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上位セパレートアンプの技術を惜しみなく投入

エソテリック「F-07」を聴く ー ハイエンドの世界へ誘うプリメインアンプ

公開日 2017/02/15 10:00 石田善之
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本機の音に触れる
安定度の高い鳴りっぷりを堪能。大きな空間を見事に表現する


さて、いよいよ試聴をしよう。今回はエソテリックの試聴室で、スピーカーにTANNOY「Kensington/GR」、SACD/CDプレーヤーに「K-07X」を用いる。F-05との比較も交え、聴きなれたプログラムで行った。

TANNOY「Kensington/GR」

SACD/CDプレーヤー「K‐07X」

再生を始めると、ゆとり感のあるハイエンドの世界に誘ってくれる。やはり、Grandiosoの流れを引き継ぎ十分に投入された物量感が、10インチウーファーをしっかりとドライブし余裕十分の低音感を聴かせる。

独奏のチェンバロのいかにも金属弦らしい艶やかさは、同軸スピーカーの特徴も得られてこそということだろうか、しっかりとした音像感の中、教会録音ならではの大きな空間を見事に表現している。オーケストラの弦にしても、歌曲やジャズヴォーカルのサ行にしても、スンナリと伸び切る感じはF-05に負けない自然さ、滑らかさがある。

上位機F‐05との比較試聴も行った

オーケストラの低音部の厚みやコントラバスのピチカート、弾み感や躍動感なども十分に伝わり、ローエンドこそF-05に半歩譲るものの、いずれにしても安定度の高い鳴りっぷりの良さを堪能できる。特に女性のジャズヴォーカルは発声そのものの美しさが表情をより豊かに感じさせる。こうしたところがハイエンドの世界であり、まさに聴く喜びにつながり、オーディオの楽しさにつながるようである。

ノブのフィーリングの良さも特筆トーンコントロールも活用したい

確かに大型だが、発熱はABクラスとしては標準的と見てよさそうで、ラックに挿入して使用しても問題はなさそうだ。本機のノブ類のフィーリングの良さも特筆に値する。音量調整は通常のボリュームよりもやや回転数が多くなるが、その分だけ微妙な調整も可能で心地良い。ディスプレイ上の明暗やフォントサイズの切り替えなども高級機らしい機能である。

もうひとつ、大型スピーカーを導入することは、スペースの問題もあって難しい、中〜小型で、というユーザーにとって本機のトーンコントロールは非常に素晴らしい。低域は63Hzで最大±12dBまで、一方高域は14kHzで12dBと通常のトーンコントロールよりやや低域、高域に寄せ、特に低域を2dBとか2.5dB上昇させる機能を持ち、現実的で音質劣化もなく、小型のスピーカーであっても十分な低音感を得ることができる。

(石田善之)


本記事は季刊・オーディオアクセサリー162号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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