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快適な音声操作の「ひとり贅沢」。 “プライベート・ビエラ” 最上位機はものすごくお買い得だ

公開日 2018/02/06 10:00 山本 敦
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プライベート・ビエラ最上位モデルの画質・音質は?

UN-19Z1の画質・音質をチェックしてみた。映像設定は4種類のプリセットとユーザーのカスタマイズ値が保存できるバンクが一つある。音質も同様にプリセットが4種類と、ユーザー設定が一つだ。暗くした部屋で視聴しても疲れにくい映像と、低音を抑えて静かな真夜中でも視聴しやすい「ナイトモード」が、画質・音質それぞれのメニューに設けられている。

画質・音質の設定メニュー。それぞれ4種類のプリセットを揃えている

映像は輪郭線が力強く、色彩もビビッド。明暗のコントラストもメリハリを効かせた力強い画づくりだ。テレビで放送されるドラマやスポーツ番組は「スタンダード」「リビング」あたりのプリセットを選んで気持ち良く楽しめる。BDやVODで映画を楽しむ際には「ユーザー」を選ぶと利用可能になる画質の詳細設定から、明るさや色のバランスを好みに合わせ、穏やかめに整えてもいい。

音の方は中低域の力強さ、聞こえやすさに力点を置いてバランスを整えているように感じた。「スタンダード」は特にその傾向が強いし、「エクストリーム シネマ」に設定してアクション系の映画を見ていると、とてもプライベートサイズのテレビで観ているとは思えないほど厚みがあって迫力あふれるサウンドに包まれる。映画やドラマなど物語の舞台にのめり込みながら楽しみたいコンテンツは、テレビから1-2mの範囲内が最適な視聴距離になると思う。

音楽系のコンテンツは「エクストリーム ライブ」にモードを切り替えて楽しみたい。中高域の抜け感が向上し、音場の広がりも器が大きくなる。声優の「声」に耳を傾けたいアニメ系のコンテンツもこちらのモードの方がフィットした。

Xperia XZ1をペアリングしてSpotifyの音源も聴いてみた。ホーム画面からペアリング設定を開始して、スマホのBluetooth設定の機器リストに表示される「UN-Z1C」をタップして選択する。オーディオコーデックはSBCのみだが、クリアでバランスの良い音に仕上がっている。量感にも恵まれた音を響かせてくれるので、しっかりと音楽を聴き込みたい時にも活躍してくれるスピーカーだ。

詳細設定を選ぶと画質・音質ともに細かな調整ができるようになる

テレビに向かって話しかけるだけ。快適なプライベート・ビエラの音声操作

それではいよいよ、プライベート・ビエラの音声操作を試してみよう。こちらの機能はリモコンによるテレビ操作の手間を軽減するため、パナソニックのエンジニアが本格的に練り上げてきたものだ。

現在の音声アシスタントを搭載するスマートスピーカーには一部、スマートテレビのチャンネル送りやボリュームのアップダウン程度の連携操作に対応しているものもあるが、プライベート・ビエラの音声操作機能は、さらに多くの種類の操作ができる。音声コマンドをテレビの画面に向かってダイレクトに発声できるのも特徴で、「リモコンのマイク起動ボタンを押して…」などの前準備が要らない。UN-19Z1はモニターのベゼル上部にマイクを内蔵している。

モニターの天面にあるマイクボタンで起動する

音声操作を起動する方法は2通りあり、メニューの「音声操作設定」から詳細も含めて選択できる。テレビに直接話しかけて操作する場合は設定を「常時」にする。「マイクオン」とウェイクワードを発声したあと、画面に「お話しください」と表示が出たらコマンドを入力。またはモニター上部のマイクボタンを押して音声入力モードを起動する方法もあるが、毎度テレビの側まで近寄らなければならない。ふつうは「常時(スタンバイ)」を選ぶことになるだろう。

マイクオンと発声すると音声コマンドの待機状態になる。コマンドの事例も教えてくれる

音声操作は「マイクの感度」や「発話検出の精度」もメニューからチューニングできる。今回筆者が自宅で試した限りでは、どちらもデフォルトの「標準」で違和感なく使えた。周囲が騒がしい場所に本機を置く場合は、発話検出のレベルを「ノイズフィルタ」に設定しておく手もある。

マイク機能を常時待機状態にしておくか、ボタンで起動するか設定から選べる

マイクの感度も3つの設定から選択可能

「標準」設定時のマイク精度は、モニター正面側から約1m以内の距離で、やや大きめな声で発話しなければならないレベルだが、入力コマンドに反応してチャンネルを切り替えたり、番組表からキーワードで検索した番組を見つけて結果を画面に表示したりといった反応速度がとてもよい。操作感がとてもスムーズだ。なお本機の音声操作はほかの音声アシスタントと同様、音声データがサーバーにアップされ、そこから得られた結果を返してくる仕組みだ。

音声操作の反応など、操作感のイメージは動画も合わせて確認してほしい。番組表から「映画」や「アニメ」をキーワードに絞り込んだり、「『ガンダム』をお部屋ジャンプリンクで検索」といった具合に、レコーダーにアーカイブされた番組を特定のキーワードで探すことも可能だ。番組表からタイトルを指定し、録画予約を行うところまで音声で行えてしまうのだから、リモコンやスマホアプリによる操作がいよいよ煩わしく感じられてくる。



レコーダーとの連携による番組録画を含む「テレビでよく使う機能」がスムーズに音声でコントロールできるようになれば、これは大いに “アリ” だ。スマートスピーカーとの連携、あるいは他社製音声アシスタントのビルトインを待つまでもなく、既にビエラがここまでの機能を実現していたことには心が躍る。

ちなみにリモコンも使わず、テレビに向かって話しかけて操作できる「ダイレクト音声操作」にも対応するDX850シリーズなど、音声操作ができるビエラのリストはこちらに公開されている。また機会を見つけ、ほかのモデルの音声操作も試してみたくなった。

高価な上位機だが、納得のコストパフォーマンス

今回紹介したUN-19Z1は2017年の秋に発売されたモデルだが、本稿執筆時点の実売価格はだいたい9万円-10万円あたりで推移しているようだ。本機の機能を試さず、いわゆる昔ながらのポータブルテレビのように捉えてしまうと少し高く思えるかもしれないが、実際に画質や音質の高さ、機能の充実ぶりと安定感を体験してしまうと、ものすごくお買い得だと納得できる。

自室で「ひとり贅沢」を味わうためのテレビとしても良いが、これから一人暮らしをはじめる方にも、新生活のマストアイテムとしておすすめしたい。ただ一点、モニター部が防水仕様ではないのでご注意を。もし長風呂しながら映画やドラマを楽しみたいなら、「UN-15TDX7」や「UN-15TD7」「UN-10T7/15T7」といったほかのプライベート・ビエラを選択肢に入れたい。

(山本 敦)

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