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<山本敦のAV進化論 第146回>

【レビュー】ソニー新ウォークマン「A40」の音質は “大胆なほどアップグレード” していた

2017/09/27 山本 敦
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Bluetoothワイヤレス再生はLDACに加えて、対応機器が増えているクアルコムの高音質コーデック「aptX HD」にも対応した。ちなみにソニーのヘッドホン・イヤホン「1000Xシリーズ」や「h.earシリーズ」の第2世代モデルも、LDACに加えてaptX HDにも対応している。それぞれを接続する場合は、ウォークマン側の設定で選択されているコーデックが使われる。

DSEE HXによりCDから取り込んだ音源などが高音質に。USB-DAC接続時の音源にも効果あり

もう一つの新機能は、上位のNW-ZX300も対応した「MQA再生」だ。エントリーモデルのA40シリーズでもMQAに対応した理由については、MQAのサウンドをより多くの方々に楽しんでもらいたい、というソニー開発陣の考えによるものだという。

MQA再生に初めて対応した

MQAの特徴は、独特の切れ味豊かで力強い音だけでなく、ファイルサイズが通常のハイレゾ音源に比べて段違いに小さいのに、同等の情報量が再現できることもある。NW-A45HNはmicroSDカードスロットを1基搭載しているとはいえ、内蔵ストレージは16GBとやや容量が小さいので、ハイサンプリングレートのタイトルもMQA音源で揃えれば、多くの楽曲を持ち歩くことができる。

国内でMQA音源の配信をいち早く始めたe-onkyo musicでは、先日9月14日にワーナーミュージック・ジャパンのMQA作品を一挙に300タイトル追加。本稿を執筆している2017年9月下旬時点で約1,200タイトルの充実したアーカイブを揃えている。さらに10月3日15時からは「ラブライブ!」のμ's関連63タイトルも配信開始が予定されている。

上位機の高音質化技術も継承する

A40シリーズの音質向上については、基板のレイアウトを変更したり、独自のハイレゾ対応フルデジタルアンプ「S-Master HX」の周囲も、電源からのパスが最短ルートで到達するように回路の配線を見直している。これらが地道でありながら着実なステップアップを遂げた要因だ。

もう一つのアプローチは割と大がかりなもので、フルデジタルアンプのS-Master HXのICを基板に接続する「はんだボール」に、ソニーが独自に開発した高音質はんだを使っている。通常であれば半導体のメーカーに“おまかせ”する「はんだボール」の仕様についても、ソニーのエンジニアが半導体メーカーと密に連携しながら高音質化を突き詰めた。

同日に発売される「NW-ZX300」と本機が、同技術を投入した初めてのウォークマンになる。最新の高音質化技術が音場の拡大、空気の透明感向上をもたらす結果につながっているとソニーの開発担当者が誇らしげに説明していた。

音楽体験の向上を実現するその他の試みとしては、NW-A45HNに付属するイヤホン、または単品販売のモデルである「IER-NW500N」ともに、ノズル先端のアールを滑らかなシェイプに変更したことで、より耳の奥まで滑らかに挿入できるようにし、ゴツゴツ当たる感覚を与えないようデザインの見直しをかけた。装着感を比べてみると確かにストレスが軽減されているので、長時間音楽を聴き続けるときにも効果が実感できるだろう。

上がA40シリーズのイヤホン。耳穴の中へスムーズに挿入できる

前機種と比べながらA40の音を聴いてみる

それではA40シリーズとA30シリーズ、新旧モデルの音質比較に挑もう。リファレンスのイヤホンにはAKG「N30」を用意して、どちらもウォークマン独自の“音もの機能”やノイズキャンセリング、外音取り込みなどすべてオフにして聴いている。

音質的に大きな飛躍を遂げたA40シリーズのサウンドを聴いた

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