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【連載】角田郁雄のオーディオSUPREME

CDから生演奏のような臨場感を引き出す ー CHORDのCDトランスポート「Blu MkII」を聴く

公開日 2017/07/25 10:08 角田郁雄
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Blu MkII描写する、生演奏のような臨場感と洗練された音楽の極み

別記のCDを、いずれも705.6kHz/24bitで再生した。Blu MkIIの音の大きな特徴はCDとは思えない高密度な音の再現である。その特徴は、アナログだとかハイレゾだとかいうことを聴き手に意識させない、録音した場所や時間に遡るかのような臨場感に尽きる。再生するCDに内包する空間をありのままにに再現して、奏者や歌い手を生々しいまでに描写する。

自宅試聴室で試聴を行う角田氏。スピーカーシステムにはB&W「802 D3」を用いた

最新のダイアナ・クラールのアルバムをBlu MkIIで再生すると、声の使い方が鮮明になり、ギターの倍音には情報量の多さを実感させられる。久しぶりに登場するクリスチャン・ブライトのベースは、胴の響きや弦の震えまでがこれまで聴いてきた印象以上にリアルに再現される。曲によって登場するストリングスも、ステージの後部に広がっていることがはっきりと分かる。

ヴァイオリニスト、イザベル・ファウストの最新アルバムは、フォーレのヴァイオリンソナタとショーソンのピアノとヴァイオリン、そして弦楽四重奏が加わる作品だ。特に感激したのはショーソンの木質感たっぷりの弦楽と透明度の高いピアノの響きで、その中央付近にイザベル・ファイストの緻密で豊潤なヴァイオリンが定位する。まさに臨場感に溢れた洗練の極みとも言える演奏と音質で、照明を消してじっくりと楽しみたくなる。

ジャコ・パストリアスの未公開録音を収録した最新アルバムでも、オリジナルマスターの素晴らしさを実感するとともに、リヴァーブの効いたベースの音、鮮烈なビッグバンド響きや高い音圧を示すコンガやドラムスの熱気に溢れた演奏に酔いしれてしまう。

主に試聴したCD。ダイアナ・クラール『ターン・アップ・ザ・クワイエット』(写真上)、イザベル・ファウスト『Concert Violin Sonata』(写真左下)、ジャコ・パストリアス『ライヴ・イン・ニューヨーク〜コンプリート1982 NPR ジャズ・アライヴ! レコーディング』(右下)

試聴では、アップサンプリングの倍数の切り替えも試してみた。中低域の密度の高さは705.6kHzが一番で、352.8kHz/24bit、176.4kHz/24bitとサンプリングレートを下げていくと、中低域の密度の高さよりも中高域の空気感が増していく印象を受ける。相性によっては、再生するCDに応じてサンプリングレートを切り替えて再生するのもいいだろう。

USB入力も試してみたが、その音質はここまで述べてきたCD再生の音質と同様の傾向だ。DAVE本体のUSB再生とはまたちがった魅力を持つ、密度の高い音が得られた。

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