「KATALYST」DACを採用

【製品批評】LINN「KLIMAX DS/3」ー DACアーキテクチャを一新した旗艦ネットワークプレーヤー

山之内正
2017年06月30日
製品批評


ネットワークプレーヤー
LINN
KLIMAX DS/3
¥2,500,000(税抜)
※KLIMAX DS従来モデルからKLIMAX DS/3へのアップグレード:¥600,000(税抜)




2007年にリンの「KLIMAX DS」を聴いた時、ネットワーク再生の音の良さを最初に認識した。それから約10年経つが、筆者の試聴室ではいまも、数々のアップグレードを行いながら、「KLIMAX DS」をメインのデジタルプレーヤーとして使い続けている。

10年目を迎えた「KLIMAX DS」は、最新の「DS/3」に生まれ変わった。しかも単にDACを新しいチップに交換するというレベルではなく、オーディオ回路全体に設計変更が及んでいる。それを象徴するように、今回のリファインではD/A変換技術全体に「KATALYST(カタリスト)」という「触媒」に由来する名称を与え、既存の回路と異なるDACの新アーキテクチャとして提案している。DAC自体はAKMのプレミアムグレードに位置する「AK4497」を採用しているが、このDACはS/Nなど基本性能が同社のチップのなかで突出していることに加え、オーディオメーカーが周辺回路を独自に組めるように設計の自由度を飛躍的に高めていることに特徴がある。

筐体内部

リンの設計陣はその自由度の高さに注目した。これまでの開発で培ってきたデジタルオーディオの知見を活かし、まずはΔΣ変調やデジタルフィルターなどDACの各プロセスごとに電源供給を独立させ、回路間での干渉を抑える手法を導入。さらに、デジタル信号の振幅方向の精度を左右する基準電圧を見直し、従来に比べて歪みを劇的に減らすことにも成功した。また、DAC直前にデジタルデータの精度を高める処理やクロック精度のさらなる改善など、DAC周辺の本質的な改善にも取り組んでいる。

D/A変換回路の見直しは複数のハイエンドメーカーが様々な手法で取り組んでいるが、リンはAKMのDACを使えば理想に近い設計の追い込みが思い通りに行えることを確信し、このDACと自分たちの最新技術を組み合わせる手法を選択した。

背面端子部

DACが音質を左右することはよく知られているが、今回はD/A変換のアーキテクチャ全体を見直すことで、再生音の変化はさらに本質的な領域に及んでいる。前機種の「DS/2」との比較では、高調波歪みが激減し、ノイズレベルも10dBと大きく低下している。聴き比べてみると、まずは音色の描き分けが精妙さを増し、全体に透明感が向上したことに気づく。その結果、音色を再現する忠実度が改善、ハーモニーの純度が上がる。同じ音源を聴いても、「DS/3」の方が和音のバランスが整い、より細かいニュアンスを引き出せるようになった。

以前から高い水準にあった空間再現力は、「DS/3」ではさらに先を行く。楽器ごとに一音一音が立体的に浮かび上がり、輪郭強調に一切頼らず、音の微妙な強弱の変化で立体感を引き出している。

(山之内正)

Specifications
●最大対応サンプリング周波数/bit数:192kHz/24bit ●コントロールプロトコル:UPnPメディアサーバー、UPnP AV1.0コントロールポイント、OpenHome.orgコンパチブル ●ETHERNET:100 Base-T RJ45、Exaktリンク×2 ●電源仕様:100〜120Vac(±10%)、200〜240Vac(±10%) ●ライン出力:XLRバランス×1、RCAアンバランス×1 ●質量:10.0kg ●外形寸法:350W×60H×344Dmm ●取り扱い:(株)リンジャパン



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」163号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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