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<山本敦のAV進化論 第123回>

アプリと一緒に進化するイヤホン − パイオニア「RAYZ」速攻レビュー

2017/02/15 山本 敦
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第2世代の「LAM2」を世界で初めて搭載

RAYZシリーズには、アメリカの半導体メーカーであるAvnera(アブネラ) Corporationが設計・開発した新しい「LightX」という統合型SoCが搭載されている。アブネラはオーディオのほか、音声認識やセンシングの領域を得意としている。これまでにオンキヨーブランドのゲーミングヘッドセットやサウンドバー、ホームシアターシステムなどに同社のICチップが採用されてきた実績があり、オンキヨー&パイオニアイノベーションズと長いパートナー関係にある半導体メーカーだ。

iPhone 7シリーズから同梱されているアップルのLightning仕様の「EarPods」をはじめ、iPhoneのLightning端子に直結できるイヤホン・ヘッドホンには「LAM(Lightning Audio Module)」と呼ばれるICチップが内蔵されていた。LAMはiPhoneのLightning端子から送り出されるデジタル音声信号をデコードし、イヤホン・ヘッドホンに送り出す役割を果たしている。

今回のRAYZシリーズには、アブネラが開発した最新世代の「LightX」SoC技術を活用。従来のLightningイヤホンでは、LAMのほかに個別のICチップを組み込んでいたDAコンバーター、アンプ、DSPをシングルチップに統合した。小型化と省電力化を実現した第2世代モジュール「LAM2」の基礎技術をアブネラが提供した格好だ。

今回はアブネラとアップル、オンキヨー&パイオニアイノベーションズの共同開発により、世界で初めてRAYZシリーズに最新世代のLAM2が組み込まれることになった。来日の際、筆者のインタビューに答えたアブネラのCEOであるマンプリート・カイラ氏は、「LAM2のベースになる最新のLightXプラットフォームは、Lightningイヤホンの機能性を向上させるだけでなく、デザインの自由度やコストパフォーマンスを高めることにも貢献します」と説明した。

特に省電力性能には大きな違いが表れるようだ。同社がiPhone 6sをベースに行った測定結果では、音量を最大に上げて5時間音楽を流しっぱなしにした際のバッテリーの減りを比べてみたところ、従来のLAM1ベースとなるEarPodsに比べ、LAM2ベースのRAYZは消費電力を1/2に抑えることができたという。

iPhone内部で行うオーディオ信号処理をRAYZに受け渡すことで、最新のLightXプラットフォームのパフォーマンスが最大限に発揮される。カイラ氏はさらに、3.5mmアナログイヤホン端子に従来のEarPodsを接続して比べた場合よりも、RAYZの方が消費電力を低く抑えられたと説明を加える。

カイラ氏は、最新のLightXは、モバイルアプリとの組み合わせによってイヤホンリスニングをより便利にするスマートな拡張性を備えていることが、最も大きな特徴であると強調している。そのLightXを組み込んだオーディオ機器を「スマホとアプリとを組み合わせて楽しむ“App-cessory(アップセサリー)”」として定義しながら、新しいカテゴリーの製品として様々なパートナーと組んで提案していきたいとした。

今回Lightningベースで実現したLightXプラットフォームの要素技術を、今後はUSB type Cや従来のUSBインターフェースをベースにしたオーディオ機器に展開していくことも可能だという。

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