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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(37)

ラズパイ・オーディオのノイズ対策&S/N改善には、金属ケースとUSBブートが効果的

公開日 2017/11/01 09:30 海上 忍
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USBブート化の手順は簡単。Moode Audio(3.8以降)をmicro SDとUSBメモリの両方に書き込み、micro SDで起動。それからUSBメモリを装着し、WEB GUIのメニューで「Configure」→「System」を選択、「Configure USB boot」スイッチをONにしてから右横の「SET」ボタンをクリックすればOK。これで、Raspberry PiのファームウェアにUSBマスストレージからの起動を有効にする情報が書き込まれ、USBメモリから起動できるようになる。(起動ディスク作成に使用したソフト「Ethcher」)

起動ディスクの作成は「Ethcher」を使えば簡単。同じイメージファイルをmicroSDとUSBの2つに書き込むだけのことだ

システムを起動する手続きはmicro SDからのブートと変わりないものの、注意点が一つ。Raspberry Piは電源投入後最初にmicro SDからのブートを試みるため、起動可能なシステムのないmicro SDカードを挿したままにしておくと、次回電源を入れた時に待てど暮らせどシステムが起動しないという事態に陥る。音源専用micro SDカードの挿入は、電源投入後数十秒ほど経過してからにしよう。

microSDと同じディスクイメージを焼いたUSBメモリを挿し込み電源を投入すると、しばらくしてOSが起動する

SSHでリモートログインして、マウント中のファイルシステムとシステムブート時のコマンドラインを確認。microSD(/dev/mmcblk0p1)が起動ディスクでないことを読み取れるはずだ

楽曲の再生方法は、USBメモリと同じ。初回はMPDのデータベース更新が必要だが、数百曲程度であれば数十秒で完了してしまう。なお、WEB UIの「Browse」タブで選曲する場合、「SDCARD」ではなく「USB」行からブラウズを開始すること(WEB UIの仕様)。

肝心の音質に与える効果だが……誰もが実感できるレベルだと確信している。まず、音の輪郭がはっきりしてくる。ノイズフロアも一段低く感じられることは、再生中にUSB/Ethernetチップがほとんど使われていないためだろうか(スタンドアローン使用時はWi-Fi USBドングルを使用している)。比較対象のUSBメモリにもよるのだろうが、micro SDカードに保存した楽曲を再生した方が、左右chのクロストークが少なく感じられる。USBコントローラおよびUSB HUBが音に与える影響を考えれば、それも肯けるところだ。

USBメモリから起動させたあとは、microSDは楽曲専用ストレージとして使える

それでも起動ディスクのI/Oがあるのでは?と訝るかもしれないが、Moode Audioを含むDebian系Linux OSでは、tmpfs(動的に容量が変化するRAMディスク)にデバイスファイルやキャッシュファイルを置く設計だ。それに、Linuxはプログラムと共有ライブラリを動的にリンクし、実行時にライブラリーを(まだ読み込まれていない時)メモリ上に読み込む仕組みのため、MPDのようなプログラムは一度動かしてしまえば起動ディスクにはほとんどアクセスしない。論より証拠、まずはUSBブートをお試しいただきたい。

lsofコマンドを使いMPDが開いているファイルを確認したところ。楽曲を除くほとんどが共有ライブラリかtmpfs上のファイルで、起動ディスクにはほとんどアクセスしていない

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