従来モデル「SHE9720」との比較も

ハイレゾ新対応のフィリップス「SHE9730」を聴く。高コスパ代名詞“キューナナ”はどう進化した?

高橋敦

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2017年01月23日
5,000円以下のクラスで高コスパの代名詞として君臨してきたフィリップス“9700シリーズ”。そのモデルにして初のハイレゾ対応機である「SHE9730」が、1月26日についに発売となる。そのサウンドを高橋敦氏がレビューする。

PHILIPS「SHE9730」¥OPEN(予想実売価格5,000円前後)

9700シリーズの最新機種は“ハイレゾ対応”モデル

フィリップス「9700」シリーズは、実売5,000円以下クラスの“ド定番”だ。これほど長らく定番の地位を確保し続けているシリーズはどの価格帯にも多くはない。

さらっと「長らく」と書いたが確認しておくと、初代「9700」の日本登場は2008年初頭。以降2013年に「9710」、2015年に「9720」へのアップデートが行われたが、その内容はショートケーブル+延長ケーブルだったケーブルを普通の長さに、プラグをストレートからL字にという程度のものだった。

しかし、ついにシリーズ最大のアップデートが到来した。今回の「SHE9730」だ。「SHE9720」も併売とのことなので、当面は上位機という位置付けとなる。

外観はSHE9720ではマットな質感だったブラックが、SHE9730では艶有りに、メタリックなリングの部分がシルバーからゴールドに変わった程度の違いしか見当たらない。すなわち相変わらず、初代9700からほとんど変わっていない。

SHE9730

SHE9720

だが、それでよい。このデザインは定着しているし、装着感などの面でも高い評価を受けている。新しさの演出のためだけに変える必要などないのだ。

しかし、では何が「最大のアップデート」なのか? それはサウンドであり、その新しいサウンドの要因は新しいドライバーだ。なんと「レイヤードモーションコントロールドライバー」を搭載してきた。振動板素材を多層ポリマーとし、さらにジェル素材と組み合わせることで、特定の帯域の突出などを抑制し、滑らかでフラットな周波数特性を実現する技術だ。

SHE9730のイヤーチップを外したところ。後述するようにノズルに角度がつけられている

これはフィリップスの上位ライン“Fidelio”のトップエンドヘッドホン「X2」に採用されていたものだが、一気にエントリークラスのSHE9730にその技術を落とし込んできた。

スペックとしては下記のように、再生周波数帯域の高域側がぐんと伸びたことが大きな変化。それに伴い日本オーディオ協会のハイレゾロゴも取得している。

・SHE9720:再生周波数帯域 6〜23.5kHz、感度 103dB、インピーダンス 16Ω
・SHE9730:再生周波数帯域 6〜40.0kHz、感度 103dB、インピーダンス 16Ω

一方で感度とインピーダンスはSHE9720と同等で、初代SHE9700からこのSHE9730まで変化していない。SHE9730のドライバーは完全に新規であり、再生周波数帯域だけでなくあらゆるスペックに変化が出た方がむしろ自然といえるのに、だ。

SHE9730(右)とSHE9720(左)のパッケージ

感度とインピーダンスが同じでその他全体の設計も共通であれば、プレイヤー側の音量設定が同じなら、実際の再生音量もおおよそ揃う。これまで9700シリーズを使ってきた方は、SHE9730にアップグレードしても音量設定の感覚はいままで通りでOKなわけだ。

フィリップスとしては、これまでの9700シリーズの使いやすさを継承したかったのだろう。なので新ドライバーを搭載しても、確保できる音量が変わらないように意図して合わせてきた。実際、スマートフォンに直で接続して使ったときでも音量は余裕を持って確保でき、音量調整もしやすい。

高い解像感で空間をクリアに描き、中低域もよりパワフルに

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