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シリーズ4機種をステレオ再生でレビュー

ディナウディオのスピーカーには、なぜ心に響く浸透力があるのか。最新モデル「Evoke」を聴いてわかったこと

2019/04/16 角田郁雄
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続いて、フロア・タイプの2.5ウェイ「Evoke 30」と3ウェイ「Evoke 50」を試聴した。まず、Evoke 30である。

このシリーズの特徴は、前述のように、ユニット本来の音とキャビネットの木質感を最適にブレンドしたような温かみのある音調である。Evoke 10/20では、そのブレンド比がイーブンのように感じたが、Evoke 30はキャビネットが大型となっているため、木質感が抑えめとなり、引き締まった、透明度の高い音質となる。解像度もさらに上がり、中低域の量感が増し、先に試聴したCDから、スケール感に溢れた高い音圧の音楽が再現されるのである。最新の14cm MSPウーファーは、音離れが良く柔らかな質感であるが、とにかくスピードが速い。しかも、2.5ウェイなので、中低域がクリアで厚みがある。

Evoke30は、キャビネットが大きい分、引き締まった透明度の高い音質を実現している印象

最後に、最上位モデル「Evoke 50」を試聴した。キャビネットはさらにサイズ・アップされ、15cm MPSミッドレンジと18cm MPSウーファーが2基搭載されている。このモデルは、バスレフポートをより積極的に使用し、ボトムエンドを打つような、量感たっぷりの低音を再現する。それでいて、どこまでも低音の透明度を失っていないことに感激する。また、ミッドレンジの搭載で中域の厚みや解像度が増し、楽器や声の倍音の再現性が明らかに高まっている。音楽にとってエッセンシャルな、微細音や弱音の再現性を高めている印象も受ける。また、トゥイーターとミッドレンジ・ユニットが接近配置されているので、空間再現性も実に高い。

最上位モデルであるEvoke50には、15cmMPSミッドレンジ・ユニットと18cmMPSウーファーが2基搭載されている

一方で、大型サイズとなると、ややもするとスタジオモニター的なサウンドとなりがちであるが、前述のDYNAUDIO伝統のサウンドを維持し、昇華させていることに、私はあらためて感心させられるのである。

なお、これらの4モデルを使うときに試して欲しいのが、スピーカーを内振りにしてみることだ。お部屋の状況にもよるが、空間再現が増し、臨場感を引き立たせることが多いのである。



このように、DYNAUDIOには、現在主流である高解像度スピーカーの技術とはある意味で一線を画す、伝統の技術と音作りがある。搭載技術と仕上がりが、価格とバランスしていることも特筆できる。ぜひ、最新のEvoke の4モデルを試聴し、その高品位な仕上がりと音質をじっくりと確認して欲しいと思うところである。

(角田郁雄)

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