高速で低い歪率、高S/N、高い制動力を実現

【製品批評】PASS「XA25」 ― 新アナログ回路搭載A級ステレオ・パワーアンプ

角田郁雄
2017年10月04日
製品批評


パワーアンプ
PASS
XA25
¥650,000(税抜)



PASS(パス)のアンプでドライブするMAGICO(マジコ)のスピーカーを聴いていると、半導体アンプと真空管アンプがブレンドされたかのような独特のサウンドに私は心が動かされてしまう。それは、きめ細かで、深みのある暖色系のナチュラルな音楽を聴かせてくれるからだ。再生する音楽に内包する抑揚と豊潤な倍音を最大限に引き出し、高い制動力によりスピーカーを理想的にドライブしていることにも感激する。アグレッシブな音楽をストレスなく再生し、そこには、安堵の感さえも憶えてしまう。ネルソン・パスが、アナログ回路を極めているからこそ、こういった音が可能になるのだろう。

そのパスから、「PASS XA25」というA級ステレオ・パワーアンプが登場した。フロントには、細かなヘアラインによる厚みのあるシルバーパネルを使用し、伝統的なフェイスを創る。巧みな形状のヒートシンクも、相変わらず魅力的だ。本機は、パスとしては、スモールサイズで、25W/8Ω、50W/4Ωの出力を備える。出力音圧が90dB程度のスピーカーなら余裕のパワーである。

このモデルの大きな魅力は、もちろん、ネルソン・パスが創り上げた新しい回路と音質だ。アナログ基板は入力のゲインステージ段だけだ。その基板には、小さなJ-FETと放熱器付きのMOS-FET素子を使用し、電流帰還の電圧ゲイン回路を構成。DCカップリング方式で周波数補正を行わない。その結果、A級のMOS-FET出力段に対し、高速で低い歪み率を実現。同時に高S/N、高い制動力をもたらしている。出力段の左右の放熱器には、新たな工業用MOS-FETを採用し、シングル・プッシュプルの出力段を構成している。このように、シンプルな3段増幅で構成されていることに、私は感激した。

入力端子はRCAのみとなっている

これが、今回のネルソン・パスのこだわりの回路なのである。大型のトロイダルトランスと10000μF/50Vの平滑コンデンサーを18個も使用したハイスピード電源は、インピーダンスが低く、余裕があり、出力段に大きく貢献する。

その音は、A級らしい倍音の再現性を備えながらも、スカっと抜けるような鮮度の高い空間と瑞々しく、高密度な音像表現が、大きな特徴と魅力だ。暖色系の音はやや抑えられているが、全帯域にナチュラルで透明度の高いサウンドが漂う。高いS/Nと歪み率により、奏者、歌い手が浮き上がるように描写され、弱音から強音までダイナミックレンジが広く、立ち上がりも俊敏だ。ダンピングファクター 500の性能値も実感した。今回の回路が、ズバリ、音に反映されていることに納得できた。この価格も考えるとコストパフォーマンスも抜群に高く、私は高く評価し推薦する。

(角田郁雄)

Specifications
●最大出力:50W×2(4Ω)、25W×2(8Ω) ●周波数特性:-2dB@1Hz,50kHz ●歪率:0.1%@25W/1kHz ●入力インピーダンス:47kΩ ●ゲイン:20dB ●入力感度(最大出力):1.41V ●ダンピングファクター:500 ●外形寸法:430W×154H×440Dmm ●質量:19s ●取り扱い:(株)エレクトリ


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから