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【特別企画】USB-DAC接続も対応のオーディオNAS

fidataの最上位オーディオサーバー「HFAS1-X」を聴く − 従来モデルと徹底比較

公開日 2016/12/06 10:20 山之内 正
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加藤訓子が演奏した『アリーナのために》』XS20で再生すると、楽器の定位がピンポイントで決まり、一つひとつの音像のフォーカスがピタリと合うので、空間再現を左右する微小信号を忠実に再現する能力が高いことがわかる。DSD録音のショスタコーヴィチではステージの一番奥にトライアングルが鮮明に定位し、しかも音色に一切のにじみがなく、純度の高い打音が耳に届く。打楽器の音色を細かく描き分けるのは再生装置にとって意外にハードルが高いのだが、XS20とDC-950の組み合わせは、そこを曖昧にすることがなく、音色や発音の違いを正確に再現することで明確に鳴らし分けている。


USB-DAC再生については、アキュフェーズの旗艦DAC「DC-950」を組み合わせてサウンドを確認した
また、アタックのエネルギーはその違いを容易に聴き分けることができる。再生装置の音量を変えずにスティーリー・ダンの「バビロンシスターズ」冒頭のドラムを聴き比べると、XS20は音のスピードが飛び抜けて速く、アタックがなまらず、強いテンションをキープしていることがわかる。ここではS10以上にH40の音がやや丸く感じられたし、ウェーバーのクラリネット協奏曲を聴いてもティンパニの音像がやや広る傾向があるので、ゆったりした音調を好むなら、あえてH40を選ぶという選択肢もありそうだ。



今回の試聴では、回路と筐体の大半を共有していても、ドライブや振動対策の違いが意外に大きな違いを生むことがわかった。忠実度の高さを重視するならXS20が筆頭候補になる。どんなコンテンツを聴いても演奏の狙いやサウンド設計がダイレクトに伝わり、余分な演出を加えることがない。スフォルツァートのネットワークプレーヤーのように、プレーヤーに明確な個性がある場合は特に、XS20と組み合わせることで忠実再生を狙うことができる。

DC-950に内蔵されたUSB-DACは個性よりも忠実度の高さに重点を置いた製品なので、サーバー側の違いがよりはっきりと浮かび上がってくる。HDDモデルよりもSSDモデルの方がナチュラルな音調が際立つのだが、H40との組み合わせで得られる柔らかさや重心の低さに魅力を感じる音楽ファンも少なくないはずだ。上位モデルのXS20が加わったことで、fidataの製品選びはさらに奥が深くなった。

(特別企画 協力:アイ・オー・データ機器)

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