつ、少し振り返ってみたいと思う。

当時をリアルタイムで体験していなかった方にとっては意外かもしれないが、iTunesは実は、iPodよりも一歩早く登場している。iPodが発表されたのは2001年10月23日で、その際のキャッチコピーは、「iTunes to go」。iPodはまずiTunesありきで、その音楽ライブラリを外に持ち出せるアイテムとして登場したわけだ。


初代iPodのキャッチコピーは「iTunes to go」
個人的にもiPod購入より前からiTunesを使い始めており、まさに「iTunes to go」感覚でiPodを使い始めたように記憶している。

2001年 - 2002年:MP3のビットレートに悩む

ざっくり2002年登場のVer.3までが「初期のiTunes」だったと言えるだろう。この時期にもVer.2でのiPod対応、Ver.3でのスマートプレイリスト機能追加といった重要な変化もあるが、それらも含めて現在まで続く「iTunesの基本」が完成された時期だったと思う。

この時期のことを思い出すと、もっとも悩ましかったのは「MP3のビットレートどうする問題」だった。当時はMacやPCのHDDもiPodのHDDも容量が限られており、多くのユーザーが「MP3のビットレートは音質変化が極端には目立たない範囲で限界まで下げ、音楽ファイルの容量を抑えたい」と考えていたのだ。同じ曲を64kbpsから192kbpsまで設定を変えてエンコードし、音質と容量を検証しまくったりした方もいるだろう。

iTunesに搭載のMP3エンコーダーよりも同一ビットレートでの音質に優れるとされた「LAME」を利用したエンコーダーに手を出していた方もいるかもしれない。「MP3はLAMEでエンコして、コマンドラインオプションを語れ!」だ。

そもそもiPodの内蔵記憶装置がHDDだったりする時点で、若い方々には理解し難いのではないかと思うのだが、そういう時代だったのだ。

だがその時代は、一気に終焉へと向かう。

2003年:iTunes Music Store開始&AAC対応!

2003年4月リリースのVer.4.0にて、「iTunes Music Store開始」「AAC対応」という大きな大きな変化が訪れる。「iTunes Music Storeが開始され」「その配信形式にAACが採用され」「CDリッピングにもそのAACを利用できるようになった」のだ。


2003年にiTunes Music Store開始、その後「iTunes Store」へと改名される
当時のiTMSでの配信形式は「DRM付きの」AAC/128kbpsだったのだが、この128kbpsというビットレートでは特に、MP3と比べてAACは音質劣化が目立ちにくかった。劣化しないわけではないのだが、劣化の仕方がMP3ほど尖っていなかったというか、たとえるならばカセットテープにダビングしたときのように、比較的自然な劣化具合だった印象だ。

これを機に、世間はともかくiTunesユーザーの間では、「デフォルトのこれ=AAC/128kbpsでいいじゃん」という意識が広まったような気がする。この「iTunesユーザー」にWindowsユーザーが含まれるようになったのも、このVer.4系列のVer.4.1からだ。

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