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シンプル構成で高品位な音を楽しめる

【レビュー】大型スピーカーも楽々鳴らす。ティアック「NR-7CD」で作るコンパクトハイエンドシステム

2017/10/06 角田郁雄
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ここからが興味深い。中央には読み取り精度の高いCDディスクドライブを強固に設置し、上から見るとその左右には縦に配置されたボードが確認できる。10mmのアルミボードにDAC/プリアンプ基板と、クラスDのICE Powerモジュールが背中合わせで干渉しないように設置しており、これを左右に各1式ずつ配置したデュアル・モノラル構成となっている。

センターにはCDディスクトレーと表示パネルを配置

DACチップには、旭化成の高性能32bit型「VERITA AK4490」を左右に各1個ずつ使用。その後段に高精度ボールベアリング軸受を使用し、アルミ切削の高品位ノブを使ったエンコーダーと連動するティアック-OVCS電子ボリューム、全段デュアルモノラル差動回路の高品位プリアンプを配置する。

ヘッドホン出力はプリアンプ部から信号が分岐し、電流伝送強化型ティアック-HCLDアンプでヘッドホンを強力にドライブする。電源は、後部に位置するEIトランスと基板上の高品位平滑コンデンサーを使ったアナログ電源(シャント・レギュレータ)で動作する。

アナログ信号は最短距離で裏側基板上にある、バング&オルフセン社が世界に誇るD級パワーアンプ素子のICE Powerモジュール(50ASX2のBTL使用)に接続する。ICE Powerの基板上には、ドライバー段/PWM変調器/MOS-FETスイッチング増幅素子/ローパスフィルターがあり、この順番で100W(最大140W)の高出力を発生する。スピーカー制動力の指標となるダンピングファクターは、8Ωで500以上、ダイナミックレンジ125dB以上を実現。大型フロアー型スピーカーをもドライブする素晴らしい特性だ。

試聴では同社のスピーカーとTN-570を使ってCDやハイレゾ音源を聴くと、このサイズとは思えない中低域の厚みに感激した。スピーカーを完全にグリップしているので、低域ではスピーカーのボトムエンドまで再生していることが理解でき、量感のある音圧を体験できる。スピーカー間を広げると、高域と低域を同軸構造にしたユニットの左右から音が一点放射され、ホログラフィックな空間と音像が得られる。歪み感のない、透明度の高い高域にも魅力を感じた。

同社アナログプレーヤー「TN-570」と組み合わせ試聴

私はこの実力を自宅のリスニングルームでも聴きたくなった。まずは、今年導入したTAD「TAD-ME1」と組み合わせる。ベリリウムの高域/マグネシウムの中域ユニットを使用するCTSドライバーからは、繊細で柔らく、金属ドライバーらしい高密度で鮮度の高い音質が得られる。特に私の好きなミッドレンジの厚みが増えた印象を受けた。

TAD「TAD-ME1」と合わせて自宅でも試聴

CD再生では、ヘルゲ・リエン・トリオのレスポンスの素早いドラムスやシンバルを歪みなくリアルに再現し、響き豊かで明瞭度の高いピアノを再現した。驚くのはTake Fiveの後半のベースだ。木質感たっぷりのゴリゴリとした質感を16cmウーファーが見事に再現しており、驚くほど高い音圧で豪快な低音である。11.2MHzに変換するとさらに倍音を引き立て、ハイレゾライクな音質へと変化した。

最近は、アンドリス・ネルソンズ指揮ボストン交響楽団によるショスタコーヴィッチ交響曲No.10(96kHz/24bit)に魅了されているのだが、本機で聴くと、弦楽の膨らみのある響きや木管の豊潤な響きに音の厚みや重みが感じられ、とても好感をもった。重厚な金管楽器と打楽器の力強い音は、この組み合わせとは思えないほど壮大だ。ダイアナ・クラールの最新アルバム「Turn Up The Quiet」は、192kHz/24bitから11.2MHz DSDにアップサンプリングした音が良い。ベースの弾力的な弦の響きもナチュラルになり、クラールのダークでハスキーな声に生声のような質感が加わっている。

次にB&W「802 D3」とコンビを組み、先と同じ音源を再生した。まず感激したのは、このスピーカーを楽々、朗々とドライブしたことである。中低域に厚みのあるピラミッド型バランスの音であり、実に解像度が高い。

B&W「802 D3」をしっかりドライブ、高解像度かつ中低域に厚みのあるサウンドを再生する

いま話題となっているサンタナ/ロータスの伝説やジャコ・パトリアス/Truth, Liberty & Soul(2.8MHz DSF)も再生すると、ダイヤモンド・トゥイーターから、トランペット、トロンボーンなどのブラスや金属パーカッションの鮮やかな倍音が聴け、ミッドレンジとウーファーからは、リヴァーヴを効かせたサンタナのギター、パトリアスのベースがその力感や響きを失うことなく、あたかもアナログレコードを聴くように滑らかで倍音豊かな質感で再生してくれる。

コンガなどのパーカションでは、胸に響くようなレスポンスの速い高い音圧が再生される。とりわけ、ダブル・ウーファーをしっかりタイトにドライブする制動力は見事だ。これはICE Powerの絶大な効果である。このスピーカーの特徴である空間描写性も、デュアルモノラル構成の回路の効果により存分に体験することができる。

NR-7CDの美しいボディーには、前述のような音を極める最新技術が搭載されている。ティアックは、オーディオ愛好家に限定することなく、音楽をいい音で聴きたいミュージックラヴァーにも幅広く愛用して欲しいと考え開発を進めたのだろう。価格も少し高価ではあるが、若い世代の方でも頑張れば手の届く値段である。

ベリリウム・トゥイーターの切れ味が良く、フレッシュな響きと密閉型のリニアに伸びる低域特性を、NR-7CDは見事に高い音圧で高解像度にドライブしてくれた

従来から大切に愛用するスピーカーや最先端を行く最新モデルまで、本機と組み合わせてシンプルなスモールハイエンドシステムを構築してみてはいかがだろうか。

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