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かなり大きな違いを実感

アニソン聴き放題、音質が良いのはどれ? 「ANiUTa」など4サービスを“ガチ”比較した

2017/06/29 土方久明
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各サービスの最大配信レート(有料会員)は次の通り。ビットレートは最高の状態にして、イコライザークロスフェード、音量のノーマライズ等は全てOFFにして、音質的に最良の状態で試聴した。

・「ANiUTa」 → 320kbps
・「Spotify」 → 320kbps
・「AWA」 → 320kbps(Wi-Fi接続時)
・「Google Play Music」 → ビットレート非公開(320kbps説が有力)

音質に一番影響のあるビットレートは各サービスとも320kbps、ファイルフォーマットはSpotifyがOgg Vorbisを採用していると公表している。あとのサービスは非公開だが、MP3かAAC、もしくはWMAといったところだろうか。果たしてどのような結果になるのか個人的にも興味津々だ。

「ジョジョ〜その血の運命〜/富永TOMMY弘明」

「ジョジョ〜その血の運命〜/富永TOMMY弘明」

まずはTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングテーマ「ジョジョ〜その血の運命〜/富永TOMMY弘明」。作品の内容と同様、ボーカルやギター、バスドラムも熱いトーンの曲をヘッドホン環境で聴いた。

トーンバランスは、SpotifyとANiUTaがフラットで印象が良い。Google Play Musicはわずかに低域が強い。AWAはこちらもわずかに中低域が盛りあがっている印象だ。S/Nについては、4社ほぼ同様である。解像度はSpotifyが一歩リード、ボーカル、ギター、ドラムすべての帯域が明瞭だ。それにANiUTaとGoogle Play Musicが続く。AWAはボーカルやバスドラムの解像度が少々不明瞭に感じた。

「PLASMIC FIRE/KOTOKO×ALTIMA」

「PLASMIC FIRE/KOTOKO×ALTIMA」

「イニシャルD」で一世を風靡したグループ、m.o.v.eのmotsuがALTIMAとして参加する打ち込み系のクールな楽曲。この楽曲の聴きどころは、やはりバスドラムを始めとする打ち込み系楽器のスピード感や立ち上がり表現と、KOTOKOと黒崎真音のボーカル表現だろう。

ヘッドホンで聴いた時のトーンバランスは、ANiUTa、Google Play Music、AWAはフラット。Spotifyはフラットだが温度感が高い。バスドラムを始めとするエレクトリックサウンドはAWAの印象が良かった。スピーカーで聴くと若干音場がセンターに寄るものの、すべての音域でスピード感がある。この瞬間、音源と各サービスの音質に相性のようなものを感じた。

「雨の水平線/早見沙織」

「雨の水平線/早見沙織」

人気女性声優・早見沙織の楽曲の聴きどころは、やはりその圧倒的な歌唱力とボーカル表現。優秀だったのはSpotifyだ。一聴してボーカルがリアルなのである。しかもこの表現力はトーンバランスで高域を上げたものではなく、情報量の多さからくる本質的なものだ。続いて僅差でANiUTa、他のサービスと続く。

さらにこの楽曲をスピーカーで聴くと、その表現には差がつく。バックミュージックに対して、センターに浮かび上がるボーカルの浮き出方が幾分違う。Spotifyが若干リード、それにANiUTaとGoogle Play Musicの順で、AWAはわずかだが口元が広い印象だ。



いかがだっただろうか? 4つのサービスはトーンバランスから違っており、予想を超える結果に大いに驚いたが、情報量や各帯域の表現力も結構違っていた。圧縮フォーマットは楽器が重なった時やコーラスがハモる部分などを聴くと、情報量や品質が分かりやすい。そうした部分では、今回の比較ではSpotifyがわずかに先を行く印象だ。

気になるANiUTaについても、フラットで癖のないトーンバランスが印象良く、上下レンジや解像感なども健闘しており、オーディオマニア視点で安心して聴けることが確認できたのは大きな収穫であった。

音質が変わった理由を考察すると、まずは配信フォーマットによる差、そして各サービスのアプリのオーディオエンジンによる違いが大きいと推測できる。さらにマニアックに考えると、音楽データが格納されているクラウド(インターネット上)のサーバーの違い、また設置場所から自宅までの伝送経路も音質を変えた可能性もある。ローカルファイル再生と違い、これらのサービスは音が変わる要素が多いのである。

今回は音質にフィーチャーして比較を行ったわけだが、ではその結果だけをみて単純にSpotifyを選ぶとはならないだろう。ANiUTaはアニソンに特化しただけあり、アニソン系だけで5万曲もの楽曲数と、さらに毎日更新されるランキングや、独占的に楽曲を提供するレーベルの存在など、その優位性は圧倒的だ。なお、田村ゆかりの新曲「Hello Again」もANiUTaで6月26日より独占先行配信されている。

「ランキング」や「ピックアップシングル」の曲数も膨大。流しっぱなしでアニソンだけを楽しめるのも利点だ

また、ユーザー同士のプレイリスト共有や、聴いている曲をTwitterに投稿する「ナウプレ(NOW PLAYING)機能」の追加、細かなところではジャケット画像の表示がローンチ当初より大きくなったなど、アップデートを続けている。使い勝手も良くなり、今後の注目度はさらに上がっていくはずである。アニソンを基準にストリーミングサービスを選ぶなら、やはりANiUTaが強い。

(土方久明)

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